「惜しいだけじゃ意味がない……」。10月31日に行われたドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)2回戦、ドルトムントは延長戦の末に2部のウニオン・ベルリンを下して開幕からの公式戦無敗記録を14まで伸ばした。しかし、この一戦に先発出場した香川真司に笑顔はなかった。

右足首のケガなどもあって、公式戦出場はブンデスリーガ第5節のニュルンベルク戦以来、実に5週間ぶり。好調なチームにあって苦境に立たされている香川は、どうしても結果が欲しかった。しかし、40分にマハムート・ダフートのクロスに合わせて放った渾身のヘディングシュートは相手GKの好セーブに阻まれてしまう。そのこぼれ球をクリスティアン・プリシッチが押し込んで先制点には結びついたが、“目に見える結果”とはならなかった。

「結果として残るのは点を取ったやつなんで。チャンス(を作った)だけではイメージとしてあまり残らない」。2得点に絡む活躍を見せながら、ゴールやアシストという形でアピールができなかった香川は、続くブンデスリーガ第10節のヴォルフスブルク戦でベンチ外、欧州チャンピオンズリーグのアトレティコ・マドリード戦も遠征メンバーから外れた。

© gettyimages / Christof Koepsel

森保一新体制の発足以降は日本代表からも遠ざかり、7日に発表された最新の招集リストからも漏れた。それでもドイツに残っていた香川に一つの転機が訪れる。同じくトップチームで出番を得られていないアレクサンダー・イサクらとともにドルトムントU-23の試合に出場。ロート・バイス・エッセン相手に圧巻の4アシストを記録して大勝(5-0)の原動力となった。

香川がU-23チームの試合に出るのはクラブ在籍7年目にして今回が初めて。実戦感覚を維持するためとはいえ、本人にとってU-23チームでのプレーは不本意だったかもしれない。それでも、久しぶりにピッチの上で存在感を示せた意味は大きい。ドルトムントはアトレティコ戦で今季初黒星を喫し、チームとして最初の転機を迎えた。そうした状況下で香川に再びチャンスが巡ってくるかもしれない。

香川はウニオン・ベルリン戦後にこう話していた。「シーズンは長いので何が起こるか、どこにチャンスがあるか分からない。今はチームとしていい時期だけど、(チャンスが巡ってくる)流れは絶対にある」

10日にはバイエルン・ミュンヘンとの大一番、“デア・クラシカー”が控えている。リーグタイトル奪還をもくろむドルトムントにとっては最初の正念場だ。これまでの状況を考えると、この一戦で香川がいきなり出場機会を得るのは難しいかもしれない。それでも変わりゆく状況の中で、香川は虎視眈々と復活の機会をうかがっている。

© gettyimages / PATRIK STOLLARZ/AFP