名門ハンブルクを救ったギスドル監督
2016/17シーズンのハンブルガーSVは最終節を16位で迎えながら劇的な勝利を収めて14位に浮上。ブンデスリーガ創設以来、一度も2部落ちを経験したことがないクラブという伝統と誇りを守った。北の名門クラブを救ったのは、目も当てられない惨状にあったチームをシーズン途中に引き受けたマークス・ギスドル監督だった。
もがき苦しんだ序盤戦を乗り越えて復調の兆しをつかむ
残留を争う15位ウォルフスブルクをホームに迎えた最終戦は85分の時点で1ー1。ここ4年間で3度目となるハンブルクの昇降格プレーオフ行きはほぼ確実な状況だった。しかし、この状況でギスドル監督の勝負勘が冴えわたる。86分に21歳のストライカー、ルカ・ワルトシュミットをピッチに投入すると、そのわずか2分後にワルトシュミットが勝ち越しゴールを記録。土壇場で残留を勝ち取った。
“エルベの奇跡” を呼び込んだのは、もちろん決勝点を挙げたワルトシュミットだが、このミラクル劇は瀕死のチームに再び息を吹き込んだギスドルの手腕があってこそだった。
第5節終了後にブルーノ・ラバディアの後任としてギスドルがハンブルクにやって来た時、チームの勝ち点はわずかに「1」。すぐにチームを立て直せるはずもなく、ギスドルも苦しいスタートを強いられた。初陣となったヘルタ・ベルリン戦を0ー2で落として最下位に転落すると、その後も大量失点を繰り返し、降格圏をさまよい続けた。しかし、指揮官は自らが決めた方針を変えることなく突き進み、第13節にようやく今季初勝利を飾って最下位を脱出。ウィンターブレークまでの3試合で2勝を挙げ、新しい1年を前に何とか浮上のきっかけをつかんだ。