武藤嘉紀(右)が所属するマインツのマーティン・シュミット監督(左)は昨季、後半戦から低迷していたチームを降格争いから救った - © © DFL DEUTSCHE FUSSBALL LIGA / Grimm
武藤嘉紀(右)が所属するマインツのマーティン・シュミット監督(左)は昨季、後半戦から低迷していたチームを降格争いから救った - © © DFL DEUTSCHE FUSSBALL LIGA / Grimm

マインツ武藤の指揮官「トゥヘル監督が手本」

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武藤嘉紀の所属するマインツは、第8節終了時点で4勝4敗で8位につけている。昨シーズンの2月、同クラブU-23からトップチーム監督に就任したマーティン・シュミット監督に現在のチームの状況やサッカースタイル、手本とする指導者などについて聞いた。

ーーマインツは8試合で勝ち点12を獲得しています。今シーズンのここまでをどう評価しますか?

シュミット監督 第5節終了時点で勝ち点は9でした。そして第7節終了時点でも9のままだった。シーズン始めは物事が急激に変わるものです。たった1、2試合で良いスタートか、悪いスタートかに分かれることがありますから。

ーーそれでも第8節のダルムシュタット戦のように、取りこぼしてはいけないところで勝ち点を獲得していることはポジティブな傾向ではないでしょうか?

シュミット監督 常に大事な試合で勝てるかどうかです。もし苦労して、バイエルン戦を引き分けに持ち込んだとしても、次のダルムシュタット戦で負けてしまったら意味がないですから。これは昨シーズンの後半戦で我々が学んだことです。

ーーお手本にしている指導者はいらっしゃいますか?

シュミット監督 ここ数年は常にトゥヘル監督(現ドルトムント)を手本にしています。彼は欧州サッカー連盟の指導者養成コースで私のインストラクターでした。また幸運なことに、その後はマインツで彼のアシスタントを務めることができました。彼はいつも高いレベルのコーチングをしてくれます。私が重きを置いていたのはコンディション、メンタル、スピードでした。彼からは多くの戦術を習い、よりバランスの取れたコーチになることができました。

ーー昨今のサッカーには2つのタイプがあります。バイエルンのジョゼップ・グアルディオラ監督のようなポゼッション・サッカーとユルゲン・クロップ監督(前ドルトムント、現リバプール/イングランド)やトゥヘル監督が得意とするハイプレッシャーなサッカーです。

シュミット監督 その2つの型は現在、融合しつつありますよ。2つのタイプのバランスの問題であり、また私が思うにモダンなサッカーは両方をやらなければいけないと思います。

ーー昨シーズン途中でカスパー・ヒュルマンド前監督からチームを引き継いだとき、チームは降格争いをしていました。

シュミット監督 だからこそ、マインツの典型的なスタイルでプレーすることが重要だったんです。つまり、プレッシングとカウンターです。それで残り13試合で5勝できました。今は次の段階へステップアップしなければなりません。1シーズンをカウンターだけでプレーするわけにはいきませんから。

ーーそのスタイルは選手たちの疲労度が大きいように思いますが・・・。

シュミット監督 確かにそうです。しかし、 私は体育理論に重きを置く指導者です。それが私にとって基本です。モチベーションを上げたり、戦術あるいは走行力にフォーカスしている監督はいますが、それらは勝利を保証してくれるものではありません。ただ、試合終了までプレーできるというだけです。

ーー選手が監督を信頼し、ついてくるというのは一番重要なことでしょうか?

シュミット監督 私はモーゼのように人々のために海を割って道をつくるようなことはしたくありません。でも、監督は言葉で選手を動かさなければいけないと思っています。毎試合の直前に情熱的なスピーチはできませんが、時々は「きょうはお前の番だ。さぁ、この試合で特別なことをやってきてくれ」と言わなければなりません。人はその人を愛さない限り、その人を導くことはできません。一人の人として接することが大事なのです。

ーーブンデスリーガの監督となって半年、最も驚いたことは?

シュミット監督 私の立場が変わっていくことに驚いています。例えば先日、バーセルで電車の乗り換えをしたのですが、車掌さんが私に、『運転手と一緒に写真を撮らせてもらえないか』と聞いてきたんです。これには驚きましたよ。でも私自身は6カ月前となんら変わりはないのですが。