- © Lukas Schulze/Bundesliga/Bundesliga Collection via Getty Images
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ブンデスリーガの“生ける伝説”長谷部

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ブンデスリーガの“生ける伝説”長谷部誠が、所属するアイントラハト・フランクフルトとの選手契約を1年延長したことを発表した。

この発表が行われた場所は、長谷部の生まれ故郷である日本。会見に強化責任者のマルクス・クレシェも同席して実施された。長谷部という人物がクラブからどれだけ高く評価されているか、このエピソードからも十分理解できるだろう。

その場で長谷部は、笑みを絶やすことなく契約延長の喜びを語った。クラブ公式サイトもこの件を大々的に伝え、長谷部とクレシェのコメントを同HPに掲載している。

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「アイントラハトでさらにもう1年間、高いレベルでサッカーができることを幸せに感じています。このような成功に満ちたビッグクラブの一員として40歳を迎えるのは、非常に特別なこと。引き続き、責任を持って取り組みたいですし、若い選手のお手本となれるように頑張りたいです。フランクフルトは私の故郷であり、アイントラハトは私のクラブ。現役引退後もこのクラブの一部として残れることも、すでに今から楽しみです」(長谷部)

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「契約を延長するかどうかを自分で決定できる唯一のプロ選手が、マコトなのです。彼がこの決定を下したこと、さらにもう1年選手として残ってくれることを、我々は嬉しく思っています。サッカーに取り組む姿勢、規律、プレーの質などは、チームにおいて完璧なお手本であるだけでなく、以前と変わらず試合で我々に潤いを与えてくれるものです。まもなく彼は40歳になりますが、ブンデスリーガの偉大な存在であり、国境を越えてアイントラハト・フランクフルトとドイツサッカー界のアンバサダーでもあるのです」(クレシェ)

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静岡県藤枝市に生まれた長谷部は地元の名門、藤枝東高校に進学した後、2002年に浦和レッズに入団した。加入1年目こそ出番に恵まれず公式戦出場は1試合にとどまったが、2年目からレギュラーに定着。同クラブのJ1リーグ優勝やAFCアジアチャンピオンズリーグ制覇に貢献すると、2008年1月にヴォルフスブルクへ完全移籍を果たした。

まだ海外組が数えるほどだった当時、長谷部は屈強な猛者が集うドイツの地で、加入2シーズン目に早速マイスターシャーレ獲得を成し遂げた。“鬼軍曹”ことフェリックス・マガトは長谷部の優れたサッカー脳を高く評価し、彼を重用した。

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ヴォルフスブルクとの別れは、ワールドカップ・ブラジル大会を約1年後に控えた2013/14シーズン初めだった。ディーター・ヘッキング監督の下で出番が減少していた長谷部は、ニュルンベルクへの移籍を選んだ。「Der Club」では即座に本職ボランチの座を掴んだ一方、チームは低迷し、同シーズン前半戦は11分6敗の未勝利で終了。年明け直後には半月板損傷というさらなる不運が長谷部を襲い、最終節のシャルケ戦で辛くも公式戦に復帰を果たしたが、ニュルンベルクは17位でシーズンを終え、2部への降格が決定した。

そうして迎えた2014/15シーズン、長谷部はドイツにおける自身3クラブ目に、現在も所属するアイントラハト・フランクフルトを選択した。以降の9シーズン、トーマス・シャーフに始まりアルミン・フェー、ニコ・コバチ、アディ・ヒュッター、オリバー・グラスナーと、指揮官の誰もが長谷部の存在を必要とした。一時的にポジションを奪われることがあったとしても、気が付けばスターティングイレブンに彼の名が復活している――そんな光景はたびたび見られている。

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2022/23シーズンは10月中旬の負傷により一時戦列から離れてしまったが、それ以外の期間はほぼ必ず試合のメンバーに入るなど、その重要度はこれまでと変わらない。また欧州チャンピオンズリーグのグループリーグ、トッテナム戦ではハリー・ケインを封じ込めるなど、例えイングランド代表のエースが相手であろうと、長谷部の力は今なおトップレベルの舞台でも通用することを自ら証明してくれた。

1963年に産声をあげたブンデスリーガにおいて、40歳を超えて公式戦のピッチに立った選手はわずか9人しかいない。しかも、そのうち5人はゴールキーパー。フィールドプレーヤーがこの大台に到達することは極めて困難なのだ。いよいよ来シーズン、長谷部はその境地に届こうとしている。

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いずれにしても、「本物のプロフェッショナル」と各方面から絶賛される男をもう1シーズン見られることは、すべてのブンデスリーガファンにとって非常に喜ばしいことだ。来年の春先、「長谷部誠、アイントラハト・フランクフルトとの契約をまたしても1年延長」というニュースを再び聞けることを祈りつつ、日本が生んだスーパースターのプレー一つ一つを、来季も目に焼き付けていこうではないか。