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現在、ウォルフスブルクのチーフスカウトを務めるリトバルスキ氏。1993年からはJリーグでプレーしていた
現在、ウォルフスブルクのチーフスカウトを務めるリトバルスキ氏。1993年からはJリーグでプレーしていた

「各クラブが日本に注目」

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リトバルスキ氏インタビュー〈後編〉

【ウォルフスブルク発・bundesliga.de 編集部】 現在、ブンデスリーガでは全18チームあるうち、その半数にあたる9チームに日本人選手が所属している。今では戦いの地をイングランドに移したが、ドルトムントで世界のトッププレーヤーまで上り詰めた香川真司、さらにウォルフスブルクでブンデスリーガ優勝を経験し、日本代表でキャプテンを任されるまでに成長したら2人は、ドイツで成功した日本人選手の好例だ。

一方、それとは逆の道を選んだ人物がいる。1993年に日本へ渡り、選手キャリアの晩年を過ごしたピエール・リトバルスキ氏だ。リトバルスキ氏は1990年には西ドイツ代表としてW杯優勝を経験。その豊富な知識と経験を活かして、日本では選手としてのみならず監督としても、Jリーグの発展に大きく寄与した。近年、日本代表はW杯の常連となるまでに躍進している。

このインタビューの後編では、リトバルスキ氏が日本におけるブンデスリーガの位置づけ、ドイツ各クラブの日本でのスカウト活動、そしてブンデスリーガ2部に日本人選手が少ない理由について語る。


bundesliga.de それでは、日本人選手の欠点はどの辺りにあるのでしょうか?

リトバルスキ氏 強みというものは、同時に弱みとなることもあります。日本人選手は非常に結果主義で、しかも批判精神に富んでいる。これは調子を落として出場機会が減ったときに、自信を失ってしまう原因になりかねません。彼らはまた試合に出るためにに、練習で猛アピールをするでしょう。しかし、それでも出場機会が得られない場合は、がっくり落ち込んでしまうわけです。

bundesliga.de 日本ではイングランド・プレミアリーグが人気だと聞いています。香川真司にとっても、ドルトムントはマンチェスター・ユナイテッドに移籍するための中継点だったということができます。ブンデスリーガは近年、欧州レベルではずいぶん地位を高めてきたのですが、日本ではどのような位置づけなのでしょうか?

リトバルスキ氏 それはもちろんメディアの報道に左右される部分が強い。日本では以前からブンデスリーガの放映は行われていたのですが、それは高い人気を誇るイングランド・プレミアリーグの放映頻度と比べると少ないものでした。特に、チャンピオンズリーグの常連であるマンチェスター・ユナイテッドには力が入れられていましたね。しかし最近、新聞を読んで感じるのですが、ブンデスリーガの地位は大幅に向上しました。ブンデスリーガの発展には目を見張るものがあります。かつてブンデスリーガは、日本では「ゲルマン魂」というような文句で表現されていました。しかし、今のブンデスリーガでは非常にハイレベルなサッカーが見られます。これに日本人も気づいているのです。

bundesliga.de ドイツの各クラブによる日本でのスカウト活動は、どのような状況でしょうか?

リトバルスキ氏 非常に上手くいっています。今や日本人選手の能力の高さは広く知れ渡りました。各クラブが日本に注目しているのは確実です。逆に、そうしないクラブがあるとしたら、それは間違いだともいえるでしょう。

bundesliga.de 韓国人FWのは、10代半ばで韓国を離れ、ハンブルガーSVのユースに入りました。日本でサッカー少年を持つ親のなかにも、そのようなことを考える人はいるでしょうか?

リトバルスキ氏 おそらくいないでしょうね。日本人は大きなリスクを嫌うところがありますから。学校教育が重んじられているのもあります。Jリーグを見たときに、もちろんいいリーグであることには間違いありません。ただ、学業そっちのけでサッカーだけに集中させるほどの価値があるとも言えない。日本人は将来を考える際に、経済的な要素を重要視します。所属チームがスポンサーに契約を切られたら、選手の給与も減ることになります。私が現役だった頃と比べて、収入が少なくなってしまったんですね。ましてや海外にすべてを賭けるということはしないでしょう。

bundesliga.de 今Jリーグの話がありましたが、Jリーグの人気というのはどのくらいでしょうか?

リトバルスキ氏 平均的な観客数は1万5000人くらいです。浦和レッズは例外ですが。浦和レッズはバイエルンのような存在で、毎回3万から4万の観客が入ります。総じてサッカーは定着したと言っていいと思います。8から10チームしかなかった私の現役時代とは、まったく違いますよね。Jリーグは自国開催のW杯を上手く使って、現在では2部、3部と下部リーグの立ち上げにも成功しました。日本代表に関しては、W杯の常連です。全体的に見て、プレーのレベルも高いと言えます。

bundesliga.de ドイツと比べたときに、日本のスタジアムの雰囲気はどうですか?

リトバルスキ氏 応援の形式は固定されています。ドイツのように状況に応じて、様々な応援が飛び出るのとは少し違います。両チームのファンが対面する形で座り、太鼓を使った応援スタイルが主流です。ただ、一つ一つのプレーに反応しているわけではないので、危ないファウルがあった場面でもファンが飛び上がって何かするというようなことはないですね。

bundesliga.de その他の違いは?

リトバルスキ氏 審判の判定が簡単に受け入れられるところですかね。ブンデスリーガでは審判の判定について議論になることがよくありますが、日本では珍しいことです。

bundesliga.de 日本人選手がブンデスリーガ2部で増えない理由はどこにあるのでしょうか?

リトバルスキ氏 給与の面でJリーグのほうが、ブンデスリーガ2部よりもいいからだと思います。それに、やはり2部は2部です。テクニックのある選手は稀です。

bundesliga.de 現在、ブンデスリーガでは全体の半数にあたる9チームに日本人選手が所属しています。その他のクラブにも日本人の獲得を勧めますか?

リトバルスキ氏 もちろん日本人選手の特性をしっかり理解しておく必要はあります。先程も言ったように、日本人選手を獲得するからには、その選手が自信を喪失することのないよう、有効な起用法を実践する必要があります。例えばですが、彼はボーフムへの加入当初、非常にいいプレーを見せていました。しかし、一度調子を落として存在感を出せなくったときに、本来のコンディションと自信を取り戻すまでに長い時間を要しました。今はフランクフルトで活躍しています。ですので、起用法さえしっかりと把握しておけば、日本人選手の獲得は間違いなく有効な補強につながると言えます。


聞き手 Jürgen Blöhs (ユルゲン・ブレース)


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