Summary

  • バイエルンDFキミッヒの成功への軌跡
  • かつての恩師たちはキミッヒを絶賛
  • 現在は古巣ライプツィヒと2連戦の真っ最中

バイエルン・ミュンヘンが10月25日のドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)2回戦に続き、28日のブンデスリーガ第10節で再びライプツィヒと対戦する。DFB杯ではPK戦の末にバイエルンが勝利したが、この連戦で勝敗とともに注目を集めているのが、かつてライプツィヒでプレーし、現在はバイエルンの不動のレギュラーへと成長を遂げたヨシュア・キミッヒだ。

ライプツィヒ時代にキミッヒを指導したラルフ・ラングニックSDはかつての教え子をこう称賛する。「彼のようなケースは見たことがない。下部リーグでプレーしていた選手がわずか2年でバイエルンとドイツ代表のレギュラーに上りつめた。このまま成長を続ければ、いつかはキャプテンになるだろう。キャプテンにふさわしい選手だ」

ブンデスリーガでのプレー経験がまだ2年と数カ月の若者にとって、ラングニックSDの発言は最大級の賛辞と言える。だが、現在のキミッヒはその言葉にふさわしい活躍を見せている。

第一章:シュトゥットガルトからライプツィヒへ

キミッヒはサミ・ケディラやマリオ・ゴメス、ティモ・ウェアナーらを輩出したシュトゥットガルトのユースアカデミー出身だ。Uー19カテゴリーまでは同クラブでプレーしていたが、2013年にライプツィヒへの期限付き移籍を選択。それが大きな飛躍へとつながった。

当時のライプツィヒはドイツサッカー界のトップに上り詰めるという野心を抱きながら、3部リーグを戦っていた。キミッヒはリーグ戦26試合に出場してクラブの2部昇格に貢献。ここからキミッヒの大躍進がスタートする。

当時、バイエルンを率いていたペップ・グアルディオラ監督はキミッヒの活躍を耳にすると、2014年12月22日に行われたブンデスリーガ2部のライプツィヒ対1860ミュンヘンを視察。これがバイエルンとキミッヒにとっての一足早いクリスマスとなる。

キミッヒはあらゆる点で“ペップ好み”の選手だった。グアルディオラ監督が視察した試合のキミッヒのスタッツは、パス本数が60本、パス成功率が78.3%、ボールタッチ数は80回を越えていた。

その試合から1カ月も経たないうちにキミッヒはバイエルンの選手となり、いずれライプツィヒから戻ってくるだろうと考えていたシュトゥットガルトファンの望みは打ち砕かれた。当時シュトゥットガルトを率いていたアレクサンダー・ツォルニガー監督も、「キミッヒの移籍に関わった者は誰もが苛ついているに違いない。大きな間違いだった」と残念がった。

© gettyimages / Matthias Hangst/Bongarts/Getty Images

第二章:バイエルンとドイツ代表の中心選手へ

バイエルンが得たものは大きかった。2015/16シーズンに正式にバイエルンの一員となったキミッヒは、加入1年目からブンデスリーガ23試合に出場。今やトレードマークとなったその多彩な才能で、アリアンツ・アレーナのサポーターを熱狂させた。1年目で手にしたブンデスリーガとDFB杯の二冠も、上昇気流に乗ったキミッヒにふさわしいタイトルだった。

グアルディオラ監督は「ヨシュアは常に積極的で、集中し、真剣に取り組んでいる。何もかもが備わっている選手だ」と当時からキミッヒを絶賛。中盤や右サイドバック、さらにはセンターバックとあらゆるポジションで起用した。「私はキミッヒに言ったよ。君は世界最高のDFだが、それだけではない。どのポジションでもプレーできるとね」

その言葉に反論する人は少ないだろう。熱意に溢れたプレーでピッチ全域をカバーし、天性のパスセンスを発揮し、得点まで挙げる。キミッヒはバイエルンの公式戦で12ゴール10アシスト、ドイツ代表では右サイドバックを務めながら直近3試合で1ゴール3アシストを記録している。

本人は複数のポジションでプレーすることについて次のよう語っている。「どのポジションも少しずつ違う。でも若い選手にとって重要なのは、異なるポジションについて学び、違った目線で試合を見ることなんだ。それぞれで違ったスキルが要求されるから、若い選手が成長していくには完璧な過程だと思う。僕はすべてのポジションでまだまだ成長していきたい」

© gettyimages / Matthew Ashton - AMA

第三章:世界最高の右サイドバックへ

短期間でスターの座にたどり着くことができたのは、キミッヒが強い意志を持った青年だからだ。それは限られた選手だけが継承できるものであり、バイエルンというクラブのDNAでもある。バイエルンでプレーする者だけが知っているその立ち居振る舞いは、シュトゥットガルトで生まれ、ライプツィヒで育った選手ということを忘れさせるほどだ。

キミッヒはスポーツ誌のインタビューでこう語っていた。「シュトゥットガルトでは最高の時間を過ごした。サッカーの練習と学業をバランスよくできるシステムがあったんだ。素晴らしいコーチ陣がいて、いいチームでプレーできた。若い選手が成長していく上で完璧なクラブだったよ。ライプツィヒも良かったね。みんな若くて、どこかにたどり着いてやるという意欲があった」

そうしてキミッヒはバイエルンへとたどり着いたが、彼のキャリアはまだ始まったばかりだ。その旅を終える頃には、フィリップ・ラームを始めとする往年のスターたちを追い越しているだろう。わずか3年前に3部リーグでプレーした選手にとっては、決して悪くないストーリーだ。

© DFL DEUTSCHE FUSSBALL LIGA / Alexander Scheuber