Summary

  • 今季はリーグ全体で「877」のゴールが誕生
  • ホームチームの勝率は最近13シーズンで最高の49%
  • 全18クラブのうち、12クラブの監督がブンデスリーガ初采配

ハイレベルな三つ巴の得点王争いに象徴されるように、2016/17シーズンのブンデスリーガではたびたび派手な撃ち合いが繰り広げられた。また、サポーターの大声援を味方につけたチームが最終節でハッピーエンドを迎えたように、ホームチームの強さが際立つシーズンでもあった。ファンを熱狂させたゴールラッシュ、各チームが示したホームでの強さ、そして監督選びの新たな傾向……この1年で生まれたリーグの最新トレンドをまとめた。

もはや予想不可能…波乱万丈のシーズン

今季も“平常運転”を続けたバイエルン・ミュンヘンを除けば、各チームが波乱万丈のシーズンを演出してくれた。ブンデスリーガ初参戦のライプツィヒが2位フィニッシュを飾れば、フライブルクも最終節まで欧州リーグ(EL)の出場権争いに絡むなど、今季は昇格組の健闘が光った。また、昨季は降格の危機にあったホッフェンハイムがユリアン・ナーゲルスマン監督の下で4位と躍進。来季は欧州チャンピオンズリーグ(CL)のプレーオフに挑む。

再昇格して3シーズン目を迎えたケルンは、最終節で7位から5位に順位を上げ、25年ぶりに欧州カップ戦の出場権を獲得。ヘルタ・ベルリンはアウェー9連敗という地獄を味わいながらも、6位に踏みとどまって同じく欧州行きの切符を手にした。一方で、欧州カップ戦の常連だったレーバークーゼンシャルケメンヘングラートバッハ(ボルシアMG)、ウォルフスブルクは、シーズン開幕前の大型補強も虚しく中位以下に沈むことになった。

ライプツィヒはブンデスリーガ初参戦にして2位に大躍進。来季のCL出場権を手に入れた © gettyimages

守備力に難あり? シュート精度が向上?

今季はリーグ全体で「877」ものゴールが生まれた。2014/15シーズンは「843」、2015/16シーズンは「866」と、ゴール数は年々増加傾向にあり、ファンの楽しみは増していると言える。1試合平均「3.2」と高い数値を記録した2013/14シーズンは例外としても、ブンデスリーガの平均ゴール数は過去25年にわたって「2.7」から「3.0」の間で推移している。これは他国リーグと比べても高い数字だ。

こうした傾向はファンにとっては喜ばしいものだが、リーグ最少の「22」失点を誇ったバイエルン以外は、いずれも1試合平均失点が「1」以上。各チームの守備力に難があるとも考えられる。もっとも、リーグ全体の総シュート数はデータを取り始めてから過去最少の「7633」本(1試合平均25本)。そんな中でゴール数が増えているのだから、純粋に各チームのフィニッシュ精度が上がったと前向きに捉えたい。

第33節のライプツィヒ対バイエルンでは両チーム合わせて9ゴール(4ー5)が生まれた © gettyimages

“的中采配”で誕生した新記録

今季は途中出場選手による得点、すなわち“ジョーカーゴール”が「124」も飛び出し、2004/05シーズンに打ち立てられた「110」のリーグ記録を大幅に更新した。わずか「85」にとどまった昨季から一転、今季は総ゴール数の14%を途中出場の選手が占めた。中でもフライブルクのニールス・ペーターセンは、今季だけで9つのジョーカーゴールを記録。通算ジョーカーゴール数を「19」に伸ばし、アレクサンダー・ツィックラーが保持していたリーグ記録を塗り替えている。

チーム別で見ていくと、最も多くのジョーカーゴールを記録したのは4位に躍進を遂げたホッフェンハイム。ナーゲルスマン監督の選手交代が面白いようにハマり、途中出場の選手たちが合わせて「13」ゴールを記録した。一方、控え選手の奮闘と指揮官の好采配の犠牲となったハンブルガーSVは、リーグワースト記録となる15度のジョーカーゴールを献上している。

途中出場から計9ゴールを挙げたペーターセン。文字どおり“ジョーカー”として活躍した © gettyimages / Thomas Niedermueller/Bongarts

“ぬか喜び”続出…PKが決まらない!

