Summary

  • ハンブルガーSVがブンデスリーガ55年目にして初の降格
  • クラブはティッツ監督とともに1年での復帰を目指す
  • 新生ハンブルクを担うのは伊藤、アープら若手タレント

1963年のブンデスリーガ創設以来、一度も2部に落ちたことがなかったハンブルガーSVが、55年間戦い続けたブンデスリーガの舞台に別れを告げることになった。リーグの歴史とともにあったクラブの伝統が途切れたことによる関係者のショックと混乱は計り知れないが、一つだけはっきりしているのは彼らは1年でブンデスリーガに戻らなければいけないということだ。

かつてハンブルクでキャプテンを務めたこともある元オランダ代表のラファエル・ファンデルファールトは、古巣の降格が決まるとツィッターで次のようにエールを送った「クラブに関わるすべての人にとって悲しい日になってしまった。だが、ハンブルクはあるべき場所にすぐに帰ってくる」。ドイツきっての名門クラブが戦う場所はやはりブンデスリーガであるべきだ。

間に合わなかったチームの再建

ハンブルクはシーズンのラストをホーム3連勝で締めくくったが、残留にはわずかに届かなかった。シーズン中に2度にわたって指揮官を交代したものの、1月からチームを率いたベアント・ホラーバッハ監督は7試合で勝利なし。3月にクリスティアン・ティッツ監督が就任してチームはようやく再建の道を進み始めたが、遅きに失した感は否めなかった。

クラブは最終節を控えた5月10日にティッツ監督の続投を示唆。47歳の指揮官とともにブンデスリーガ復帰を目指す青写真を描いている。首脳陣が特に評価しているのがティッツ監督の戦術だ。それまでの守備偏重のサッカーから、ボール支配率を重視した攻撃的なスタイルへの転換は、結果だけでなくフロントやサポーターからの支持をもたらした。

ティッツ監督には選手も絶大な信頼を寄せている。それは就任当初に指揮官との関係がうまくいっていなかったキリアコス・パパドプロスの言葉からも読み取ることができる。「監督交代が遅すぎた。ティッツ監督となら1年でブンデスリーガ復帰ができるはず。僕自身、最初は監督との間に問題があったけど、彼には最大の敬意を表したい。彼は明確なプランを持った指揮官だ」

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クラブの未来は伊藤、アープ、バグノマンとともに

ティッツ監督は選手たちに失っていた自信を与えた。生き残りを懸けたシーズン終盤、日本人の伊藤達哉が躍動し、忘れ去られた存在だったマッティ・シュタインマンがアンカーとして輝きを取り戻したのも彼の手腕によるものだ。ルイス・ホルトビーはティッツ監督就任後の8試合で5ゴールを記録している。

昇格を目指す来季は伊藤(20)、ヤンフィーテ・アープ(18)、ギデオン・ユング(23)に加え、シュテファン・アンブロシウス(19)、ヨシュア・バグノマン(17)ら才能ある若手とともに再出発を図ることになる。彼らは「この2カ月、コーチ陣とともに奇跡を起こすために懸命にやってくれた。とても誇りに感じる」とティッツ監督が称える次世代を担う選手たちだ。

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フロント、選手の意向はティッツ続投で一致

ティッツ監督がこれからのクラブに必要だと考えているのが、ファンからの変わないサポートだ。ハンブルクが来季対戦するのはバイエルン・ミュンヘンやドルトムントではなく、ザントハウゼンやマグデブルク。それでも指揮官は「(降格で)ファンとの間に何かが生まれた」と語り、クラブが苦境に陥ったことで両者の関係はさらに深まったと断言する。

指揮官の去就はまだ正式には決まっていないが、クラブの代表取締役を務めるフランク・ベットシュタイン氏は「ティッツ監督が良い状況にある今のチームをさらに引っ張っていってくれることは十分にあり得る。我々にはサッカーをする喜びがある。ゼロからスタートしたい」とティッツ監督との再スタートを望んでいる。

ティッツ監督へのラブコールは選手からも聞かれる。パパドプロスは「ティッツ監督はクラブに残るべき。彼の仕事は素晴らしいし、監督がいたからこそ最後の8試合でああいうプレーができたんだ」と、クラブにとって不可欠な存在であることを強調している。

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