メンヘングラートバッハ(ボルシアMG)は今季、開幕から5連敗というクラブ史上最悪のスタートを切った。第6節から暫定監督(当時)として指揮を任されたのは、同U-23チームを率いていたアンドレ・シューベルト氏。この無名の監督は周囲の心配をよそにチームを立て直してみせる。就任からボルシアMGは6連勝。さらに、第15節では無敗だったバイエルン・ミュンヘンから大金星を挙げた。ジョゼップ・グアルディオラ監督体制でバイエルンが前半戦で黒星を喫したのは初めてで、シューベルト監督には“ペップ破り”という異名まで付けられた。前節のレーバークーゼン戦では11試合目にしてついに敗戦を喫したが、一時は最下位に沈んだチームを上位へと導いている。当サイトドイツ語版が行ったシューベル監督の独占インタビューをお届けする。

——シューベルト監督、ボルシアMG監督としての生活が始まってちょうど3カ月です。この3カ月を振り返っていかがでしたか?

シューベルト監督 私の生活はそれほど激変したわけではありません。今までもボルシアMGで働いていましたからね(笑) 確かに、仕事で変わった点はあります。というのは、これまでより高いレベルでやっていますので。スタッフの数もU-23チームに比べると多くなりました。ブンデスリーガ、欧州チャンピオンズリーグ(CL)では全く異なるタイプの相手と対戦します。それに、メディアへの露出の機会は多くなりましたね。

——わずか数週間で“普通”の監督から“スーパー・スキンヘッド”へ、さらに“100年に1人の暫定監督”となり、バイエルンに勝利したことで、“ペップ破り”と呼ばれるようになりました。時に、不安になることはありましたか?

シューベルト監督 なぜ不安になることがあるのでしょうか? ザンクト・パウリで働いていたときも、マスコミに取り上げられることは多かったですし、もしかしたらボルシアMGやデュッセルドルフ以上だったかもしれません。ブンデスリーガの監督になれば、どんなことが待ち受けているのかは想像できます。メディアから出演のオファーが多くなったとしても、自分の仕事をして、サッカーに集中しています。それに、これはこの数カ月での成果によるところです。私にとっては、選手たちが週ごとに高いレベルへと達する姿を見られることが魅力的です。

——監督就任から11試合目にしてレーバークーゼンに0-5で敗れ、初黒星を喫しました。大敗の敗因をどのようにお考えですか?

シューベルト監督 全力で臨んだのですが、多くのことをうまくできませんでした。とても心が痛みました。ここまで連続して良いプレーができていましたが、(この試合では)緩やかに我々の力がなくなっていったことがお分かりになったでしょう。また気をとり直してしっかりとやらないといけません。

バイエルンのようなチームではない・・・

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——レーバークーゼン戦は例外として、ここ数週間のボルシアMGは素晴らしかったです。あの、強かった時代のサッカーを思い起こさせました。守備陣のもろさはあらかじめ計算していましたか? それともまだ微調整の時間はないのでしょうか?

シューベルト監督 最初の8、9試合では流れの中での失点はありませんでした。少なくとも立ち上がりは前へと攻めました。ただ、守備の安定性を失ったわけではありません。

——ハノーファーやホッフェンハイム、バイエルン戦では相手が多くのチャンスをつくっていましたが・・・

シューベルト監督 その通りですね。だから、我々も失点を喫しました。でも、それは自分たちのサッカースタイルのせいというよりは、誰かの穴を補えなかったことにあると思います。自分たちの今のやり方は最初の8、9試合とは全く同じです。でも、これらの穴からクオリティーを失ってしまうことがある。前で相手の攻撃を食い止めることはできましたが、守備がうまくいきませんでした。

——攻撃的な選手を補強することもできます。ウィンターブレーク中(の移籍市場)はどのように動くのでしょうか?

シューベルト監督 チームを補強するチャンスとして、それが可能で目的にかなうのであれば、何か計画するでしょうね。ただ、良心や世間を安心するためだけにはやりませんよ。納得してからでないと、動かない。先ほど守備と攻撃のアンバランスについて言及されましたね。DFマーティン・シュトランツルは長期離脱中、最初の6、7試合に出場したDFアルバロ・ドミンゲスは数週間前に負傷しました。つまり、我々は即興でやらざるを得なかったですし、アンドレアス・クリステンセンとニコ・エルベディという19歳のDFを3バックに起用しました。世界レベルのチームであれば、このような状況を問題なく乗り越えられるのでしょうが・・・。例えばバイエルンであれば・・・。でも自分たちは違うわけです。

