スウェーデンのスポーツ史において「フォースベルク」という名は栄光と同義語だ。アイスホッケーで母国に2回の世界選手権優勝と2回のオリンピック金メダルをもたらしたピーター・フォースベルクは、ズラタン・イブラヒモビッチと並ぶ英雄であり、国民から愛情を込めて「フォッパ」と呼ばれている。そして今、スウェーデンのスポーツ界にはエミル・フォースベルクという新たな英雄が台頭。ワールドカップ欧州予選のプレーオフ第2戦を目前に控え、スウェーデン国民は、氷上でなく芝生の上で躍動する「ミニ・フォッパ」が、母国に再び栄光をもたらしてくれることを願っている。

マルメからライプツィヒへ

1991年にスウェーデンのスンツヴァルで生まれたフォールベルクは、2013年1月に地元クラブからマルメに移籍。マルメはイブラヒモビッチが最初にプレーしたチームとして知られる国内の強豪クラブである。マルメでは加入1年目にリーグタイトルを獲得。ブンデスリーガで披露しているゴール前での能力の高さは当時から発揮されていた。しかし、フォースベルクのキャリアが急激に変わっていったのは翌2014年からだった。

2年目にリーグ戦で29試合14ゴールを挙げ、チームのリーグ連覇に貢献。リーグの年間最優秀MFに選出され、スウェーデン代表にも招集された。さらに欧州チャンピオンズリーグの舞台でもハイパフォーマンスを発揮。欧州各国クラブのスカウトに注目されるようになるまで、さほど時間はかからなかった。

2015年1月には当時ドイツ2部のライプツィヒへ移籍。シーズン途中の加入にもかかわらず、デービー・ゼルケに次いでチーム2位の8ゴールを挙げた。2年目は攻撃の中心としてクラブのブンデスリーガ初昇格に貢献。そしてブンデスリーガ初参戦となった昨季は8ゴール19アシストを記録してクラブ躍進の原動力となった。

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ライプツィヒで急成長、母国の英雄へ

ライプツィヒのラルフ・ラングニックSDいわく、フォースベルク獲得時には当然のように「他のクラブからもオファーがあった」という。にもかかわらず、フォースベルクはライプツィヒ加入を選択。その背景にはライプツィヒの若手育成力、そしてクラブの野心があったことは言うまでもない。

ライプツィヒで大きく成長を遂げたフォースベルクは2016年3月にクラブとの契約を2021年まで延長。本人はその時のインタビューでこう話している。「このクラブは最高を目指しているし、僕も最高の選手になりたい。ずっと成長してきて、クラブで主要な役割を担っている。僕にとって完璧な状況だ。まだ貢献できることはたくさんあるし、クラブのために尽くしたい」

イタリアとのワールドカップ欧州予選プレーオフ、フォースベルク擁するスウェーデンはホームでのファーストレグを1ー0でモノにした。13日に行われるセカンドレグ、バイキングのヘルメットをかぶり、黄色と青のユニフォームを身にまとって敵地へと乗り込むスウェーデンの応援団は、ミラノの地で新たな英雄誕生の瞬間を目の当たりにすることになるかもしれない。

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