Summary

  • 4年半ぶりに“デア・クラシカー”で指揮を執るハインケス監督
  • ドルトムント戦は三冠を達成した2012/13シーズンのCL決勝以来
  • 首位バイエルンと2位ドルトムントの勝ち点差は「3」

10月6日にバイエルン・ミュンヘンがユップ・ハインケス監督の就任を発表した時、ドルトムントの関係者の脳裏には苦い記憶がよみがえったことだろう。52カ月前、ドルトムントを奈落の底に突き落とした指揮官が、同じ目的を胸にピッチサイドに戻ってきた。

似たシチュエーションでの復帰

思えば、ハインケス監督が“3度目”の就任を決意した2011年夏も、状況は今回と似ていた。前回はバイエルンがユルゲン・クロップ監督率いるドルトムントにブンデスリーガのタイトルを奪われた直後。そして、今回はペーター・ボス監督率いるドルトムントに勝ち点「5」差をつけられたタイミングだった。つまり、ハインケス監督はバイエルンの存在を脅かすライバルが現れるたびに、自ら戦いの場に足を踏み入れているのである。

今季のバイエルンは開幕から安定せず、リーグ6連覇へ暗雲が漂っていたが、それも5週間前までのこと。ハインケス監督は瞬く間にチームを立て直し、公式戦で6連勝を達成した。欧州チャンピオンズリーグ(CL)でセルティックに連勝し、ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)ではライプツィヒをPK戦の末に下して3回戦に進出。ブンデスリーガではフライブルクハンブルカーSV、ライプツィヒに3連勝を飾り、今季初めて首位に立った。

前回の成績

ハインケス監督のドルトムント戦での通算成績は6勝5分け6敗と平凡だが、ここで重要なのは“直近”の対戦での勝利だろう。2012/13シーズン、バイエルンはドルトムントのリーグ3連覇を阻止し、DFB杯でもドルトムントを下して決勝に進出。そして初のドイツ勢対決となったCL決勝ではアリエン・ロッベンの劇的な決勝点で、ウェンブリー・スタジアムの半分を占めていた赤いサポーターを狂喜乱舞させた。その後、DFB杯決勝でシュトゥットガルトを下したチームはドイツ史上初の三冠を達成。引退を表明していたハインケス監督は有終の美を飾り、バイエルンの黄金時代がスタートする。

当時68歳だったハインケス監督は次のように語っていた。「我々は誰も成し得なかったことを達成した。2位に25ポイント差をつけて優勝、これだけ高いレベルで安定したシーズンを戦えるチームはこれまでになかった。私の後任監督は完璧に準備されたチームを引き継ぐことができる」

さらなる栄光へ

こうしてバイエルン史上最高のチームを受け継いだペップ・グアルディオラ監督とカルロ・アンチェロッティ監督は、2人合わせて4度のリーグタイトルを獲得。そして今、栄光の礎を築いた張本人が優勝請負人としてクラブに戻ってきた。

ハインケス監督は復帰会見の席で次のように話した。「復帰を計画していたわけではなかったが、バイエルンはいつも私の心にあった。他のクラブだったら復帰はなかっただろう。バイエルンに成功をもたらしたい。契約期間を超えて指揮を執るつもりはないがね」

バイエルンとドルトムントの勝ち点差は「3」。バイエルンが“デア・クラシカー”に勝利するとその差は一気に6ポイントにまで広がる。ドルトムントのサポーターは、敵将が「契約期間を超えて指揮を執るつもりはない」という言葉を撤回しないよう願っていることだろう。