5月14日に行われたブンデスリーガ2部第33節は、シュトゥットガルトにとって、そして浅野拓磨にとっても悔しい試合となった。ハネス・ウォルフ監督率いるシュトゥットガルトは第32節を終えて勝ち点66の首位。勝ち点63で3位につけるハノーファーとの直接対決は、勝てば自動昇格圏の2位以内が確定するという大一番だった。

重要な一戦で出番なし。昇格も最終節へ持ち越し

ゲームが動いたのは40分、先制点を挙げたのは序盤から主導権を握っていたホームのハノーファーだった。前半のうちに追う展開となったウォルフ監督は51分、2枚同時に交代カードを切る。4ー2ー3ー1の2列目左サイドでプレーしていたヨシプ・ブレカロとセントラルMFのエベルゼル・オフェリを下げ、190センチの長身FWダニエル・ギンチェクとDFマティアス・ツィンマーマンを投入。ギンチェクは第31節でも後半開始から投入されて逆転勝利に貢献した選手だ。

シュトゥットガルトが1点を追う展開でゲームが進む中、同時刻開催の他会場から意外なニュースが届く。2位ブラウンシュバイクが17位ビーレフェルト相手に65分の時点で0ー3とリードされている……。さらに76分には、そのスコアは0ー6に変わっていた。

試合前時点での「昇格確定」条件はハノーファー撃破だったが、ブラウンシュバイクの敗戦を前提とすればそのハードルは下がる。シュトゥットガルトは勝ち点「1」を加えさえすれば2位以内が確保できる状況となった。

1年でのブンデスリーガ復帰をつかみ取るべく、ウォルフ監督は77分に最後の交代カードを切る。しかし、2列目右サイドのフロリアン・クラインに代わってピッチに送り込まれたのは、背番号11の日本人選手ではく、冬の移籍市場でチームに加わったアメリカ代表のジュリアン・グリーンだった。

選手交代もさしたる効果はなく、シュトゥットガルトの攻撃陣は最後まで沈黙。アンドレ・ブライテンライター監督の就任後、7試合中6試合でクリーンシートを記録しているハノーファーは、この日も無失点で試合終了のホイッスルを聞いた。シュトゥットガルトの昇格は最終節へ持ち越し。浅野は第4節にリーグデビューを飾ってから初の2試合連続出番なしに終わった。

© gettyimages / Niedermueller / Bongarts

悔しさを力に…背番号11の可能性

シュトゥットガルトは最終節で17位のヴュルツブルガー・キッカーズと対戦するが、昇格に向けて優位な状況は変わらない。仮に最終節で敗れて3位のブラウンシュバイクに勝ち点で並ばれたとしても、得失点差で「10」のアドバンテージがある。信じられないような大敗をしない限り、自動昇格圏から滑る落ちることはないだろう。

では、ホームで行われる最終節を、浅野はどんな思いで迎えるのだろうか。彼がチームの勝利に貢献できない悔しさ、結果を残せない歯がゆさを噛み締めるのは今回が初めてではない。例えば、2015年12月のJリーグチャンピオンシップ第1戦では再三の好機を生かせなかった。2016年1月、リオデジャネイロ五輪の最終予選を兼ねたAFC(アジアサッカー連盟)Uー23選手権では準決勝までゴールを挙げることができなかった。

だが、チャンピオンシップでは第2戦でゴールを挙げ、サンフレッチェ広島のJリーグ制覇に貢献した。AFC Uー23選手権では韓国との決勝戦で2ゴールを叩き出し、日本を大会初制覇へと導いている。浅野はサンフレッチェ広島に在籍していた当時から、「試合で感じた悔しさは次の試合にぶつける」と話していた。シュトゥットガルトの背番号11の可能性を誰よりも信じ、誰よりも期待しているのは、他でもない浅野自身なのかもしれない。

文=戸塚 啓