今季はPK判定がこの15年で最多の「98」回を記録したが、同時にPKの失敗も相次いだ。PK成功率は最近6シーズンでワーストの72%。2015/16シーズンの79%、2014/15シーズンの82%と比べても極端に低い。ちなみに、ハンドによるPKの数は昨季の13回から8回へと激減。ここ数年はハンドによるPK判定が減少傾向にあるようだ。

今季のフランクフルトは獲得した6本のPKのうち4本を失敗した © gettyimages / Ronny Hartmann

ホームゲームが盛り上がった理由

今季はホームチームの勝率が最近13シーズンで最高の49%に達した(昨季は44%)。また、各チームがひたすら勝利を目指した結果、引き分けの数は全体の24%にとどまっている。

同じく昨季よりも増えたのが退場処分の数だ。今季の退場者は延べ56人に及び、第14節では7人の選手が退場。昨季の40人を大きく上回った。もっとも、イエローカード&レッドカードの警告制度が導入された1991年以降、退場者の数が今季よりも少なかったシーズンは4回だけ。例年に比べれば今季はかなり紳士的なシーズンだったと言える。

ホームで圧倒的な強さを見せるドルトムントは2シーズンにわたってホーム無敗を誇る © imago / Thomas Bielefeld

歴史に残る三つ巴の争い

1976/77シーズンのブンデスリーガでは、ディーター・ミュラー(ケルン)、ゲルト・ミュラー(バイエルン)、ベアント・ヘルツェンバイン(フランクフルト)の3選手が激しい得点王争いを繰り広げ、それぞれ34ゴール、28ゴール、26ゴールを記録。ヘルツェンバインの記録は得点ランキング3位の選手の歴代最多得点として今も破られていない。

今季はその40年前の得点王争いを彷彿とさせる三つ巴のバトルが展開され、31ゴールを挙げたピエールエメリック・オバメヤン(ドルトムント)が初の得点王を獲得。2位のロベルト・レバンドフスキ(バイエルン)が30ゴール、3位のアントニー・モデステ(ケルン)も25ゴールと、最後までハイレベルな争いを見せてくれた。

オバメヤンはレバンドフスキが昨季樹立した外国籍選手のシーズン最多得点記録を更新。レバンドフスキは2シーズン連続で30ゴール超えを果たしながら、タイトル防衛とはならなかった。また、得点ランキング4位に食い込んだライプツィヒのティモ・ウェアナーは、21歳にして21ゴールを記録。22歳以下の選手が20ゴール以上を挙げたのは、ゲルトとディーターの両ミュラーに続いて史上3人目の快挙だった。

最終節でレバンドフスキを逆転したオバメヤンが三つ巴の得点王争いを制した © DFL DEUTSCHE FUSSBALL LIGA

「カウンター攻撃最強」はこの2チーム!

カウンター攻撃によるリーグ総ゴール数は今世紀に入って最少の「128」。それでも、カウンターを武器に得点を量産したのがライプツィヒ(14得点)とブレーメン(15得点)だ。ライプツィヒでは俊足のウェアナーがカウンターから7ゴールを記録。ブレーメンではマックス・クルーゼがカウンターの急先鋒となり、シュート&アシストでリーグ最多の10ゴールに絡んだ。

クルーゼは後半戦だけで13ゴール7アシストを記録し、ブレーメンのV字回復を演出した © gettyimages / Martin Rose/Bongarts

過去の実績にはこだわらない!?

今季、シーズン途中に監督の座を追われたのは計9人。数字としては例年と大差はないが、ブレーメンが第3節終了後、ハンブルガーSVは第5節終了後と、開幕早々に監督交代に踏み切ったクラブが目立った。逆に第23節以降は監督交代がなかったが、劇的なV字回復を見せたのはブレーメンだけだった。

監督人事で目を引いたのが、実績にこだわらない指揮官の登用。確かな実績を持つ指揮官はボルシアMGの指揮を任されたディーター・ヘッキングのみで、その他のクラブはブンデスリーガでの指揮経験がない監督にチームの命運を託している。その結果、ブンデスリーガの全18クラブのうち、実に12クラブの監督がブンデスリーガ初采配という異例の状況になっている。

その中で最優秀監督候補に挙げられるのは、ラルフ・ハーゼンヒュットル(ライプツィヒ)、トーマス・トゥヘル(ドルトムント)、ナーゲルスマン(ホッフェンハイム)、ペーター・シュテーガー(ケルン)、クリスティアン・シュトライヒ(フライブルク)の5人。指揮官の世代交代が進む中、最も手腕を評価されるのは果たして誰だろうか?

ナーゲルスマンは昨年2月に28歳の若さでホッフェンハイムの監督に就任し、チームを躍進に導いた © gettyimages / Oliver Hardt/Bongarts