Summary

  • ハンブルクの20歳、伊藤達哉の初インタビュー前編
  • 18歳で渡独、昨年9月にトップチームに昇格し、ブンデスリーガ初出場
  • 名門クラブ入団の経緯、デビューの感想は?

ハンブルガーSVの伊藤達哉は今シーズン、第5節でトップチームのベンチ入りをすると、翌節のレーバークーゼン戦でブンデスリーガデビューを果たし、第7節のブレーメンとの北部ダービーでは先発デビューを飾った。その後もコンスタントに出場を重ね、12月にはクラブとプロ契約を締結。巧みなドリブルでサイドを切り崩し、ホームの観客を沸かせる20歳の同選手に当サイトが初のインタビューを行った。まずは前編をお届けする。

ーー伊藤選手は高校3年生の夏にドイツに渡り、ハンブルクのユースチームに加入しました。この挑戦を決意した理由は?

伊藤 今の時代のサッカーは日本よりもヨーロッパの方が進んでいる、強いと僕は認識していました。小さい頃から海外の試合を見ることが好きだったし、海外のピッチに早く立ちたいとずっと思っていて、18歳でその機会があったので迷わずに来ました。

ーーそもそもハンブルクに入団するきっかけはなんだったのしょうか?

伊藤 16歳の時にUAEで大会(※)があって、僕は柏レイソルのユースだったのですが、ハンブルクも参加していて、 そこでスカウトしてもらいました。

※「アル・アインインターナショナル チャンピオンシップ 2014」で柏レイソルU-18は準優勝し、伊藤選手は大会MVPに輝いた。また、グループリーグで対戦したハンブルク戦ではマン・オブ・ザ・マッチ に選出されている

ーーまずはハンブルクU-19に所属し、その後はセカンドチーム(U-23)でレギオナルリーガ(4部)でプレーしました。トップチームに昇格するまでの2年間はどのような日々でしたか?

伊藤 1年目はひざのけがもあって、ほとんど試合に出場できない状況でした。だから、2年目は1年目の悔しさを晴らせるように毎日しっかり練習しました。それがトップチームに入れる成果につながったのかなと思います。

ーー昨年12月にハンブルクとプロ契約を結びました。ブンデスリーガのビッグクラブでプロになったことを誇りに感じますか?

伊藤 ドイツに18歳で来た時に決意していたのがブンデスリーガのピッチに立つということだったので、その思いがやっと報われたというか、やっとスタートラインに立てたなと。そして、ここからもう一度始まるんだなという気持ちでした。

© imago / Jan Huebner

ホームでのデビュー、観客がスタンディングオベーション

ーーブンデスリーガ第6節のレーバークーゼン戦(アウェー)でブンデスリーガ初出場した時の感想はいかがでしたか?

伊藤 今まで自分が立ったどのスタジアムよりも大きく、観客もたくさん入っていました。ブンデスリーガのレベルの高さを痛感させられた試合にもなりましたし、「このままじゃまずいな」「うかうかしていられないな」という気持ちが強かったです。

ーーその次の試合ではホームのフォルクスパーク・シュターディオンで、しかもブレーメンとの伝統の“北部ダービー”で先発デビューを飾りました。スターティングメンバーの発表の時には伊藤選手の名前に誰もが驚きましたが、 プレーを見た観客たちはすぐに伊藤選手の味方になりましたね。

伊藤 ホームでのデビュー戦がダービーだったので、下手な気持ちで行ったらファンにも認めてもらえないだろうし、 自分ができることだけをやろうという気持ちでピッチに立ちました。交代する時にファンの皆さんがスタンディングオベーションしてくれたのは今でも忘れられません。

ーーその時のスタジアムの雰囲気はいかがでしたか?

伊藤 自分が今まではテレビで見ていたヨーロッパの熱狂的なスタジアムの雰囲気でした。こういうファンの前でプレーすることが夢だったし、そのファンの気持ちに応えたいという気持ちが強くなりました。

© imago / Michael Schwarz

ーートップチームに昇格してから半年がたちましたが、現在までを振り返っていかがでしょうか?

伊藤 デビューできたこと、ブンデスリーガのピッチに立っていることはもちろんうれしいですが、今のチームの状況を考えると喜んではいられません。早く結果を残して、数字でチームに貢献したいです。

ーー小柄な伊藤選手ですが、ドリブルでサイドから切れ込み、前線で攻撃的にプレーしています。ご自身のストロングポイントは?

伊藤 サイドでボールを持った時の1 対1だけは負けたくないという気持ちでやっています。今でも練習や試合で1回でもボールを取られたら本当に悔しいですし、相手が2mあろうが、どれだけ体が大きくて強い選手だろうが、そこは負けたくありません。そこはストロングポイントというか、自分の中で譲れないところですね。

ーーブンデスリーガでデビューしてからのハイライトは?

伊藤 本当は今のところまだハイライトと言えるシーンはないですが、ホームで先発出場して勝ったシュトゥットガルト戦は印象的ですし、また何度もあの気持ちを味わいたいです。

第11節のシュトゥットガルト戦は3-1で快勝。ハンブルクにとって9試合ぶり、伊藤にとってはブンデスリーガ初勝利だった © gettyimages / Martin Rose

ーー日本とドイツのサッカーの違いはありますか?

伊藤 日本とドイツのサッカーは違うスポーツという言い方ができるくらい、強度やスピード、テンポが違います。僕は日本で学んだことを大事にしていますが、時にはそれを忘れてこっちのサッカーをしないといけない時もあります。

ーー子どもの頃からブンデスリーガの試合は見ていたのでしょうか?

伊藤 僕が中学生、高校に入るくらいの時にすでに多くの日本代表の選手がブンデスリーガで活躍していたので見てました。香川選手がドルトムントで優勝したこともよく覚えています。ブンデスリーガはもちろん簡単なリーグではありませんが、日本人のことをある程度、尊重してくれるリーグだと思うし、ここでプレーしたいという思いはありました。

後編はこちらから

Interview by Ingo Rohrbach & Mayumi Iwashita