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前半戦総括:ボルシアMG

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今季のボルシアMGは前半戦の主役として大いに喝采を浴びた。ヘアプストマイスターの称号こそライプツィヒに譲ったが、3位バイエルン・ミュンヘンに2ポイント差、4位ドルトムントに5ポイント差をつけて堂々2位でシーズンを折り返し。ここまで積み上げた勝ち点35は、同じく好調だった1年前の同時期より2ポイント多い。ホームゲーム7勝1分け1敗は18チーム中トップの成績だ。

チームを進化させたのは就任1年目のマルコ・ローゼ監督だ。前所属のザルツブルクで名を上げた指揮官は、ハイプレスや素早い攻守の切り替えを基調とした戦術をチームに植え付け、確固たる組織の中で選手の個性を引き出すことに成功した。序盤戦はザルツブルク時代と同じ4ー3ー1ー2を軸に戦っていたが、現在は4ー3ー3が基本。3ー5ー2や4ー4ー2を用いる柔軟性も備えている。

いずれのシステムにおいても攻守の要として不可欠なのが、6番のポジションを務めるデニス・ザカリアだ。恵まれたフィジカルと安定したテクニックを誇り、ボックス・トゥ・ボックスの動きで異彩を放っている。

リーグ最少失点の堅守構築に貢献している守護神のヤン・ゾマー、鋭いクサビのパスで攻撃の起点になっているマティアス・ギンターとニコ・エルベディの両センターバックの働きも際立っていた。

- Photo by Jörg Schüler/Bongarts/Getty Images

もっとも、新生ボルシアMGの「顔」は、開幕前にフランスのギャンガンから加入したマルクス・テュラムだろう。圧倒的なパワーと豪快なドリブルを武器に、ここまでチーム最多の6ゴールをマーク。周囲を生かす冷静な判断でファイナルサードで攻撃に違いを作り出している。同じフランス出身のアラサヌ・プレア、同期入団のブレール・エンボロとの連係も良好だ。

- nph/Mauelshagen via www.imago-images.de/imago images/Nordphoto

パトリック・ヘアマンの復活という、うれしい驚きもあった。近年はラース・シュティンドルやラファエウ、トルガン・アザール(現ドルトムント)の陰に隠れていたが、ローゼ監督の縦に速いスタイルがハマって本来の輝きを取り戻した。ヘアマン、テュラム、プレア、エンボロの4人に対しては、地元メディアが「Fanta 4」(ファンタスティックな4人)と命名するほどだ。

ヨーロッパリーグではグループステージで敗退したが、国内の戦いに集中できるという意味では大きなメリットだ。疲労の蓄積が軽減できるだけでなく、戦術家のローゼ監督がトレーニングに費やす時間も増えていくだろう。1970年代以来となる優勝に向け、古豪がさらに勢いを増すかもしれない。

文=遠藤孝輔

- Anke Waelischmiller/SVEN SIMON via www.imago-images.de/imago images/Sven Simon