リーグ開幕直後から低迷が続いていたケルンが第27節の勝利でついに最下位を脱出した。クラブは「脱出王」と呼ばれた奇術師ハリー・フーディーニのごとく、降格圏からの華々しい脱出をもくろみ、ここ数試合のパフォーマンスを見たサポーターも降格を回避できるかもしれないと信じ始めている。当サイトではケルンの残留を後押しするポジティブ要素を探った。

1)ケガ人の復帰

今季前半戦のケルンはブンデスリーガとドイツサッカー連盟カップ、欧州リーグと3つの大会を平行して戦わなければならず、この過密日程が低迷の一因となっていた。また、ウィンターブレークまではヨナス・ヘクター、レオナルド・ビッテンクールト、マーセル・リッセ、ジモン・ツォラー、大迫勇也、クラウディオ・ピサロ、ジョン・コルドバと主力選手がケガや病気で代わるがわる離脱。一時は右サイドバックのルーカス・クリュンターを前線で起用せざるを得ないほど、戦力のやり繰りに苦労していた。

それでも、ウィンターブレークを境に多くの主力が回復。クラブが1月に賢明な補強を行ったことも大きかった。ストライカーのジモン・テロッデと攻撃的MFのバンサン・コジエロの獲得だ。ヘクターやビッテンクールト、リッセらがしっかりとチームの推進力となり、選手たちはゆっくりとではあるが確実に自信を取り戻している。残り7試合で得られる勝ち点は最大「21」。ケルンが浮上するための時間と勝ち点は十分に残されている。

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2)ストライカーたちの復調

主力の復帰と同時にチームのパフォーマンスが目に見えて向上。2018年に入ってからはメンヘングラートバッハ(ボルシアMG)、ハンブルガーSVライプツィヒレーバークーゼンを撃破した。また、第25節のシュトゥットガルト戦(2ー3)のように、敗れた試合でも組織だった守備と驚異的な攻撃力を見せている。

チームの上昇において特に決定的だったのが前線の働きだ。ケルンは前半戦で10得点しか挙げることができなかったが、1月以降はすでに17得点。ピサロ(1得点1アシスト)、大迫(3得点1アシスト)、テロッデ(5得点1アシスト)とストライカーが軒並み調子を上げてきている。1月の加入したコジエロは2月のライプツィヒ戦で得点を挙げ、テロッデに至っては9試合ですでにチーム得点王の活躍。冬の補強も確実にチームの助けとなっている。

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3)ライバルチームの苦戦

ケルンがライプツィヒやレーバークーゼンら上位陣から勝ち点3をもぎ取っているのに対し、残留争いのライバルであるハンブルクやマインツウォルフスブルクは依然として苦戦が続いている。

ハンブルクは前節のヘルタ・ベルリン戦で先制したにもかかわらず、あえなく逆転負けを喫して最下位に転落。現在14戦未勝利と泥沼から抜け出せずにいる。16位のマインツも第23節から第25節の間に勝ち点5を獲得した時には残留に向けて進んでいるように見えたが、シャルケアイントラハト・フランクフルトに敗れて2連敗。明らかに自信を喪失している。15位のウォルフスブルクも直近6試合で5敗。得失点差でかろうじてマインツの上にいるが、ケルンにとっては十分に射程園内と言える。

4)ケルンに有利な終盤戦の日程

シーズン終盤にマインツ、ウォルフスブルクとの直接対決を残していることもケルンに自信を与えている理由の一つだろう。マインツとは第29節にホームで対戦するが、今季のマインツがアウェーで1勝しか挙げていないことは誰もが理解している。最終節にアウェーで対戦するウォルフスブルクにしても、前節終了時点でホームではわずか2勝。ケルンとしては最終節まで残留の希望をつないでおきたいところだ。

マインツ戦とウォルフスブルク戦の間には、最近は調子を落としているヘルタ戦、フライブルク戦も控えている。最難関と思われる第33節のバイエルン・ミュンヘン戦も、バイエルンがそれまでに優勝を決めていることは確実で、モチベーションやメンバー構成の部分でケルンに有利な状況が生まれる可能性が高い。

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5)過去にも奇跡の脱出劇あり

降格圏からの劇的な脱出はブンデスリーガの一種の伝統であり、そういう意味では歴史もケルンに味方している。2012/13シーズンのホッフェンハイムは終盤戦に向けて瀕死の状態に見えたが、残り10試合を4勝3分け3敗で乗り切り、最終節でドルトムントを下して逆転での残留を決めた。

1998/99シーズンのフランクフルトの残留はさらに劇的だった。残り4試合の時点で残留圏との勝ち点差は「6」。残留は絶望的に見えたが、そこから3連勝を飾って最終節に望みをつなぐ。このシーズンは最終節まで5チームが残留争いに絡む大混戦となり、カイザースラウテルンを5ー1で下したフランクフルトは総得点でライバルを上回り残留。それまで12位だったニュルンベルクがまさかの降格となった。こうしたドラマを振り返ると、ケルンの残留はそれほど難しいミッションではないようにも思えてくる。

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