バイエルンでの活躍が期待されるマリオ・ゲッツェの弟、フェリックス - © © imago / DeFodi
バイエルンでの活躍が期待されるマリオ・ゲッツェの弟、フェリックス - © © imago / DeFodi

バイエルン期待の新鋭たち

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「バイエルンの将来に恐れるものは何もない」。バイエルン・ミュンヘンのウリ・ヘーネス会長は最新の設備を誇るユース・アカデミーのオープニングセレモニーでそう語った。バイエルンはフィリップ・ラームやバスティアン・シュバインシュタイガー、トーマス・ミュラーに続く世代を育てるため、7000万ユーロ(約86億円)を費やした「FCバイエルンキャンパス」を8月1日にオープン予定。ここで粗削りなダイヤの原石たちに磨きをかけてトップチームに送り込む予定だ。

フェリックス・ゲッツェ

もっとも、バイエルンにはすでにその土台となるべき選手がいる。Uー19チームは全国大会で決勝に進出(決勝ではPK戦の末にドルトムントに敗戦)。また、Uー17チームも若手育成に定評があるシャルケを下して決勝進出を決めている。この状況に関してカールハインツ・ルンメニゲ社長は、「ユース年代の戦績を見ても分かるとおり、ゼロから始める必要はない」と語っている。

国内最強を誇るトップチームだけでなく育成年代でも充実するバイエルンで、今まさにその才能を開花させようとしている若手プレーヤー5人にスポットライトを当てた。

生年月日:1998年2月11日
ポジション:センターバック
出身地:バイエルン州メミンゲン

有名選手の弟と言われるのは決して楽ではない。しかし、2014年のワールドカップで英雄となったマリオ・ゲッツェの弟は、これから自分自身の力で有名になることだろう。兄のように中盤の選手ではなく、派手に注目されることが少ないセンターバックであることも助けになるはずだ。もちろん、世界的に有名な兄との違いを示す能力も備えている。

「FCバイエルンキャンパス」の責任者であり、ラームやミュラーなどを育てたヘアマン・ゲアラント氏は、フェリックス・ゲッツェを「非常に才能ある選手」と認めている。フェリックスはバイエルンとの契約を2019年まで延長。カルロ・アンチェロッティ監督の下ですでに公式戦2試合に出場している。PK戦までもつれたUー19の決勝では、最初のキッカーを務めて見事に成功。サッカー選手として成功を収めるために欠かせない強い意志の持ち主であるところを示した。

ファビアン・ベンコ

生年月日:1998年6月5日
ポジション:ミッドフィールダー
出身地:バイエルン州ミュンヘン

ペップ・グアルディオラ前監督はバイエルンでの最後のシーズン、ファビアン・ベンコをプレシーズンと冬の遠征に帯同させ、「彼の質の高さを確信している」と太鼓判を押していた。短いながらもインテル、ACミラン、レアル・マドリードとの試合に出場。その結果、今季はUー19チームを飛び越えてバイエルンIIの選手としてレギオナルリーガ(4部)のほぼすべての試合に出場した。また、欧州チャンピオンズリーグ(CL)のメンバーリストにも名を連ね、来季はブンデスリーガデビューも期待されている。

ニクラス・ドルシュ

生年月日:1998年1月15日
ポジション:ミッドフィールダー
出身地:バイエルン州リヒテンフェルス

「ニクラスは典型的なセントラルMFだ」。そう話すのはUー17ドイツ代表で共同監督を務めるマーセル・ルーカセン氏だ。ニクラス・ドルシュの能力については、「ゴールを背にしてボールを受けても、ターンして試合のスピードを上げることができる。中盤センターでは貴重であり、絶対に必要な能力だ」と語っている。そうしたドルシュの特徴は本人にとってのアイドルであるトニ・クロースと同じ。グアルディオラ前監督がトップチームで起用してみたいと考えたのも当然だろう。

2015年、Uー17ドイツ代表の最優秀選手にはドルトムントのフェリックス・パスラックが選出されたが、その時ドルシュは2位だった。今季はレギオナルリーガで24試合に出場して十分に経験を積んだ。アンチェロッティ監督がトップチームに呼ぶ日も近いだろう。

ティモシー・ティルマン

生年月日:1999年1月4日
ポジション:ミッドフィルダー
出身地:バイエルン州ニュルンベルク

ニュルンベルクでキャリアをスタートさせたドルシュと同様、米国軍人の父とドイツ人の母の下ニュルンベルクで生まれたティモシー・ティルマンもバイエルン以外のクラブでサッカーを始めた。しかし、バイエルンはグロイター・フュルトでプレーしていたティルマンを50万ユーロで獲得。ビッグクラブにとっては取るに足らない金額かもしれないが、16歳の選手の移籍金としては高額であり、才能を見込まれたという信頼の証でもある。

Uー19では22試合に出場して5得点とチームの決勝進出に大きく貢献。決勝ではPKを失敗したが、今季はCLのメンバーリストにも名を連ねている。昨夏に行われたACミランとの親善試合にも出場。トップチームでの公式戦出場も時間の問題だろう。

マーコ・フリードル

生年月日:1998年3月16日
ポジション:左サイドバック
出身:オーストリア・チロル

オーストリア生まれの左サイドバックで、直接FKでゴールネットを揺らすこともできる。まるでダビド・アラバのようだ。「マーコはよく我が家に泊まっていた。僕の小さな弟みたいだ」。アラバがそう話すように、2008年にバイエルンにやって来たマーコ・フリードルは、実際にアラバに面倒を見てもらい、プロとしての技を学んできたという。

今季はアンチェロッティ監督の下でスター選手たちと一緒に練習することもあった。練習参加について本人は、「トレーニングの後でダビドと一緒にFKの練習をすることがあるんだ。彼には僕と違ってテクニックがあるから、見ていて学ぶことは多いよ」と語っている。クラブはフリードルとの契約を4年間延長。ゲアラント氏も「バイエルンでブレイクすると信じている」とその才能を高く買っている。