欧州王者ドルトムントと南米王者クルゼイロが東京で顔を合わせた。
欧州王者ドルトムントと南米王者クルゼイロが東京で顔を合わせた。 - © KAZUHIRO NOGI
欧州王者ドルトムントと南米王者クルゼイロが東京で顔を合わせた。 - © KAZUHIRO NOGI
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ドルトムントが東京で世界一になった日

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1997年、ボルシア・ドルトムントは東京で開催されたインターコンチネンタル・カップ を制して、世界王者の座に輝いた。

1997年12月2日、欧州王者ボルシア・ドルトムントは大きな野望を胸に東京の国立競技場のピッチに立った。立ちはだかるのは南米王者のクルゼイロ。約4万7000人の観衆の前で、世界一の座をかけたインターコンチネンタル・カップがキックオフされた。

遡ること半年前、ミュンヘンで行われたUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦でドルトムントが対峙したのはジネディーヌ・ジダン、ディディエ・デシャン、クリスティアン・ヴィエリといったスターを擁するユヴェントスだった。マティアス・ザマーがキャプテンマークを巻いたドルトムントは前半にカール=ハインツ・リードレのドッペルパックで2点をリードをすると、当時22歳のデル・ピエロに一点を返されるが、71分にピッチに送り込まれたばかりのラース・リッケンがアンドレアス・メラーからのロングパスに走り込んでループシュートを流し込み、初めてビッグイヤーをかかげた。

その後オットマー・ヒッツフェルトの後任としてイタリア人のネヴィオ・スカラが指揮官に就任したチームは、カール=ハインツ・リードレがリヴァプールに、ポール・ランバートがセルティックに移籍するなど一部選手の入れ替わりはあったものの、ほぼ同じ主力メンバーで当時毎年日本で開催されていた南米王者との世界一決定戦に臨んだ。

シュテファン・ロイターとアンドレアス・メラーがトロフィーを掲げた。 - KAZUHIRO NOGI

世界最高峰の選手たちの競演をファンが見守る中、試合が動いたのは34分だった。ステファヌ・シャプイサが左サイドから上げたクロスを最前線に駆け上がった当時35歳のクラブ生え抜きのレジェンド、ミヒャエル・ツォルクが左足で押し込みゴールネットを揺らす。その後クラブのスポーツディレクターとしても長年クラブに貢献することになるベテランにとって、現役最後のシーズンでの大仕事となった。

ジダがゴールを守り短期レンタルで加入していたベベトがチャンスをうかがうブラジルの雄に反撃を許さず、リードを保ったまま迎えた終盤にはパウロ・ソウザが右サイドから鋭いクロスを送り、走り込んだハイコ・ヘルリッヒが相手ゴールキーパーの前でうまく合わせてゴール。勝利を決定づける追加点を奪った。そのまま2-0でクルゼイロを破ったドルトムントは、東京で世界の頂点に立った。

3日前に日本に降り立ったばかりだったドルトムントの選手たちは時差ぼけや不慣れな環境に苦しみながらも、ヨーロッパ王者としての意地とクオリティを日本のファンに見せつけ、世界一のトロフィーをドイツに持ち帰ったバイエルンに次いで2番目のクラブとなったのだった。

その後は2013年、そして今年と計2度UEFAチャンピオンズリーグ決勝戦に進んだドルトムントだが、まだ2度目の欧州制覇には至っていない。しかし国際舞台でコンスタントに結果を出し続けることで、アメリカで開催されるFIFAクラブワールドカップ出場権を獲得。来年の夏は2度目の世界一を目指して、リニューアルされる世界最高峰のトーナメントに参加することになる。