宮市亮「疲れも成長の過程」
ブンデスリーガ2部のザンクト・パウリは12月14日、第17節のヴィースバーデンに3ー1で勝利し、9試合ぶりの白星を手にした。この試合に先発出場し、自身の27歳の誕生日を勝利で飾った宮市亮は「勝たないといけない試合だったので良かった」と長いトンネルを抜け出しことに安堵の表情を浮かべた。
試合前時点でザンクト・パウリの順位は15位。勝ち点1差で17位につけるヴィースバーデンとのホームゲームは必勝が義務づけられた試合だった。当然、慎重な立ち上がりとなり、4ー1ー4ー1システムの右MFで先発出場した宮市も、守備時には6バックさながらの位置まで下がって相手のサイドをケア。そのうえで攻撃時にはスピードを生かして相手DFの裏を狙うタスクを課され、運動量を必要とする戦いとなった。
「（相手の）サイドバックやサイドハーフがすごく上がってくるので、そこはもう『お前がつけ』ということで守備がメインでしたね。そこから（前線に）出て行けみたいな感じで、走る距離も結構長かったと思います」
宮市は攻守に奮闘していたが、後半に入って足を気にする仕草を見せると、73分に自ら交代を要求。交代直前までスプリントしていたことから大事には至っていないようだが、本来の圧倒的なスピードは鳴りを潜めていた。「ライン際でクロスを上げたときに、変な伸ばし方をした。全身がつったような、感じたことのない感覚がずっと続いたので、ヤバイと思って交代しました」
完全復活を遂げた今季は前半戦のリーグ戦全17試合に出場した。うち65分から途中出場した第11節のハイデンハイム戦と今節を除く15試合にフル出場。シーズン開幕からこれだけ試合に絡むのはキャリア初めてのことだ。
本人は試合後、「初めての経験なので……この数試合の疲れが出てきているかもしれない」と語ったが、その疲れはチームに不可欠な存在として前半戦を戦い抜いてきた証だ。「こういう経験を乗り越えてまた、選手として成長していくと思うし、誰もが通る道だと思います。去年からの積み重ねでちょっと疲れが出ているけど、これも成長の過程の一つだと思ってしっかりやっていきたい」
翌朝に行われたトレーニングでは、ランニングとボール回しだけのリカバリーメニューにフルで参加。「まだハリはあるけど、2、3日したら戻ると思います。あと1試合は気合いですね」と疲れを笑い飛ばした。
次節は9試合無敗を誇る首位のアルミニア・ビーレフェルトをホームに迎える。「勝って終わるのと、そうでないのとでは全然違うので、チームとしてやるべきことを1週間しっかりやって、勝って終わりたいです」。宮市にとっての充実の半年間を良い形で締めくくるためにも、前半戦のラストゲームを白星で飾りたい。
文＝湊 昂大（Text by Kota Minato）
ブンデスリーガについてもっと知りたい？
