- © imago
- © imago
bundesliga

宮市亮:ついに実現した“兄弟対決”

xwhatsappmailcopy-link

11月8日に行われたブンデスリーガ2部第13節で、ザンクト・パウリの宮市亮が待ち望んでいた対決が実現した。相手は「本当のお兄ちゃんみたいな存在」と慕うボーフムのイ・チョンヨンだ。

2012年冬、当時アーセナルに所属していた宮市は、活躍の場を求めてボルトンに期限付き移籍した。慣れない新天地で当時19歳だった宮市を支えてくれたのは、2009年からボルトンに在籍していた韓国代表MFだった。「ボルトン時代、僕は彼なしではプレーできなかったと思う」

4歳上の“兄”からサポートを受けた宮市は、2012年2月11日のウィガン戦でプレミアリーグデビューを飾ると、デビュー2戦目のチェルシー戦では圧倒的なスピードでブラニスラフ・イヴァノヴィッチとガリー・ケーヒルを抜き去り、強烈なインパクトを残して定位置を確保。半年間で公式戦14試合出場と充実のシーズンを過ごした。しかしイ・チョンヨンは当時、右足の骨折で長期離脱を強いられていたため、ピッチでの“共演”は叶わなかった。

宮市がアーセナルに復帰して離れ離れになったが、その後も2人は親交を深めていた。2015年に加入したザンクト・パウリで、二度の長期離脱を余儀なくされていた時期も“お兄ちゃん”は遠くから支えてくれたという。「すごく気にかけてくれた。僕がケガをしていた期間、プロ生活を含めても、本当に大事な人です。僕が韓国に行ったり、彼がオフに日本に来たりと、すごくいい関係が築けています」

2018年夏にはイ・チョンヨンがボーフムに加入し、ブンデスリーガ2部を舞台に初めて同じピッチに立つチャンスが訪れた。しかし、2018年12月にボーフムで行われた試合ではイ・チョンヨンが、2019年5月にザンクト・パウリで行われた試合では宮市が、仲良く累積警告による出場停止処分で欠場。直接対決は実現しなかった。

そうして迎えた2019年11月8日、出会ってから約8年の歳月を経て、ついに2人が同じピッチに立つときがきた。今季レギュラーに定着した宮市はフル出場、イ・チョンヨンも7試合の欠場を強いられたひざのケガから復帰して今季初めてフル出場。試合は1-1で決着はつかなかったが、初対決を実現させた2人は試合後にユニフォームを交換してお互いの健闘を称え合った。

「ボルトン時代も一緒にピッチに立てなかったので、ようやくというか……。でも、前日に電話をして『明日はいよいよピッチに立てるね』みたいな話をしました。今日はピッチに立てて良かったです」。宮市はそう言って笑顔を見せた。

イ・チョンヨンも試合後、「リョウとの対戦は楽しかった」と優しい表情で語った。「彼はとてもいい選手で人柄もいい。いいシーズンを送ってほしいし、彼はもっと良くなると思う。この4、5年はケガのせいで不運なシーズンを送っていたが、彼がプレーする姿が見られてうれしいよ」

“兄”との初対決は宮市にとって大きな刺激となったようだ。「やっぱり彼がボールに触ると、すごく危険な感じがする。改めていい選手だなと思いました。韓国では英雄のような選手なので、僕も追い越していけるように頑張っていきたい」

念願の“兄弟対決”を経て、宮市はまた決意を新たに今後の活躍を誓った。

文=湊 昂大(Text:Kota Minato)