シャルケの前半戦を振り返る
本来の力を出し切れず7位で折り返し
警鐘を鳴らしていたケラー監督
今季前半戦を7位で折り返したシャルケ。開幕前はジョーンズが「ブンデスリーガ優勝を目指す」と明言したほか、ドラクスラーやヘルト取締役もシャルケがドルトムントと同レベルにあると発言をするなど、期待は例年以上に膨らんでいた。
しかし現実は厳しく、ブンデスリーガでは上位争いどころか、欧州リーグ出場権が得られる6位以内にも入れておらず、DFB杯でも3回戦で姿を消している。欧州チャンピオンズリーグ(CL)では決勝トーナメントまで駒を進めたものの、グループステージではチェルシー(イングランド)に2度完敗し、欧州のトップクラブとの力の差が浮き彫りになった。
期待が高まっていただけに、7位という平凡な結果に対するクラブおよびサポーターの落胆は計り知れない。しかし、ケラー監督だけはこの状況を開幕前から覚悟していたようだ。「もちろん上位争いはしたいが、他のチームがどれだけ強いかも分かっているし、不用意に大口をたたくつもりはない。うちとしてはいい結果を出すために、とにかく全力を尽くすだけ」と警鐘を鳴らしていた。
そして迎えた2013/14シーズン開幕。ふたを開けてみれば、第3節を終えて得られた勝ち点はわずかに1。徐々に持ち直しはしたが、最後の最後まで高いパフォーマンスを維持することができなかった。ヘルト取締役は「勝った試合の中にも、満足のいくサッカーのできていなかった試合がいくつかあった。このままではいけない」と不満を口にしている。
期待通りの活躍ができなかった主力選手
今季のシャルケの特徴は、調子の波が激しいこと。ある試合でいいサッカーができても、次の試合で同じパフォーマンスを発揮することができず、チームとして勢いに乗るチャンスを逃した。第17節ニュルンベルクは悪い日のシャルケを象徴する試合となり、闘争心や勝利への意欲が見られないまま、今季未勝利のニュルンベルクと0-0で引き分けた。
調子に波があったことの理由として挙げられるのは、主力選手が期待通りの結果を残せなかったこと。例えばドラクスラーは自他ともに認める攻撃の中軸として開幕に臨んだものの、わずか1ゴールに終わっている。経験豊富な主将ヘーベデス、GKヒルデブラントも同様、チームの士気を高められず、主力としての役割を全うすることができなかった。
離脱者の続出
シャルケの目標到達を妨げたもう1つの要因は、負傷者が続出したこと。2011/12シーズンの得点王フンテラーはひざのじん帯断裂のため、今季の公式戦出場がわずか3試合にとどまっている。それに加え、アオゴ、ヘーガーが長期離脱、ファルファン、ボアテング、ヘーベデス、ドラクスラーも数試合の欠場を強いられた。
唯一の明るいニュースは、パパドプロスが1年以上の長期離脱から復帰したこと。これにはヘルト取締役も「彼のように負けず嫌いで、チームとファンを鼓舞できる選手がうちには欠けていた」と喜ぶ。パパドプロスの復帰は守備面では大きなプラスとなるだろう。ホッフェンハイムとのDFB杯3回戦では前半だけで3失点を喫したが、このような試合は確実に減るはずだ。
後半戦の焦点はブンデスリーガ
CLでは決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリード(スペイン)と対戦する。チェルシー戦で欧州トップクラブとの力の差が明らかになっただけに、過度の期待は禁物だ。後半戦の焦点は必然的にブンデスリーガとなる。ヘルト取締役は「目標を下げる気はない」とあくまでもCL出場権の獲得を狙うつもりだ。後半戦でシャルケはどこまで順位を上げられるのか。不本意な前半戦を送った主力の奮起に期待したい。
Dietmar Nolte (ディートマー・ノルテ)