ルディ・ボマー監督(後方左)はシーズンの目標に一ケタ順位を挙げる(©Imago)
ルディ・ボマー監督(後方左)はシーズンの目標に一ケタ順位を挙げる(©Imago)

安定した戦いを

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ブンデスリーガ2部今季みどころ

最大の問題は不安定さ

2年前のあわや降格かという状況から、昨季は見事に復活したコトブス。だが上位3チームに入るにはまだまだ不十分だった。今シーズンはどこを目指して進んでいくのだろうか。

ルディ・ボマー監督はbundesliga.deのインタビューに対し、昨季同様「現実的な目標は一けた順位」と答えた。3部への自動降格圏にまで一時は転落した2011/12シーズンに比べれば、2012/13シーズンの成績は向上した。しかし、かつてブンデスリーガにも所属したことがあるとはいえ、現在これより高い目標は掲げるべきでないだろう。


「もちろん今季はより長期的に上位で戦えたらいいが」と本音を明かすボマー監督。いい試合が続いたかと思えば、不可解な連敗を喫するなどといったチームの最大の問題点を把握しており「特に安定した戦いをしたい」と言う。

移籍でどう選手を動かしたかが、クラブの今後の道のりを決めるかもしれない。昨季の中心選手のうち、ダニエル・アードルング、ウーベ・ヒューネマイヤー、デニス・ゼーレンゼン、コンスタンティン・エンゲル、トーステン・キルシュバウムは退団。中には、別のクラブのほうがサッカー的にも経済的にも将来的に明るいと判断し移籍したケースもあるが、コトブスがチーム改善の必要を見出したことによる移籍もある。

ボマー監督はしかし、チームが大きく変わったとはみていない。「メアレ、バノビッチ、クルスカ、ザノゴといった核になる部分は変わらない。サイドバックのシュルツェとビットロフも安定している」。つまり、チームがさらに成長し新たなアクセントを出せるかがカギとなる。

アルマーがキルシュバウムの代役


長期の試行錯誤を経て、コトブスは昨季デュッセルドルフで控えに甘んじていたオーストリア代表GKロバート・アルマーを獲得した。その後ろには才能ある若手ニクラス・ハイマンが控える。長年、2部で最高クラスのGKとみなされていたキルシュバウムの代役を、アルマーが務められるかに注目が集まる。アルマーが悪くない選手だとしても、実戦経験が不足していることは間違いない。

シュトゥットガルトへ移籍したキルシュバウムの後継者については、ボマー監督と前スポーツディレクターのクリスティアン・レーク氏は激しく対立した。6月中旬、ベーク氏は辞任した。後任はいないため、一人二役となったボマー監督の仕事は激増。「以前よりもっとやることがたくさんある。選手の代理人やらと連絡を取り合わないといけないから」と明かす。クラブでの影響力が増したのではという問いは否定する。

経験豊富なイェンドリセクとタキ


アルマーと並んで、エリック・イェンドリセクとチャールズ・タキの2人もブンデスリーガでの経験豊富な選手だ。どちらも攻撃的ポジションだが、昨季はアルマー同様、出場機会に恵まれなかった。しかしその質の高さをボマー監督は買っており、即戦力として計算している。すでに昨季、ミヒャエル・シュルツェ(ウォルフスブルクからの期限付き移籍)が右サイドバックに即定着し、完全移籍にこぎつけたという例もある。

しかしさらに、「若くハングリー」な選手もコトブスにはある。チェルシー(イングランド)からやってきた19歳のアーミン・アファーネは、大きな才能を見込まれている。ボスニア・ヘルツェゴビナのユース代表マテオ・ズジッチはディフェンスラインの定位置競争を活性化させるだろう。バイエルンのユース育ちである19歳のゼバスティアン・ムロフツァは、ボランチでの選択肢の一つになるだろう。

計画はほぼ完了


ボマー監督は、オーストリアで行われる夏季合宿開始までに移籍を完了させた。クロアチアとイスラエル1部リーグでの経験があり、2012年にはヨーロッパ選手権でクロアチア代表としてプレーしたユリツァ・ブリャートも加入した。26歳のブリャートはセンターバックで、これでDF陣が揃った。監督の構想外となったダニエル・ツィービヒとギョーム・リペアが退団するならば、さらに新たな左サイドバックを獲得する可能性もある。それ以外では人事は完了しており、2部の他チームを一歩リードしている。

再生を図ったチームが好スタートを切り、必要とされるコンスタントさがあれば昨季を上回ることができるだろう。ボマー監督が昇格候補に挙げるデュッセルドルフ、カイザースラウテルン、ケルンといったチームに並ぶためには、コトブスはまだ不十分だ。「うちはまだ積み重ねていく段階」と監督はあくまでも用心深い。

アンドレ・アンチュエロ (Andre Anchuelo)