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長谷部誠:2018/19シーズン総括

シーズンが終わってからも長谷部誠への称賛が止むことはなかった。『キッカー』誌によるブンデスリーガの年間ベストイレブンに選出され、ドイツのプロサッカー選手が選ぶベストイレブンにも名を連ねた。現地メディアは6月に入ってからもシーズンを振り返って長谷部に対する称賛の言葉を記した。35歳のベテランは日本人選手という枠組みを越え、実力者ぞろいのリーグで名実ともにトップレベルであることを証明したと言える。

自ら日本代表を退いて臨んだ2018/19シーズンは、長谷部にとって「自分の価値を示す、本当に大事なシーズン」だった。序盤こそロシア・ワールドカップ後の燃え尽きによる一時的なモチベーション低下で数試合を欠場したが、その後は主にリベロ、ときにボランチとしてブンデスリーガ28試合にフル出場。チームの中核としてアイントラハト・フランクフルトの躍進を支えた。

代表戦による長距離移動や疲労の影響がなくなり、長谷部のフィジカルコンディションは目に見えて向上した。これだけフル稼働できたのも、代表戦の負担がなくなったことが大きい。さらに代表キャプテンという重責から開放されたことで、心理的ストレスもなくなった。クラブの日本人トレーナーから「笑顔が増えた」と言われたように、クラブでのプレーに集中できたことで心身ともに充実したシーズンを送ることができた。

それに伴って選手としての「進化」も加速した。より経験を生かしたパフォーマンスを見せるようになった要因を、本人は「目でプレーする」と表現した。「年を重ねて(身体的に)落ちてきたとしても、それを補うだけのものが今の自分にはある。先を読む力、目でプレーすることでやれている部分がある。経験からくるものは、間違いなく自分の中で武器になっている」

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チームは「終盤に失速する」という近年の悪癖を今季も繰り返した。一時はチャンピオンズリーグ(CL)出場権も夢ではなかったが、ヨーロッパリーグ(EL)でベスト4まで勝ち上がったことによる弊害で過密日程を強いられた。最終的にリーグでは7位まで落ちてCL出場権を逃し、EL予選2回戦からの出場権をつかむのがやっと。理想の結果を出すことはできなかった。

それでも長谷部は「非常に充実していた」と言う。「『二兎を追うものは一兎をも得ず』と言うけど、二兎を追わなければ感じられなかったことはすごくある。二つを追えるチーム自体なかなかないし、アイントラハトのようなチームがこの選手層でそういうことにチャレンジした意味はやっぱり考えないといけない。そういう意味では、最後でEL予選の出場権が転がり込んできたのは、挑戦したご褒美かなと思っている」

EL予選参戦で、新シーズンはいつもより早い7月末から始まる。「十数年ぶりに代表のないオフに入るので、ゆっくりしたいと思う。新シーズンに対するモチベーションはしっかり休んでから考えたい」。久しぶりに落ち着いた夏を過ごしたあとで、どんな活躍を見せてくれるのか。新シーズンに入っても長谷部への称賛はまだまだ続きそうな予感がある。

文:湊 昂大(text:Kota Minato)

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