ドレスデンに復帰するデディッチは、2部残留を目指すチームの期待を一身に背負う。写真は、強化試合に駆けつけたファンにサインをプレゼントする様子 (© Imago)
ドレスデンに復帰するデディッチは、2部残留を目指すチームの期待を一身に背負う。写真は、強化試合に駆けつけたファンにサインをプレゼントする様子 (© Imago)

大改造で再出発

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ブンデスリーガ2部今季みどころ

「出来るだけ早く勝ち点40が欲しい」

「少ない資金で強いチームを作る」。これが新チームを編成するに当たり、メンツェ・スポーツディレクターとパクルト監督に突きつけられた課題だ。ドレスデンは「観客数」「クラブ会員数」「伝統」の3要素に関しては、ブンデスリーガ2部はトップクラスに属するいっぽう、予算面では規模の小さなクラブの一つに数えられる。堅実とはいえぬ過去の経営やスタジアム建設に多額の資金をつぎ込んだ結果、そもそも潤沢とはいえぬ補強費は縮小を余儀なくされている。



しかし、そんな苦しい資金状況とは対照的に、旧シーズンで命からがら2部残留を実現したチームは大掛かりな補強を必要としている。「出来るだけ早く勝ち点40が欲しい」と、シーズンの目標を設定するのはパクルト監督。16位に終わり、3部3位のオスナブリュックとの入れ替え戦に回った2012/13シーズンの二の舞だけは何としても避けたい。

目標達成の条件を「旧シーズンのような状況の再来を断固許さない選手を探し出すこと」とする監督の言葉には、裏を返せば「そうでない選手は必要ない」という思惑が読み取れる。実際、すでに選手数名がクラブを去っている。真っ先に淘汰の憂き目に会ったのは、MFゾルガ、DFユングビルト、MFイェーニケ、FWフォート、MFパパドプロス、DFズバシッチ、DFテルケ、FWキタンバラ、MFシュトレーカーなど、先発に定着できなかった選手だ。さらに守備の要だったセンターバックのDFザビッチですら、ドレスデンのユニフォームを脱がざるを得なくなった。

クラブの期待を一身に背負う古巣復帰のデディッチ



一方で期待の新加入選手は、過去にドレスデン在籍経験もあるデディッチだ。ボーフムから期限付きで移籍していた2011/12シーズンは、リーグ13得点でチームの得点王だった。加えて、ウニオン・ベルリンから加入するメンツ、ハレからのハートマンら、今後の成長が期待されるディフェンダーも選手リストに新しく名を連ねる。

2012/13シーズンにおけるドレスデンの得点数は、35点とリーグ最少に甘んじた。だが攻撃面の課題は補強によって解決されつつあるという。パクルト監督は「攻撃陣については、誰を起用したらよいか迷ってしまうほどで、うれしい悩みが出てきた」と表情を緩める。残るはセンターバック、サイドバックの両ポジションで1人ずつ獲得すること。これが済めば、少なくとも昨季を戦ったチームのレベルには達する。

ピッチ以外の部門でも少し落ち着きを取り戻せそうだ。ドレスデンはピッチ外で発せられる雑音が、少々大き過ぎる。例えば、旧シーズン終了時にあったパクルト監督が解任されるというデマだ。現実にはならなかったが、このような雑音はクラブ全体を不安に陥れる。監督自身は「全員がクラブのためだけを思って協力している」と首脳陣、スポーツディレクターとの良好な関係をアピールしているが、今後改善が見られるかに注目していきたい。

波乱の幕開け



2013/14シーズンの日程はドレスデンにとっては厄介なものとなった。ホームでの最初の3試合で、ケルン、ウニオン・ベルリン、FSVフランクフルトと昨季7位以上に食い込んだ強豪3チームを迎えるからだ。さらに、その間に行われるアウェー戦では、新シーズンでの復権が見込まれるボーフム、ザンクト・パウリに乗り込まなければならない。その後もインゴルシュタット、デュセルドルフ、パーダーボルン、フュルトと格上との対戦が続く。「挑戦に立ち向かう覚悟を持たねばならない」とパクルト監督は気を引き締める。多くの困難が待ち受ける新シーズン開幕を目前に控え、緊張感は日を追って高まっていく。


アンドレ・アンチュエロ (Andre Anchuelo)

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