宇佐美が加入したフォルトゥナ・デュッセルドルフは第11節を終えてブンデスリーガ2部の首位に立っている - © © imago / Laci Perenyi
宇佐美が加入したフォルトゥナ・デュッセルドルフは第11節を終えてブンデスリーガ2部の首位に立っている - © © imago / Laci Perenyi

宇佐美「どれだけインパクトを残せるか」

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宇佐美貴史は今夏、移籍市場が閉まる直前にアウクスブルクからブンデスリーガ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフへ1年の期限付きで移籍した。新天地ではデビュー戦でいきなりゴールを挙げ、好調を維持するチームに貢献する同選手にインタビューを行った。

——あらためて、アウクスブルクからフォルトゥナ・デュッセルドルフに期限付き移籍を決断した理由をお聞かせください。

宇佐美 アウクスブルクでは戦力として数えられてなかったと思います。自分自身、それをひしひしと感じていました。試合に出て、結果を残したいと思っていましたが、まず試合に出るチャンスが来ないだろうと。その中でフォルトゥナから声を掛けてもらい、こちらに来た方が自分にとって絶対にプラスになると思いました。

——ブンデスリーガのシーズンが開幕してからの移籍となりましたが、それはオファーのタイミングによるのでしょうか?

宇佐美 僕自身、まずはシーズンが始まってからどのような立場になっていくのか見てみたいというもありました。準備期間、そしてシーズンが始まり、自分でもいろんなことを感じながら、「やっぱり出たほうがいい」と思ったタイミングと、フォルトゥナが声を掛けてくれるタイミングが合ってという感じですね。

——宇佐美選手の加入時、フォルトゥナは第4節を終えて3勝1分で首位に立ったところでした。好調をキープするチームに途中から入るのは難しかったですか?

宇佐美 勝っている分、選手や布陣を変える必要がないですからね。でも、僕自身もコンディションなど整ってない部分があったし、監督からは「うちには良い選手が十分いるし、少し時間は掛かると思う」という話をされました。だから急がず、焦らずに、自分の体と向き合いながら、しっかりとコンディションを上げていくことができています。そこを焦ってしまうと、最悪の場合はけがにつながることもあると思うし、焦っている分、コンディションが上がらないこともあると思います。でも、今は良いペースで自分と向き合うことができています。

——これまでドイツではバイエルン・ミュンヘン、ホッフェンハイム、アウクスブルクと渡り歩いてきましたが、フォルトゥナというクラブの印象は?

宇佐美 良い選手が多いですし、人間的にも良い選手が多いです。ドイツではよくあることですが、例えば誰かがミスした時に叱咤激励を超えるほどやじを飛ばす選手が多いのですが、ここの選手はそれがあまりなく、「切り替えろ」などポジティブな声を掛けてくれます。前にいたチームは言い合いみたいになっていたので、それに比べると少し静かな印象はありますね。練習も全体的に良い雰囲気でやっています。

——ブンデスリーガ2部の印象、レベルはいかがですか?

宇佐美 もちろん、ブンデスリーガとは比べられないですけど、レベルは高いと思います。若くて良い選手や、フィジカル的にタフな選手が多いですし、しっかりとした個を持った選手もいます。2部とはいえ、うちのクラブもそうですが、毎試合、1、2万を超えるお客さんが入っています。

- © gettyimages / Lukas Schulze

——ブンデスリーガ2部でプレーする内田篤人選手(ウニオン・ベルリン)や関根貴大選手(インゴルシュタット)と情報交換することはありますか?

宇佐美 関根君とは日本で一度、ご飯に行ったことがあって、アウクスブルクとインゴルシュタットは近いので「ご飯に行こうね」と言ってたんですが、僕がデュッセルドルフに来てしまったので会わずじまいです。篤人君はデュッセルドルフの街を紹介してもらったり、篤人君が住んでいた家に「住んだら?」という感じで家を見せてもらったりしました。

——ヨーロッパでプレーする日本人選手たちがよくデュッセルドルフで会っているという話を聞きますが、他の選手との交流はありますか?

宇佐美 全く連絡取らないですね。嫌われてるのかな?(笑) もしこの先、そういう集まりがデュッセルドルフであって、僕がお声を掛けていただけなかったら、確実に嫌われてるってことですね。僕がデュッセルドルフに住んでるのは皆、わかってるじゃないですか? デュッセルドルフでご飯に行こうってなったら、「あれ、デュッセルドルフに誰かいなかったっけ?」って話になって、「ウサ、デュッセルドルフじゃん?」って普通、なりますよね。もし次、そうならへんかったら僕の責任です。もし誘っていただけへんかったら、嫌われてるってことで(笑)

——デュッセルドルフはどのような街ですか?

宇佐美 きれいです。高級ブランド街もあって都会ですが、行き過ぎてない。コンクリートジャングルという感じでは全くないし、少し街中を離れたら、自然がいっぱいあって、子どもと一緒に過ごすのもすごく楽です。僕の家の裏側には小川が流れているし、外をぱっと見たらリスが歩いていたりする。朝、しばらくリスを眺めながらコーヒーを飲むっていう、これ25歳でやったらあかんなっていう朝の過ごし方をしてます(笑)

——日本食のスーパーもありますし、奥様がお料理するのも楽なのでは?

宇佐美 アウクスブルクに居た時は1時間かけてミュンヘンの日本食材店に行ったり、デュッセルドルフの日本食スーパーから配送してもらっていましたが、今ではそのスーパーにすぐに買い物に行けるので、嫁さんもすごく喜んでいます。

「普段通りのサッカーができれば間違いなく勝てる」

——レンタル元であるアウクスブルクの試合を見たり、結果を気にしたりはしますか?

宇佐美 だいたい見てます。メンバーやどういうサッカーになってるかなと。基本的には僕がいた時と変わらないですね。守りながら、1、2本の少ないチャンスをしたたかに決めていくという感じのサッカー。一時期、5-3-2をしてるときもあったし、4-5-1とか4-4-2とかいろいろやってる感じはありますね。

——次節(ブンデスリーガ2部第12節)は10月30日(月)、アウェーでボーフムと対戦します。

宇佐美 先日、ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)でメンヘングラートバッハ(ボルシアMG)に負けたので、立て直すには良い機会だと思います。強いチームや最終的に優勝争いをするチームは連敗しなかったり、一度崩されてもそのまま崩れ切らないことが絶対条件だと思います。この前、フュルトに完敗した後から連勝を続けられているので、負けた次の試合は本当に大事になる。自分たちの普段通りのサッカーができれば間違いなく勝てるという自信を皆が持っているし、僕自身もそういう自信があります。個人的には試合にできれば最初から出て、まずはしっかりチームとして結果を出すこと、そして個人としても結果を出し、勝ち点3を持ち帰りたいと思います。

- © imago / Laci Perenyi