マリオ・ゲッツェかマリオ・ゴメスかーー? 欧州選手権(EURO)グループステージ最終節の北アイルランド戦を前に、ドイツ代表のFWについて議論が巻き起こっていた。当日、ヨアヒム・レーフ監督は最初の2試合に先発したゲッツェを2列目に下げ、ゴメスを1トップに起用。しかし、変更点はそれだけではなかった。2年前のW杯で本職はCBながら右SBとして全7試合にフル出場したベネディクト・ヘーベデスに代え、ヨシュア・キミッヒがスターティングメンバーに名を連ねた。

 

ユーザー投票でマン・オブ・ザ・マッチ

ドイツA代表として2試合目、EUROのデビュー戦となったこの試合、キミッヒは何度も右サイドを駆け上がると、クロスを計9回入れた。ボールタッチ数100回で、パス成功率は85%。1対1の勝率は57%、走行距離はこの試合のドイツ代表最長となる12kmだった。この数字だけで、キミッヒがこの試合でどれほど目立った活躍をしたかお分かりいただけるだろう。事実、ドイツサッカー連盟(DFB)が公式HPで実施した投票では、得点者のゴメスを抑え、76.5%の票数を獲得したキミッヒがマン・オブ・ザ・マッチに輝いている。ポジションを奪われた形になったヘーベデスも「彼を起用するのは、監督の正しい判断だった」と自身のツイッターでキミッヒを賞賛した。

オールラウンダー

ボランチのキミッヒが不慣れなポジションを任されるのはこれが初めてではない。バイエルン・ミュンヘンのジョゼップ・グアルディオラ監督は昨季、例えば「デア・クラシカー」という大事な一戦でキミッヒをCBに起用した。キミッヒはこの大役を見事に務め、ドルトムントを無失点に抑えている。

ドイツ代表でもユーティリティープレーヤーとして重宝されることになったキミッヒだが、これは2年前のW杯で代表を勇退した前キャプテンのフィリップ・ラームを思い起こさせるものがある。ただし、キミッヒは「ラーム選手と比較されるのは恐れ多い」と以前のインタビューで話している。 

「グッド・ジョブ!」

ドイツ代表は2勝1分でグループステージ1位での突破が決定した。キミッヒは「まだ鳥肌が立っているよ。とても特別な気持ちだ。まだ信じられない」と試合後、フェイスブックで自身の気持ちをストレートに表現している。また、CBジェローム・ボアテングはキミッヒの写真とともに「グッド・ジョブ!」とツイッターに投稿した。

ドイツ代表は6月26日、ラウンド16でスロバキアと対戦する。奇しくも、5月29日にキミッヒがA代表デビューを飾った相手だが、この試合は1-3で敗れている。今回はどちらに軍配が上がるだろうかーー。確かなことは、今後10年はドイツ代表を担っていくであろうキミッヒの物語が今大会から始まったということだ。