Summary

  • シャルケがルールダービーで4点ビハインドから勝ち点を獲得
  • テデスコ監督の大胆な交代策がズバリ的中
  • 実質“ダービー勝利”にクラブショップも便乗

ルールダービーで25分までに4点のビハインド…ドメニコ・テデスコ監督はその時の絶望的な状況を次のように振り返った。「第4審判に『今日は70分で終わりにしてもらえないか』と聞いたよ」

ところが、絶望的な状況から立ち直ったチームは後半に驚異の追い上げを見せ、アディショナルタイムの劇的な同点弾で勝ち点1をもぎ取ることに成功。通算173回目のルールダービーは永遠に語り継がれるであろう一戦となった。試合後、シャルケのロッカールームでは「ダービージーガー、ダービージーガー(ダービー勝者)」の歌声が響いていた。

シャルケのGKラルフ・フェアマンはハーフタイムの舞台裏を次のように明かす。「監督は『前半のことは忘れて、せめて後半だけは勝とう』と言ったんだ」。指揮官は4ゴールを奪われて打ちひしがれる選手たちをさらに追い詰めるのではなく、現実を直視するための言葉をかけ、やるべきことを伝えて奮い立たせたのだ。

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「4ー4まで持ち込めるとは思っていなかった」

テデスコ監督はハーフタイムをこう振り返る。「あの時、4ー4に持ち込もうと言っても、それは現実的ではなかった」。選手への言葉はあくまでもダービーでの屈辱的な惨敗を避けようという思いから出たものだったが、それが結果的に予想を超える奇跡を生むことになる。

レオン・ゴレツカは1点、また1点と点差を詰めるたびに「いけるんじゃないかと思えるようになった」という。そして、「その後に起きたことは一つの歴史だよ」と笑った。後半アディショナルタイム4分にナルドのヘディングシュートが決まった瞬間、ドルトムントから挙げたこれまでの67勝のどれよりも大きな喜びが爆発した。

タイムアップのホイッスルがなると、ゴレツカは興奮のあまり「僕たちが勝った…」と口走ってしまったそうだが、今回の結果は実質勝利と言っていい。それを証明するかのように、シャルケのオンラインショップでは試合後ほどなくして『ダービージーガー』とプリントされたシャツが売り出された。

© DFL DEUTSCHE FUSSBALL LIGA

流れを変えたゴレツカ&アリの投入

初めてルールダービーに挑んだテデスコ監督は、33分に中盤のエンジンであるゴレツカと快足ドリブラーのアミーヌ・アリを投入。ハーフタイムを迎える前にすでに最初の一手を打っていた。早い時間帯での思い切った決断だったが、それでもスタンドを埋め尽くした8万179人の目には“もう遅い”と映ったことだろう。恐らく、指揮官も同じ思いだったはずだ。

ところが、この交代策が見事にハマった。ゴレツカのダイナミズムとリーダーシップ、アリのスピードが大きな反発力を生み出し、61分にギド・ブルクスタラーの追撃弾が生まれる。このゴールを機に試合の流れは一変。65分にアリのブンデスリーガ初ゴールで2点差に詰め寄ると、72分にはピエールエメリック・オバメヤンの退場で数的有利に立つ。畳み掛けるように86分にはダニエル・カリジュリのゴールでついに1点差。アディショナルタイムの奇跡をたぐり寄せた。

指揮官が「70分で勘弁してくれ」と願った試合は、終わってみれば「あと5分あれば逆転のチャンスもあった」(ゴレツカ)と思えるほどの試合となっていた。「モノはコレクションしておくことができるが、何より大事なのはその瞬間をとどめておくこと。シャルケで素晴らしい瞬間を味わうことができた」。テデスコ監督はそう言って喜んだが、この指揮官こそが記憶に残るルールダービーの立役者だった。

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