主将ラーム(左)は本職の右SBよりボランチとしての出場が多かったが、与えられた役割を見事にこなし能力の高さを見せつけた
主将ラーム(左)は本職の右SBよりボランチとしての出場が多かったが、与えられた役割を見事にこなし能力の高さを見せつけた

史上最速Vで2冠達成

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バイエルンの2013/14シーズンを振り返る

MVP:DFフィリップ・ラーム

今季のバイエルンは29勝2敗3分の勝ち点90で、1963年のブンデスリーガ発足以来23度目となる優勝を果たした。第27節(3月25日)でのV確定によって、昨季第28節で記録した史上最速優勝を自ら更新した。5月17日のDFB杯決勝では延長戦の末、宿敵ドルトムントを2−0で破って2冠達成。欧州チャンピオンズリーグ(CL)では準決勝進出もレアル・マドリード(スペイン)に敗れ、2年連続の3冠は逃したが、タイトル2つを獲得し国内では圧倒的な強さを誇った。

右SBのスペシャリストは今季、守備的MFとして先発することのほうが多かった。しかし、どのポジションであろうとこの多彩なドイツ代表選手は与えられた仕事を見事にこなしてみせた。ラームは常に試合をコントロールし、1試合平均94回のボールタッチ数を記録。パスミスはリーグ最少だった。グアルディオラ監督はこの30歳のベテラン選手を、就任から数日後に「これまで指導した中で最もインテリの選手」と評している。スペインの強豪バルセロナでメッシ、シャビ、イニエスタらを指導してきた名監督のセリフだということを考えれば、印象に残ることばだ。

成長株:DFラフィーニャ


グアルディオラ監督にとって大当たりだったのが、ラフィーニャだ。この右SBはバイエルン新監督の戦術的変更およびラームの負傷によって守備的MFとしてチャンスを得た。28歳のラフィーニャはその際、エキスパートからはすでに窓際族と見られていた。2012/13シーズンにバイエルンへやってきたものの、このシーズンは13試合出場にとどまったからだ。ユップ・ハインケス前監督はグアルディオラ監督と違い、ハビ・マルティネスをボランチに置き、ラームを右SBに起用した。しかしグアルディオラ監督の戦術変更、そしてラームのけがによって、ラフィーニャはボランチで開花。今季は28試合に出場し、うち先発は25回だった。それだけでなく、3月初旬には南アフリカで行われた試合で6年ぶりにブラジル代表への復帰も果たした。

総括と展望


史上最速リーグ制覇および宿敵ドルトムントを下してのDFB杯優勝にもかかわらず、バイエルン陣営の雰囲気はさほど熱狂的ではない。CL敗退ではレアル・マドリードに明らかな実力差を見せつけられた。グアルディオラ監督は、決して譲らない高いボール支配率による戦術について自己弁護しなくてはならなかった。下記リーグ中断期間には、戦術に磨きをかけ、サッカー哲学を再度浸透させるため十分な時間がある。グアルディオラ監督にはチームをさらに改善していける可能性はある。


バイエルンの今季を写真で振り返る