昨季は3位につけ、今シーズンもまたレーバークーゼンは上位を目指す
昨季は3位につけ、今シーズンもまたレーバークーゼンは上位を目指す

幅広く補強

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ブンデスリーガ今季みどころ

クラブと町の顔、キースリング

ここ10年連続で、ブンデスリーガで一けた台の順位をキープしているチームは、バイエルンのほかにもう一つしかない。レーバークーゼンだ。この間、国際大会出場を逃したのは2度のみ。ブンデスリーガにおけるいわゆる「ヘビー級」、トップクラスのチームである。だが昨季までちょうど20シーズン連続で、一つもタイトルを取れていない。

それでもFWシュテファン・キースリングは昨季、個人タイトルを獲得した。25ゴールという記録は、チャンピオンズリーグ本選出場権を得られるリーグ3位となったチームに貢献しただけでなく、クラブ新かつ得点王という結果に結びついた。


29歳のキースリングはいま、サッカー人生で最高のフォームにある。レーバークーゼンの顔という存在に成長し、他のどの選手よりもクラブと一体感を持ち、レーバークーゼンで家族と幸せに暮らしており、移籍のうわさで周囲を騒がすこともない。ドイツ代表のレーフ監督から代表に再招集されるという望みは振り切り、真の意味で開花した。レーフ監督は方針に合わないからとキースリングの再招集は見送っているが、レーバークーゼンにとっては完全に不可欠な存在だ。

しかしそれは同時に、チームにとっては危険なことである。キースリングが負傷し欠場を余儀なくされた場合、サミ・ヒピエ監督は問題を抱えることになるのだ。キースリングとの素晴らしい調和をみせ、昨季11得点7アシストしたアンドレ・シュアレを、クラブはチェルシー(イングランド)に売却してしまった。

シュアレの代役は孫とクルーズ


そのためクラブはシュアレの代役として、若手で有能なFW孫興民(ソン・フンミン)をハンブルガーSVから、ウイングにはロビー・クルーズをデュッセルドルフから獲得。攻撃面で新たなオプションがこうして生まれたため、相手チームにはさらに厄介になるだろう。孫が昨季、シュアレよりも多い12ゴールを決め点取り屋としてのクオリティーを向上させたのに対して、クルーズは昨季8アシストと、ゴールに導く才能を発揮している。

攻撃陣だけでなく、他の全てのポジションも補強。控えGKのひとりとして、10月で40歳になるスペインのベテラン、アンドレス・パロップを獲得した。ディフェンスではイタリアU21代表のジュリオ・ドナティをインテル・ミラノ(イタリア)から、代表戦65試合出場という経験豊富なボスニア代表エミル・スパヒッチをセビージャ(スペイン)から、さらに19歳のコンスタンティーノ・スタフィリディス(テッサロニキ/ギリシャ)と契約を結んだ。というのも新加入の元シュトゥットガルトのロベルト・ヒルバートの本職は守備的MFだからだ。

主力にも変化


7選手が加入した一方で、ミヒャエル・カドレツ、ダニエル・カルバハル、ダニエル・シュバープ、マヌエル・フリードリッヒら長年在籍した主力らを含む11選手が退団した。総合的には、ドルトムントに勝ち点1及ばず3位で終えた昨季に比べ層が厚くなったと言える。

本体の人事にも動きがあった。9月30日に勇退するウォルフガング・ホルツホイザー社長の後任には、現在バイエル株式会社の国際広報部長で、2007年からはクラブ経営にも加わったミヒャエル・シャーデ氏が決まった。トップチームの監督も2人体制から1人に変更。ザーシャ・レバンドフスキ氏が自らの希望でユース部門の指導者に復帰し、ヒピエ氏は今季から単独監督として指揮を執る。

目標は4位以内


ブンデスリーガとCLの双方で好成績を残すことは、このところ複数の著名な指導者がレーバークーゼンを率いても果たせなかった。ヒピエ監督には期待がかかる。過去4シーズンのブンデスリーガの最終成績は順に4位、2位、5位、3位。今季は再び4位以上に入ることが目標であり、それが叶えば大きな成功である。

バイエルン、ドルトムント、シャルケという強敵をみる限り、それ以上の結果はどちらかといえば難しそうだ。1993年にヘルタのセカンドチームに1-0で勝利しDFB杯優勝を飾ったが、それ以降20年もタイトルから遠ざかっている。

以来クラブは「万年2位」のイメージと戦っている。その20年間にクラブはリーグ2位を5回、DFB杯の決勝での敗退を2回、そして2002年にはCL決勝敗退。だがタイトルはなくとも、成績は非常に良い。このまま突き進むだけだ。

トビアス・ゴンシェロフスキ(Tobias Gonscherowski)

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