Summary

  • バイエルンのシャビ・アロンソが今季限りで引退
  • 後継者候補の筆頭はすでにレギュラーを担うビダルとティアゴ
  • キミッヒ、サンチェス、ルディも後継者になり得る

スペイン生まれの“マエストロ”、シャビ・アロンソが今季限りでの現役引退を表明した。彼の引退によってバイエルン・ミュンヘンの中盤には大きなギャップが生まれることになるが、チームにはその穴を埋めるだけのポテンシャルを持った選手たちがいる。

すべてを勝ち取った選手の代わりをどうやって見つければいいのか。バイエルンはその難問に2回も答えを出さなければならない。今夏はアロンソに加えてキャプテンのフィリップ・ラームも引退。この2人が獲得したタイトルは合わせて36にもなり、その中には9度のブンデスリーガ優勝、3度の欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝、さらには2度のワールドカップ制覇も含まれている。

アロンソは2014年夏にレアル・マドリード(スペイン)からバイエルンに加入して以降、3シーズンにわたってチームの“心臓”を担い、アリエン・ロッベン、フランク・リベリ、ドグラス・コスタといった天才的な攻撃陣を指揮。見逃されがちだが、アロンソはチームにとって最も必要なクオリティー、すなわち「バランス」をチームにもたらしてきた。素晴らしいテクニックを誇り、パスレンジの広さと正確性もワールドクラス。2015年と2016年のリーグ優勝もアロンソなしには成し遂げられなかっただろう。では、彼の抜けた穴を埋めるのは誰になるのか。その候補者を紹介する。

1)アルトゥーロ・ビダル

第一候補者はビダルだろう。今季はカルロ・アンチェロッティ監督が4ー2ー3ー1システムを採用した時に、アロンソと組んで守備的MFを任される機会が増えている。チリ代表MFの強みの一つは、どのポジションでもプレーが可能なこと。現チームの中で最も完璧なMFであることは間違いないだろう。

ビダルは最終ラインの前に陣取って深い位置からゲームをコントロールすることも、より高い位置で攻撃に絡むこともできる。CLのアーセナル戦では2ゴールを挙げたが、あの一戦では彼の才能が余すところなく発揮されていた。バイエルン加入前はユベントス(イタリア)で4度のリーグ優勝を経験。チリ代表としても2015年と2016年のコパ・アメリカ連覇に大きく貢献している。ビダルはアロンソと同じように成功を熱望しているのだ。

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2)ティアゴ・アルカンタラ

もう一人候補として挙がるのは、同じスペイン人のティアゴだ。中盤のあらゆるポジションをこなし、アロンソと同じようにワールドクラスのテクニックを持ち、決定的なパスを出すことができる。フィジカルではビダルにやや劣るが、クリエイティブさはチームでも一、二を争う。

2013年夏にペップ・グアルディオラがバイエルンの指揮官に就任した際、彼が唯一獲得を熱望したのがティアゴだった。ケガに苦しんだ最初の2年間は才能の片鱗を見せる程度だったが、ケガが癒えて以降は先発の座を確保。彼が試合を繰ると、いつもとは違ったバイエルンが期待できる。

ティアゴはアンチェロッティ監督の下で5番目に多く起用されている選手でもある。出場した公式戦31試合におけるチームの平均勝ち点は「2.52」。自身は6ゴール6アシストを記録している。今後も長きにわたってバイエルンの中盤で指揮を執り続けるはずだ。

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3)ヨシュア・キミッヒ

すでにレギュラーの座を獲得しているビダルとティアゴに続く次の世代では誰がいるだろうか。22歳のキミッヒは今季、素晴らしいポテンシャルを備えていることを証明してみせた。出場30試合のうち半分の15試合は途中出場だが、これもアンチェロッティ監督にとって最も信頼が置ける交代カードと言い換えることができそうだ。

昨年9月にはわずか10日間でドイツ代表とブンデスリーガ、CLで初ゴールを記録。キミッヒはクラブだけでなく代表チームにとっても“希望”である。今季序盤の好調ぶりはアンチェロッティ監督がいつレギュラーに固定してもおかしくないものだった。本職の中盤のほかに右サイドバックとしてもプレー可能で、アロンソとラームが不在となる2017/18シーズンは大いに活躍が期待される。

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4)レナト・サンチェス

バイエルンは昨夏、ベンフィカ(ポルトガル)で高い評価を得ていた若手MFの獲得に3500万ユーロを費やした。今季はブンデスリーガに適応するためのシーズンということでまだ出番が限られているが、19歳でポルトガルの欧州選手権優勝に貢献したサンチェスにクラブが大きな期待を寄せていることは明白だ。

アロンソが引退を表明した直後、バイエルンのカールハインツ・ルンメニゲ社長は、「レナトにアロンソの後を継いでほしい。そのために彼を獲得した。もう少し辛抱する必要はあるが、十分な才能を持った選手だ」と語っている。まだ完成品ではなく、ティアゴやアロンソのような戦術眼には欠けるが、スピードとパワー、テクニックはすでに一流。キミッヒと同様、これからの数シーズンで不動のレギュラーへと成長していくだろう。

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5)セバスティアン・ルディ

バイエルンは今年1月、今季終了後にホッフェンハイムのセバスティアン・ルディとニクラス・ズューレを獲得することを発表して周囲を驚かせた。ルディはホッフェンハイムのキャプテンであり、好調ホッフェンハイムを支える不動の守備的MF。まずはバイエルンで実力を証明する必要があるが、アロンソの代わりとしてもプレーできるだろう。

「バイエルンへの移籍は夢だった。ここで優勝トロフィーを掲げたいと思う」。バイエルンと3年契約を結んだ後にそう話したルディは、2月にホッフェンハイムでの公式戦200試合出場を達成したばかり。サンチェスとは違い、ブンデスリーガで戦えることはすでに証明済みだ。

すぐにレギュラーに食い込むのは難しいかもしれないが、ローテーションを採用する時にはアンチェロッティ監督の選択肢に入るだろう。右サイドバックのバックアップとしても期待できるルディは、指揮官が信頼してピッチに送り出せる選手なのである。

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アロンソほどの才能を持った選手の穴を埋めることは本来、決して簡単ではない。だが、ブンデスリーガ最多優勝を誇り、分厚い選手層を持つバイエルンにとってはそれさえもさほど問題にならないのかもしれない。マエストロはこの夏にスパイクを脱ぐ。それでもチームが成功への飽くなき探求心を持ち続けている限り、バイエルンの中盤は規則正しく機能し続けるだろう。