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昇格チーム紹介:ウニオン・ベルリン

間もなくブンデスリーガに新たなクラブが登場する。通算56チーム目となる参戦を決めたのは、旧東ドイツ地区に本拠地を置くウニオン・ベルリンだ。ウニオンは名門ハンブルガーSVを上回る2部リーグ3位でシーズンを終え、ブンデスリーガ16位のシュトゥットガルトとの入れ替え戦をアウェーゴール差(2戦合計2ー2)で制し、悲願の昇格を勝ち取った。昇格が決まったとき、クラブのディルク・ツィングラー会長は思わず「夢じゃないでしょうね」と漏らしたという。

日本では内田篤人が所属したことでも知られるウニオンは、ファンとの結びつきが強いクラブとして有名だ。そのルーツは旧東ドイツ時代にある。当時、東ベルリン地区ではウニオンとディナモ・ベルリンが双璧をなしていたが、秘密警察シュタージの息がかかった国家権力を象徴するクラブとして君臨していたディナモに対し、ウニオンは低所得労働者や政府批判者、あるいはアーティストなどがサポートし、自由を標榜していた。それゆえ両クラブはまるで共鳴することなく、激しく反目し合っていた。

社会的立場が低い人々に支持されるウニオンが権力に立ち向かうには、集団としての結束を強めるしかない。おのずとファンとクラブはドイツ屈指と称される団結を誇るようになった。その象徴が“献血キャンペーン”と“無償奉仕”だ。前者はウニオンが財政難によるリーグライセンス剥奪の危機に陥った際の逸話で、献血に対する報酬制度を利用したファンが、まさに血を流してクラブの運転資金をかき集めた。後者はホームスタジアムの拡張工事中に起きた出来事で、例のごとく資金難だったクラブは労働者への給与支払いができなくなってしまう。この窮地に立ち上がったのが2300人ものファンで、なんとボランティアでの工事サポートを名乗り出たのである。これでウニオンは数百万ユーロという規模の建築費を浮かすことができた。

クラブは忠誠心の強いファンに支えられている - 2019 DFL

熱狂的なファンに後押しされる現チームの得点源は、スウェーデン代表FWのセバスティアン・アンデションだ。18/19シーズンはリーグ戦全34試合に出場し、チーム最多の12ゴールをマーク。正確なクロスが光る主将のクリストファー・トリンメルや技巧派アタッカーのセバスティアン・ハルテルが作り出したチャンスを確実にモノにしていた。この点取り屋をネームバリューで上回るのはフェリックス・クロース。そう、トニ・クロースの実弟だ。兄と瓜二つのキックフォームから繰り出すFKは一見の価値がある。

ディフェンスリーダーのマルビン・フリードリヒのアウグスブルク移籍が決まり、最終ラインのクオリティ低下が不安視されるが、チーム最大の強みは一体感やハードワークだ。2部最少失点を誇った堅守を武器に、粘り強く戦いながら目標の残留をつかみにいくだろう。就任1年目にしてクラブを史上初のブンデスリーガ昇格へ導いたスイス人指揮官ウルス・フィッシャー監督の采配にも注目だ。

文=遠藤孝輔

セバスティアン・アンデションはチームの得点源 - Imago