自信を失った選手たちを蘇らせる

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——それでも、バイエルンを破りました。

シューベルト監督 そうですね。でも、私が声を大にして言いたいのは、自分たちは意識して大きなリスクを冒し、毎試合4-3のようなスコアで勝ちたいというわけではないのです。攻撃では多くの得点を挙げ、守備ではできる限り失点を抑えたい。ワイルドで大歓声の沸くサッカーは自分たちのスタイルではありません。それとは正反対です。これまでの自分たちの成果は徹底した守備に基礎を置いています。というのも、攻守の切り替え、後方からのポゼッション、可能な限り敵陣に侵入することが自分たちには必要だからです。

——“切り替え”という言葉が出ましたが、開幕から5連敗を喫した選手たちを、どうやって文字通り一晩で胸を張らせ、夢のようなサッカーをプレーさせたのでしょうか?

シューベルト監督 ちゃんと説明しないといけませんね。ルシアン・ファーブレ前監督の下、チームが開幕からうまくいかなかったのは事実です。でも、それには理由があるんです。主力や貢献度の高い選手がけがをしていたり、チームを去った。例えば、マックス・クルーゼ(現ウォルフスブルク)やクリストフ・クラマー(現レーバークーゼン)です。さまざまなことを一からやらないとでしたし、シュトランツルら負傷した選手の穴を埋めるのも難しかった。なかなか抜け出せないネガティブなスパイラルに陥ってしまったのです。だから、ファーブレ前監督はチームを刷新する刺激が必要であると決心した。そして、私たちはそうなるように試したのです。

——とても分かりやすいですね。

シューベルト監督 選手たちの肩を一度たたけば、また物事がうまく行く、というわけにはいかないですけどね。それほど簡単なことではありません。重要なのは、メンタルです。個人面談をしたり、選手に彼らの強みを示す。ビデオを使ったり、練習中にはっきりと言ったり。それに、戦術面でも少し変更しました。ただ、“ちょっとしたこと”です。ジョゼップ・グアルディオラ監督が、「自分たちは今、全く異なるスタイルを追求している」と言ったと言われているように。

——ご自身の言葉では? 

シューベルト監督 我々は確かにファーブレ前監督のときとは異なるプレーをしています。例えば、高い位置で何度もプレスをかける。それを“小さな違い”と言えるでしょう。明らかな違いとは、自分たちのゴール手前20mの位置からプレスをかけるとか、ディフェンスラインをゴールから40mにするなどということだと思うんです。そうすれば、ボールを失ったときにも、奪ったときにもさまざまなリアクションが見られるでしょうね。アウクスブルク戦(第6節、シューベルト監督の初陣)のように常に素早くパスを出し、最高のプレーができれば、選手たちも気づきますよ。「うまくいった!」ってね。そうなると、再び自信を取り戻す。そして、次の勝利へとつながるのです。こうやって自信が徐々についていきます。アウクスブルク戦の前、選手たちにこう言いました。「1対1の競り合いに勝ち、敵のシュートをブロックし、チャンスをつくれば、君たちの自信は少し大きくなっていくよ」と。そして、そうなりました。

——ファビアン・ジョンソンやイブラヒマ・トラオレ、ユリアン・コープらはその後、まさに殻を破ったようです。

シューベルト監督 彼らは早く切り替えることができました。ファビアン・ジョンソンとイブラヒマ・トラオレ、またSBのユリアン・コープさえもゴールを決めています。もっと力を発揮できるでしょう。このチームはこのようなプレースタイルを好みます。昨季も走行距離は長かったですが、現在は一人一人がもっと良くしようという感情も伴っています。ただ、これは、以前のチームに対する批判ではありません。ファーブレ前監督の4年間、チームは良い結果を残し、昨季は3位になってCL出場権を獲得しました。それは素晴らしいことです。

——シューベルト監督になって、グラニト・チャカがキャプテンとなりました。

シューベルト監督 グラニトは大きな誇りを持ってキャプテンマークを巻いていますよ。外国からドイツにやって来て、新チームの象徴のような存在になり、チームの顔になることは普通のことではありません。グラニトはよくやっていますよ。

——ウィンターブレークにこれまでの試合を分析しますか?

シューベルト監督 それは絶対にやらないでしょうね(笑) 過去に学んだんです。時折、スイッチを完全にオフにしなければいけないことを。1日オフであれば、自由に過ごします。以前は休憩することはなかったんですが・・・。きょうはこの取材後、友達とカフェに行くか、家でおとなしく本を読みます。そうすれば明日、仕事に行くモチベーションがまた高まりますし、必要であれば15、16時間でも働きます。だから、クリスマス休暇は体のコンディションを良くするために使いたいです。それが必要なんです(笑)