アイントラハト・フランクフルト、長谷部誠 - © Aley Grimm / Bongarts / Getty Images
アイントラハト・フランクフルト、長谷部誠 - © Aley Grimm / Bongarts / Getty Images
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長谷部誠インタビュー・前編 「日本代表はアジアのトップでなければならない」

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今季前半戦のベストチームの一つに数えられるアイントラハト・フランクフルトで、一際存在感を発揮したのがチーム最年長の長谷部誠だ。アディ・ヒュッター監督から「絶対的な存在」と大きな信頼を寄せられ来季末まで契約を延長、アジア・サッカー連盟から最優秀国際選手にも選ばれた。ブンデスリーガで10年以上の経験を積んだ34歳の止まることのない前進に世界が再び注目している。

ーーアジア・サッカー連盟(AFC)最優秀国際選手賞、おめでとうございます!まず初めに、この賞を受賞した感想をお聞かせください。

長谷部 光栄です。これまではあまり個人的な賞とは縁がありませんでしたし、ましてや、どちらかというとディフェンシブな選手がこういう賞を受賞することは多くないと思います。世界で多くのアジアの選手が活躍する中で、自分を選んでいただいたことが非常に嬉しいです。

日本代表のW杯でのプレーはもちろん、アイントラハト・フランクフルトとして2018年にポカール(DFB杯)優勝できたことも受賞の大きな理由だと思います。チームメイト、監督、コーチ、スタッフ、ファンの皆さんの力がなかったら間違いなく受賞できなかったと思います。心から感謝したいです。

ーー30歳を超えた選手がAFC最優秀国際選手賞を受賞するのは初めてのことだそうですが、長くトップ・プレーヤーとして活躍するために必要なことはなんですか?

長谷部 もちろん難しいです。日々のトレーニングや食事、睡眠、体のケア、そういう基本的なことがすごく大事だと思います。

でも、それ以上に大事なことがあります。僕自身が、この年齢でブンデスリーガというトップレベルのリーグでプレーできているのは、変化に対応してこれたから。自分はブンデスリーガに来てから様々なポジションでプレーしてきました。中盤でもサイドでも、そして今はディフェンスをやっていますし、1回はゴールキーパーをやったこともあります。

チームに何が必要か、そして現代のフットボールには何が求められているのか、そういったことをしっかり頭で考え、整理して、それに沿って自分を変化させ、対応して来たことが長くプレーしてこれた一番大きな理由だと思います。

ーーゴールキーパーを務めたのはヴォルフスブルクに所属していた2011年のホッフェンハイム戦、最後の9分間でしたね。

長谷部 あの場面で、監督から自分が指名されたことにもびっくりしましたし、1失点を食らってしまいました。けど、今では自分にとっては笑い話にできる経験であり、まぁ自分がゴールキーパーとしてピッチに立っている間は何をしたらいいのか分からなくて、かなりドキドキしましたけど……。

※「長谷部誠、再評価の理由」はこちら

- Alex Grimm/Bongarts/Getty Images

ーー長谷部選手がキャプテンとしてチームを率いたW杯で日本代表はベスト16と躍進ました。チームのキャプテンとしてどんなことを感じていましたか?

長谷部 日本を代表してプレーすることは、すごく誇り高いものでした。それに約8年間、日本代表のキャプテンを務めさせていただく中で、自分自身の責任をすごく感じていて、その責任は自分にとってすごく大きなものでした。「長谷部誠」という人間を形成する上で大きな経験だった。

もちろん移動も多く、ドイツから日本へ往復して試合をするというのはハードな面もありましたけど、ハードな面以上に自分にとっては誇りであり喜びでした。今はそこに一つ区切りをつけて別のサッカー人生を歩んでいますけど、自分にとって日本代表っていうのはすごく特別な場所です。

ーーアジアカップで日本代表に期待することは?

長谷部 僕自身も二度、アジアカップは経験していて、2011年は優勝することができました。2015年はベスト8で敗退してしまったんですけど、アジアの大会も本当に簡単じゃない。

アジアの国々のサッカーのレベル自体も上がっていますし、環境の違いやレフリー、ピッチの状態など様々な面で難しいことがあるんです。だから、勝ち続けることは簡単なことじゃないですけど、その中でも日本代表はアジアでトップでなければいけないと思うし、僕自身も日本代表に対して大きな期待を持っています。

ーーアジアカップで注目すべき日本人選手は?

長谷部 これまで一緒にプレーしてきた選手もいますけど、これからの日本代表にはもっと若い選手が出てこないと世界では勝てないと思うので、若い選手に注目したいですね。多くの経験を積んで、より上のステップに進んで欲しいと思います。

ーーブンデスリーガや国際大会で世界トップレベルの選手と対戦して来られました。アジアの国々が南米や欧州と対抗して行くために必要なことは何だと思いますか?

長谷部 はっきりした答えは、まだ持っていません。僕は10年以上、日本を離れてプレーしていますけど、日本のサッカーは確実に進化しています。ただ、ヨーロッパなど世界のサッカーもより速いスピードで進化しているので、そこの距離を縮めて、追いつけ追い越せとやっていくにはまだまだ時間がかかると思います。もちろん、日本の中で「サッカー文化」というものをもっと根付かせて行く必要もあるし、もちろん選手は海外に出て経験を積むことが大事です。そして、選手だけではなく指導者が海外に出て学ぶことも必要だと思う。日本サッカーとしてやらなければならないことは本当にたくさんあると思います。

- Koki Nagahama/Getty Images

動画:ブンデスリーガ在籍10年、長谷部の「トップ5モーメント」