Summary

  • ドルトムントのGKバイデンフェラーが今季限りで引退
  • 16年間クラブを支え続けた功労者
  • 今季最後のホームゲームでサポーターに別れ

5月5日に行われたドルトムントの今季ホーム最終戦で偉大なGKがサポーターに別れを告げた。クラブの一員になってから16年。今季限りで現役を退くローマン・バイデンフェラーは、スタンドから沸き起こった大歓声に応え、「サッカー選手なら誰もが夢見るようなこの素晴らしい瞬間を一生忘れることはない」と語った。

16年プレーしたスタジアムに別れ

懸命にゴールを守り、クラブが苦しい時も変わらない忠誠心と誠実さを示してきたバイデンフェラーは、ドルトムントのサポーターにとって英雄そのもの。試合後はゴール裏スタンドのお立ち台に初めて登壇し、サポーターのど真ん中で時間を分かち合った。「これまでフェンスに登ったことはあったけど、台はこれが最初で最後。足元はかなりしっかりしていたけど、たとえ落ちたとしてもサポーターが受け止めてくれたんじゃないかな」

スタンドのお立ち台から下りると、愛息レオナルド君を抱いてピッチを一周。サポーターとの別れを惜しんだが、実はこのお立ち台に上がった選手はバイデンフェラーが初めて。この特別な栄誉が回ってきたのも、彼が残してきた功績があってこそだろう。バイデンフェラーにとってドルトムントでの16年間はクラブがどん底に沈み、再び栄光をつかみ取るまでの紆余曲折の歴史とともにあった。ミヒャエル・ツォルクに次ぐクラブ歴代2位の公式戦452試合でゴールマウスに立ち、長い間クラブと苦楽をともにしてきた。

© imago / Bielefeld

ドルトムント史上最多のファイナリスト

2010ー2011シーズンには負傷で戦列を離れていたセバスティアン・ケールに代わって主将を務め、チームをリーグ優勝に導いた。翌シーズンにはリーグとドイツサッカー連盟カップの国内2冠を達成。2013年には欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝のピッチにも立った。バイデンフェラーが決勝の舞台に立ったのは通算7度と、ドルトムントに所属した選手では最も多い。2014年にはドイツ代表の一員としてワールドカップに参加し、出場こそなかったものの控えGKとして裏方に徹して世界の頂点に立った。

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与えられた仕事を果たすプロフェッショナル

バイデンフェラーの器の大きさはクラブでも一緒だ。正GKの座を失ってもそれを受け入れ、チームのために尽くしてきた。最後のホーム公式戦となったマインツ戦、ペーター・シュテーガー監督は試合のどこかでバイデンフェラーを投入して花道を作るつもりでいたが、1ー2とリードを許していたためにそれは実現しなかった。それでもバイデンフェラーは、「黄色い壁を背にもう一度ゴールマウスに立つことができたらそれは素晴らしかったと思う。準備はしていたし、エンドの取り方もバッチリだったしね。でも、攻撃の選手を投入せざるを得なかった監督の事情は十分に理解している」と納得した様子だった。

12日に行われるリーグ最終節、ドルトムントはCL出場権を懸けてホッフェンハイムのホーム乗り込むが、そこでバイデンフェラーがゴールマウスに立つ可能性は決してゼロではない。「僕が試合に出たがっていることは誰もが知っている。もし、その機会があるのであれば喜んで受けたい。ただ、それを自分から要求するようなことはしない」。自分の与えられた役割を最後まで全うする。ユニフォームを脱ぐ最後の日まで、バイデンフェラーの“らしさ”は変わらない。

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