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レフティー特集①ダヴィド・アラバ

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ブンデスリーガで活躍するレフティーにフォーカスする新連載。第1回は長きにわたってバイエルン・ミュンヘンの主軸を担うダヴィド・アラバを取り上げる。

シーズン前半に苦戦を強いられていたバイエルンの復調は、昨年11月に就任したハンジ・フリック新監督の指導力によるところが大きい。そしてフリック監督からセンターバックの一角に据えられ、今や最終ラインの中央部で不可欠な存在となったのがアラバだ。

アラバはこれまでもペップ・グアルディオラ監督時代に3バックの左を任されるなど、持ち前のユーティリティー性で課されたタスクをこなしてきた。とはいえ、本職はあくまで左サイドバック。負傷離脱していたリュカ・エルナンデスの復帰後も、センターバックを担い続けると予想した者は少なかっただろう。

アルフォンソ・デイヴィスが左サイドバックとしてブレイクした影響もあるが、それ以上にアラバ自身のクオリティの高さがセンターバックとして起用され続けている要因だろう。とりわけ自慢の左足から繰り出す長短自在のフィードが攻撃の起点として機能している。

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ボールロストのリスクが少ない横パスや後方へのパスではなく、前線のロベルト・レヴァンドフスキやトーマス・ミュラーを目がけた鋭いフィードを何度となく繰り出しながら、パス成功率は91.6パーセントとハイアベレージ。アタッカーの動き出しを見逃さない視野の広さ、パスを出すタイミングの取り方も傑出している。

守備対応でも持ち前のスピードと俊敏性を生かし、快速アタッカーを苦にしない。フリック監督から守備の要として全幅の信頼を寄せられている。本人は『キッカー』誌に「今の位置がベストポジションだと思うか?」と問われて「うーん」と首をかしげていたが、センターバックとしても一流のプレーヤーであることは間違いないだろう。

今年2月に節目のプロデビュー10周年を迎え、同月には第一子が誕生。公私ともに充実の時を過ごしている。ブンデスリーガ優勝経験はすでに8度を数え、あと「1」で歴代最多のフランク・リベリーに肩を並べる。27歳にしてクラブ史に名を刻む存在となったレフティーに対し、バイエルンは最大級の賛辞を送っている。

「もはや彼のいないバイエルンなど想像できない」

文=遠藤孝輔

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