ライトナー(右)はシュトゥットガルトの新たな期待の星だ
ライトナー(右)はシュトゥットガルトの新たな期待の星だ

転換のとき

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ブンデスリーガ今季みどころ

言い訳はもう通用しない

DFクリスティアン・モリナーロが今夏置かれた状況を見れば、今季のシュトゥットガルトがかなり上向きだというのが分かる。モリナーロ自身は過去数年、左サイドバックの主力だった。しかし今季は定位置を失う確率がこれまでで最も高く、相変わらず移籍を考えているという。理由は今夏の大型補強だ。クラブはダニエル・シュバープ、ゼルチャン・サララー、トーステン・キルシュバウム、マルコ・ロハス、パトリック・フンク、モーリッツ・ライトナー、モハメド・アブデラウエに、モリナーロのライバルとなる左サイドのコンスタンティン・ラウシュを含めて8人もの選手を獲得。クオリティーは確実に高まっている。

これにはラバディア監督も「必要としていたメンバーがそろった」と大満足。昨季まではしばしば、チームの欠点を何とか目立たないようにすることに重点を置かざるを得ず、また選手層の薄いことを不満として上層部にぶちまけた監督だったが、今夏ようやく内部でも外部でも要求を満たすことができたようだ。昨季は薄い選手層よりもサッカー自体に問題があったシュトゥットガルトに、転換のときが訪れている。サッカー的に上昇する時期になるのだろうか。

「熱狂させるサッカー」を今季のラバディア監督は目指している。47歳の指揮官はこれまで同様、常に上位5チーム入りという期待を胸に抱く。経済的な問題から、バイエルンやドルトムントとは同等になれないものの、2強を追うチームのひとつになれると考えている。


今夏の補強で評価を上げたスポーツディレクターのフレディ・ボビッチ氏もそのことはよく理解しており、「チームのあるべき位置ではない」と率直に述べている。昨季は12位という、残留争いはなくとも上位争いには食い込めない、いわゆる「どうでもいい中堅クラブ」で終わったが、再びこのような結果になるのはごめんだろう。クラブ上層部は今季、目に見えない危険を防がなければならない。新加入選手という基盤によって、成功への道のりは見えている。言い訳はもう通用しない。ラバディア監督が早々にプレッシャーを感じることもあるだろう。

イビシェビッチへのサポートがついに加入


チームとしては昨季終盤、特にDFB杯のようなパフォーマンスの良かった試合での調子を今季に持ち込みたいところ。僅差で敗れた昨季の同大会決勝のバイエルン戦は、望みをつないだ。シュトゥットガルトにもいいサッカーができるということを、全国区に示したのである。これが誤解ではなかったことを、今季は証明しなければならない。

メンバーを見れば、特に攻撃面の補強が明らかだ。点取り屋の役割を1人で担うしかなかったFWイビシェビッチも、ついにサポートを受けられることになった。ハノーファーから加入したアブデラウエは経験豊富なFWで、プレースタイルも「センターFW」タイプのイビシェビッチとよく合う。さらにけがから復帰しスタンバイするカカウは、ベストの状態であればどんなチームでも戦力になる選手だ。定位置争いの激化につながり、ラバディア監督にとっては前線のポジションチェンジがようやく可能となる。中盤でも、ドルトムントから期限付きで移籍してきた若手のライトナーに期待がかかる。

目標は「4位から9位」


しかしシュトゥットガルトではサッカー的な改善のみならず、真のチームプレーヤーであるベアント・ワーラー氏の新会長就任によって、経営面でも落ち着きを取り戻すだろう。ワーラー氏はシーズンの目標を「4位から9位」に定めている。シュトゥットガルトにとっては現実的な数字だ。

イェンズ・フィッシャー(Jens Fischer)

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