ラーム「たくさんの思い出がつまっている」

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バイエルン・ミュンヘンのフィリップ・ラームは5月20日に本拠地のアリアンツ・アレーナで行われるブンデスリーガ最終節のフライブルク戦がラストゲームとなる。8回のブンデスリーガ優勝、欧州チャンピオンズリーグ(CL)とFIFAワールドカップの制覇と、数々のタイトルを獲得してきたキャプテンに現在の心境を聞いた。

——ブンデスリーガ5連覇を達成し、ラーム選手にとっては8回目のリーグタイトルを獲得しました。あと1試合で現役を引退するわけですが、現在は頭にどのようなことが浮かんでいますか?

ラーム たくさんのことですよ、もちろん(笑)。トレーニングの1秒1秒を、そして特に(最終節の)土曜日を楽しもうと決めています。

——カルロ・アンチェロッティ監督がラーム選手の引退を取り消そうと、説得しようとしたと伺いました。

ラーム はい、しかも何回も(笑)。でも、気持ちは変わりません。最高の状況で辞めるのは、良いことだと思います。じっくりと考えたことですし、今は引退後の生活を楽しみにしています。

- © DFL DEUTSCHE FUSSBALL LIGA / Joern Pollex/Getty Images

実はボールボーイだった!?

——バイエルンでのキャリアはボールボーイとしてスタートされたそうですね。

ラーム 大昔の話です。でも、本当のことです。そのことを考えると、そうやってバイエルンに引き寄せられたんですね。当時はFTゲルンというクラブに所属していました。間近でプレーを見ることができ、感動しました。当時はまだオリンピア・シュターディオンで試合が行われていたんですよね。

——特に印象に残っている試合はありますか?

ラーム 最初の試合は特にそうですね。だって初めてでしたから。バイエルン戦ではなかったのですが、特別な試合でした。

——それは興味深いですね。

ラーム 欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝のドルトムント対ユベントスでした。スタジアムの雰囲気がすごかった。そこにいるだけで、サッカーの新たな一面を知ることができ、さらにサッカーに熱狂するようになりました。若い選手にとって必要なことですね。

——しかし、最終的にラーム選手の心を奪ったのはバイエルンということですね?

ラーム そう言えますね。バイエルンが僕のクラブです。僕の故郷で、数多くのビッグゲームを経験させてもらいました。ボールボーイを卒業し、ピッチの上でですよ。バイエルンとはこれからも近い関係でいることでしょう。このクラブにはたくさんの思い出がつまっていますから。 

- © DFL DEUTSCHE FUSSBALL LIGA / Joern Pollex/Getty Images

「ほぼ全てのポジションでプレーして得たこと」

——最初はどこのポジションでプレーされていたのでしょうか? 現在、ラーム選手ほど複数のポジションをこなせる選手はいません。

ラーム セントラルミッドフィールダーか右サイドハーフでした(笑) それを考えると、どんどん後ろに下がってきたんですね。最終的には右か左のサイドバックでしたから。

——複数のポジションでトップゲームを戦ってきたということです。

ラーム ほぼ全てのポジションでプレーして得たことが、最終的にアドバンテージになったのかもしれません。僕のユーティリティー性はそこから生まれたのかもしれない。さまざまなポジションに対応しないといけませんでしたから。

——ラーム選手の持ち味といえば、試合での正確さでした。これは最初から持ち合わせていたものでしょうか、それとも徐々に向上したのでしょうか?

ラーム 何て言ったらいいか、難しいですね。僕は常に、どのポジションにおいてもインテンシブに取り組もうとしてきました。全てのポジションを理解することが、僕には大事だったんです。

——シュトゥットガルトで2シーズン、プレーしました。この時期についてはいかがですか?

ラーム とても重要でした。ハイレベルな試合、CLの試合にも出場することができ、それが僕の成長につながったはずです。その一方で、これは期限付きの移籍であり、バイエルンが僕に期待してくれていること、必ず呼び戻してくれることも分かってました。自分にとっては、このレベルでもコンスタントにやっていけることが分かり、とても良かったです。 

引退後の楽しみは?

——W杯、そしてCLでも優勝を経験しました。ラーム選手にとってより価値のあるタイトルは?

ラーム まず、全てのブンデスリーガの優勝はとても特別でした。1年を戦い抜いて獲得した正真正銘のタイトルだから、というと陳腐に聞こえるかもしれませんが、実際にその通りです。W杯とCLのタイトルは、僕にとっては同等ですね。マラカナでW杯を掲げたこと、しかもキャプテンとして、それは言葉では表せない気持ちでした。あのチームをキャプテンとして率いることができ、光栄でした。CLでは自分のクラブ、バイエルンとして優勝することができました。それもまた、特別でした。

——ラーム選手は一度もレッドカードを受けたことがありません。

ラーム それはこう説明できます。僕は常にルールを守ろうと努力してきました。

——最後に、もしかしたら一番難しい質問です。

ラーム 楽しみですね(笑)

——選手を辞めた次の日、一番楽しみにしていることは何でしょうか?

ラーム それは難しくありませんよ。とってもシンプル。家族と普通の1日を過ごすことです。一緒に朝食を食べ、家族でできることをやりたいと思います。