リベリとバイエルンの10年物語

xwhatsappmailcopy-link

今から10年前の2007年夏、24歳でバイエルン・ミュンヘンに加入したフランク・リベリは、どこかシャイで、周囲のちょっとした手助けにも感謝する謙虚な若者だった。そのリベリに対してクラブが最初に贈ったのは、サッカーの基本用語を仏語と独語でまとめた薄い冊子だった。「1日も早くチームに馴染んでほしい」。そんなクラブの気遣いがあったからこそ、今のリベリがある。

出会った瞬間から育まれてきた幸せな関係

チーム加入11年目を迎えるこの夏、リベリはクラブから自身の雄姿がデコレーションされたケーキをプレゼントされた。本人は「来た時はこんなに長く住むことになるなんて思っていなかったよ」と笑うが、今では夫人と4人の子どもたちもミュンヘンでの生活をすっかり気に入っているという。

両者のストーリーは、バイエルンが170センチの小柄なドリブラーに一目惚れしたところから始まった。リベリは加入直後こそ引っ込み思案なところを見せていたが、それも最初の1週間だけ。オットマー・ヒッツフェルト監督の下で開幕戦に先発出場を果たすと、続く第2節のブレーメン戦で早くも移籍後初ゴールをマークし、瞬く間にチームの中心選手となった。

「ピッチに立ったらフィーリングで動くんだ。まるで子どもみたいにね」。リベリは自身のプレースタイルをそう描写する。直感で動く分だけムラもあり、時にそれがアダになることもある。2009/10シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝で退場処分を受け、インテル(イタリア)との決勝戦に出場できなかったのは苦い経験の一つだろう。

それでもそのシーズンは国内2冠を達成。リベリはミュンヘン市庁舎で行われた優勝報告会で、集まったファンに向かって「あと5年やる!」と契約延長を発表し、その人気を不動のものとした。

- © gettyimages / Alexander Hassenstein
- © Imago
- © imago / Lackovic