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バイエルンは自分たちのサッカー哲学を追求し、見事3シーズンぶりの優勝を飾った
バイエルンは自分たちのサッカー哲学を追求し、見事3シーズンぶりの優勝を飾った

オリジナルの追求

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バイエルン優勝の秘密を探る

独自のサッカー哲学を磨きあげた

【ミュンヘン発・bundesliga.de 編集部】2年間タイトルから遠ざかっていたFCバイエルン・ミュンヘンは今季、ブンデスリーガでその輝きと名声を取り戻した。優勝自体は驚くことではないが、ハインケス監督自身が「歴代最高のバイエルン」と絶賛したほどの独走ぶりには、圧倒されるばかりだ。bundesliga.deはここで、過去の2シーズンに比較して今季バイエルンの何が変わったかを分析し、決してドルトムントのコピーではないことを解明したい。

ドルトムントが昨季までの2シーズンでバイエルンを凌駕した決定的な理由は、リーグ戦での4度の直接対決をすべて制した点にあった。バイエルンが4試合とも勝っていれば、ドルトムントの後じんを拝することはなかったかもしれない。だが今季バイエルンは、昨年12月のドルトムントを本拠地に迎えた第15節を1-1で引き分け、ことし2月のDFB杯準々決勝(1-0)、また昨年8月のDFLスーパーカップ(2-1)でいずれも勝利を収めた。

2月27日、ドルトムントのユルゲン・クロップ監督は試合後の記者会見で、「バイエルンは、真似をするためにライバルチームをじっくり観察している」と苦々しく語り、その後数週間ドイツのメディアを賑わすことになった。バイエルンは本当にドルトムントのコピーを目指したのだろうか。



攻撃でのハイスピード化と守備での積極的なプレス。これらが現代サッカーにおいて重要な要素であることを知っているのは、ドルトムントに限らない。バイエルンも、ボールを失えばすぐに守備陣形を整え、早い段階でプレッシャーを仕掛け、相手のビルドアップを妨げることに数年前から取り組んでいた。ファンハール監督(当時)の指揮下にあった2010/11シーズン、バイエルンがボール奪取から得たゴールの数は22。過去20年間でクラブ最多である。だがその一方で、圧倒的なボール支配率で相手を凌駕し安定感を持つサッカーこそ、バイエルンのサッカーであるという哲学が形成されている。相手チームよりもボールを保持する時間が長いためもあり、必然的にボールに対してアプローチをする必要性は低くなるのだ。

こうした基本的なサッカー哲学は、今季のバイエルンでも大きく変わっていない。2009/10シーズン、2011/12シーズンと3シーズンで2度も欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝に駒を進めたチームのこと、その必要もないだろう。ボール保持率は1試合あたり61%でリーグ最多、1対1のボールの競り合いの回数はリーグ最少である。またブンデスリーガの他チーム、特にボルシア・ドルトムントと1試合あたりのチーム総走行距離を比較すると明らかに少ない。これらのデータは同時にバイエルンのプレースタイルを表してもいる。

昨季はブンデスリーガで勝ち点73を得て2位、DFB杯とCLで決勝進出と、いずれも決して悪くはない成績だったが、今季はその上を徹底的に追及し、シーズンを通してハイレベルの戦いができるよう選手層を厚くした。またハインケス監督は、昨季CL決勝でチェルシーに喫した敗戦が、今季「どの試合も絶対に勝ちたい」という、チームの飽くなき意志を呼び起こした。

敵地でも圧倒



ここ数年、本拠地アリアンツ・アレーナでのバイエルンは実に強く、ホームで得た勝ち点は過去2シーズンの合計84で、ドルトムントと並ぶ。だがアウェーではドルトムントが72なのに対しバイエルンは54と大きく水を開けられていた。

しかし2012/13シーズンのバイエルンは、歴代最高のアウェー勝率を誇っている。第27節終了時のアウェー戦績は12勝1分で勝ち点37。昨季の合計を既に7点も上回る。30得点2失点と、得失点においても圧倒的な数字を残している。

鉄壁の守備



今シーズン特に印象的なのは、その安定した守備力だろう。第27節までの失点はわずか11。対するドルトムントはここまで31失点だ。バイエルンは昨季も安定した守備を見せていたが、さらに強固さが増した。40失点を喫した2010/11シーズンと比べると、向上はめざましい。

鉄壁の守備に大きく貢献しているのが、MFとDFの新加入2選手だ。ダンテは、膝の十字靭帯断裂で長期離脱しているDF
の穴を十二分に埋めている。マルティネスは中盤の守備力を強化。MFとのダブルボランチは世界最高峰のコンビといえる。ちなみにバイエルンは今季、マルティネスが出場したブンデスリーガの試合では未だに負けがない。

両サイドバックのDFとDFもその能力の高さを見せている。ドルトムントのDFとDFは、守備を固める相手を崩すにはサイドバックの攻撃参加が必要不可欠なことを証明してみせたが、同様の効果はミュンヘンでも見られるようになった。ラームは今季、過去2シーズンの合計よりも多い9アシストをすでに挙げている。アラバも3得点2アシストと、ゴールに直結する結果を残している。

厚い選手層と激しい定位置争い



相手から動きを読まれやすいと批判のあった攻撃では、クロアチア代表FW、ペルー代表FW、スイス代表MFの加入がバリエーションを増やした。唯一FWが1トップの定位置を占めていた昨季、バイエルンはリーグ最多のシーズン総得点81を挙げ、得点を決めた選手は11人。対する今季はここまですでに15人もの選手がチームの得点者リストに名を連ねている。

選手層が厚くなったおかげでバリエーションに富んだローテーションが可能になり、選手は十分に体を休めることもできるようになった。特に激しい定位置争いの繰り広げられている攻撃陣は、どの試合でも高い集中力を発揮している。過去の2シーズンでバイエルンは相手にリードを許すことが多く、またそこから試合をひっくり返すのは困難だった。先制を許した21度で逆転勝ちできたのは5回だけ。対するドルトムントは19度相手に先制を許し、8回逆転勝ちに成功。バイエルンが今季、相手にリードを許したのはわずかに4度で、うち2度は逆転勝ちを果たしている。

両チームの今後のライバル関係に注目



ニュルンベルクやメンヘングラートバッハなどで監督を歴任したハンス・マイヤー氏(71)の言葉に「サッカーとは、その規則性の中で、いつも同じものなのだ」というのがある。この格言に多くの真実が含まれているのは確かで、トップレベルのチームは、互いにシステムが似通ってきている。だがバイエルンが過去2シーズンのドルトムントをコピーした、という命題は客観的に証明できるものではなく、誤りだといえる。

クロップ監督は発言をすぐに謝罪した。昨季2冠を果たしたチームの監督として、国内タイトルの望みが事実上消えたため感情を抑えることができなかったのだろう。それも同監督の人間的な一面だ。

ドルトムントが過去2シーズン、ブンデスリーガで見せてくれたハイレベルなサッカーを、常に保ち続けろというのは酷な話である。バイエルンが今季のような”記録的なシーズン”を再び送るのも、それまた困難なことだろう。ドルトムントの2年連続優勝が短期的な偶然ではなかったことは、今季のCLで証明された。ドルトムントとバイエルン-今後もこの両チームが国内と欧州の舞台でしのぎを削りあい、見る者を楽しませてくれるだろう。

Sebastian Dirschl (ゼバスティアン・ディアシュル)