Summary

  • ケルンのズボティッチが古巣ドルトムントと対戦
  • この冬にドルトムントからケルンに期限付き移籍
  • スタジアム中から特別な雰囲気で迎えられる

4月29日に行われたブンデスリーガ第31節のドルトムントケルン、試合後のピッチには感動的な光景が広がっていた。この冬に期限付きでドルトムントからケルンに移籍したネベン・ズボティッチが、ジグナル・イドゥナ・パークの南側スタンドのサポーターに特別な雰囲気で迎え入れられたのだ。「人生の中で最も素晴らしい瞬間の一つになったと思う」。両チームのサポーターから大歓声を贈られたズボティッチは感激しきりだった。

デデ&クロップ監督級の熱烈歓迎

ケルンがドルトムントの猛攻をしのぎ切り、スコアレスドローで試合終了の笛が鳴ると、ズボティッチはドルトムントサポーターが陣取る“黄色い壁”のほうへと歩き出した。その様子をドルトムントの選手たちが拍手をしながら囲み込むように見守る。ズボティッチが一歩一歩、踏みしめるようにスタンドに近づくと、サポーターからはスタンディングオベーションとともに大きなコールが沸き上がった。

ズボティッチは黄色と黒のユニフォームを着てプレーした8年半で、2度のブンデスリーガ制覇と国内2冠を経験。妥協を許さないプレーはもちろんのこと、ピッチ外で見せる親しみやすさでもサポーターの心をつかんでいた。2011年に自身初のリーグ優勝を果たした後、たまたま通り掛かった道で車を止め、優勝を祝うサポーターとともに大騒ぎしていた姿はもはや伝説になっている。

「俺たちは皆、ドルトムントっ子だ!」。叫び声のように響くチャントに対して深々と頭を下げたズボティッチは、「こんな経験ができる人間なんて、滅多にいるもんじゃない。たとえ、サッカー選手であってもね」と感無量の様子。「ここでこんな歓迎と歓声を受けた人物は、デデとクロッポ(ユルゲン・クロップ)ぐらいしか記憶にない。自分もそれに加われるなんてものすごくうれしいよ」。そう語るズボティッチの顔には、涙ではなく、とびきりの笑顔があった。

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いつまでも続いていく絆

ズボティッチはドルトムントとの一戦を前に、自身のFacebookにこうつづっていた。「僕らの深い友情を90分だけ忘れることを怒らないでほしい。みんなが知っているように、僕はいつも100%を出し切る人間なんだ」。その言葉どおり、ズボティッチはケルンの勝ち点1獲得に大きく貢献。彼が常に全力を尽くす選手であることは、ケルンのサポーターにもすぐに伝えわった。だからこそ、南側スタンドで始まったウェーブは、ケルンサポーターが陣取るアウェースタンドまで広がり、スタジアム全体から大歓声と拍手が贈られた。

心を揺さぶられたこの日の出来事をどう感じたか。その問いにズボティッチはこう答えている。「僕のドルトムントでの働きや成し遂げてきたこと、一緒に喜び合った瞬間もあれば、僕らの結束を強めた悲しい出来事もあった。そうしたことに対して、改めてリスペクトをもらえた。これはこの先100年経っても続いていく絆だよ」

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