ヤン・マウアースベアガー(左)とフィリップ・クリングマンはチームの中心選手だ(© Imago)
ヤン・マウアースベアガー(左)とフィリップ・クリングマンはチームの中心選手だ(© Imago)

新戦力とともに

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ブンデスリーガ2部今季みどころ

新たな展望を開く数々の選手強化

普通ならプロサッカークラブには穏やかな時期であるはずの6月、ことしのカールスルーエにとっては衝撃的な事件が起きた。6月2日、当時スポーツディレクターを務めていたオリバー・クロイツァー氏がハンブルガーSVに引き抜かれることが決まったのだ。クラブは一時期、混乱に陥ったものの、同21日には事態は収束。元ボーフムのスポーツディレクター、イェンズ・トット氏を新たなスポーツディレクターとして紹介した。


それに伴い、カールスルーエに関する報道はポジティブなものが増えていった。すでに決定していた加入選手も即戦力であることから、昨季3部優勝チームのカールスルーエでははより楽観的な見方が広まってきた。ケルンからは有望な若手MFラインホルト・ヤボが加入。シュトゥットガルトU23から移籍するミヒャエル・ビッツトゥームは複数のポジションをこなせるディフェンスの選手で、マヌエル・グルデは信頼のおけるセンターバック(CB)だ。

攻撃では4人の選手が新たに加わった。下部組織出身のジミー・マートンがトップチームに昇格するほか、それぞれ前チームで中心選手だったデニス・マスト(ハレ)、ディミトリ・ナザロフ(ミュンスター)、また昨季はカイザースラウテルンに所属したイリアン・ミカンスキである。「クラブがしようとしていることや、それがどう実行されているかが気に入った」と話すブルガリア代表のミカンスキ。「カールスルーエは伝統あるクラブで、故郷ブルガリアでも知られている」と移籍の理由を明かしている。

昨シーズン、センターバックとして全試合に出場し、得た警告はわずか1度だけというフェアなDFであるベテランのヤン・マウアースベアガーも、3部リーグで成功した勢いに乗って新シーズンを迎えることを喜んでいる。「大事なのは、僕らのような経験ある選手と新しい選手が一刻も早く馴染むこと。そうすれば昨シーズンの原動力になったようなチームの結束が得られる」と展望を語る。昨季を通してチームの精神力が安定したと考えているのは、マウアースベアガーだけではない。昨季初めに、完全に一新したチームは、第6節終了時点で最下位(勝ち点4)と3部でのスタートにつまづいた。しかし、それ以前はカールスルーエU23を11年間率いたマークス・カウチンスキ監督への信頼が揺らぐことはなく、クラブ側は冷静に見守り、チームはここから20試合負けなしという快進撃を達成したのである。

「内々でじっくりと話し合い、どん底から這い上がることに成功した」とマウアースベアガーは当時を思い起こし、「自分たちのサッカーのクオリティーは分かっていたけど、結果がついてこなかった。あの苦しい時期にクラブがチームと監督やコーチを信じてくれたのは素晴らしいと思う」と振り返る。

「ブラウンシュバイクやパーダーボルンのように」


昨季9ゴールを挙げたローベン・ヘニングスと15得点のクーン・ファンデアビーツェンの両FWは、他の攻撃陣と同じように、2部のレベルに十分耐えられるだろう。ディフェンスラインのクリングマン、マウアースベアガー、シュトル、そして守護神オーリスハウゼンは38試合で失点はわずか27と、昨季3部リーグ新記録を打ち立てた守備力の高さを誇る。1シーズン69得点は、ハイデンハイムと並んでリーグ新の数字だ。あとは、移籍期限終了でハンブルガーSVに戻ったハカン・ジャルハノーゥルの抜けた穴をどれだけ埋められるかにかかっている。カウチンスキ監督は「その穴は全員で埋められると信じている」と自信をみせている。

クラブは平均18000の観衆を見込んでいる。スタジアムを訪れたファンはさらに何かを得られるとDFフィリップ・クリングマンは話し、「ブラウンシュバイクやパーダーボルンみたいに、若くて野望に満ちあふれるチームはきっと成長できる」とリーグ開幕を前に意気込んでいる。

クリストフ・ルーフ (Christoph Ruf)

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