大躍進を遂げたホッフェンハイムにあってクラマリッチは際立った活躍を見せた - © © imago / Michael Weber
大躍進を遂げたホッフェンハイムにあってクラマリッチは際立った活躍を見せた - © © imago / Michael Weber

ホッフェンハイム躍進の立役者

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1年半前から続くホッフェンハイムの躍進は、アンドレイ・クラマリッチが歩んできた道と完璧に合致する。チームの好調は選手全員の働きによるものだが、今季のクラマリッチは15ゴール8アシストを記録してユリアン・ナーゲルスマン監督が作り上げた“パズル”の重要な1ピースとなった。そしてクラブは今、2008/09シーズンの7位を上回る成績でシーズンを終えようとしている。

キャリアの転機となったシーズン途中の移籍

クラマリッチは2016年1月にレスター(イングランド)からローン移籍でホッフェンハイムにやって来たが、当時から全く無名の選手というわけではなかった。母国クロアチアのディナモ・ザグレブでは、ユース時代にクラブ記録となる450ゴールをマーク。リエカでは2シーズンで公式戦55ゴールを叩き出した。

そして2015年1月、レスターのクラブ最高額となる900万ポンド(当時のレートで約14億円)の移籍金で渡英。その時点では英国の労働許可証取得に必要な条件を満たしていなかったが、レスターが「特別な才能の持ち主」であると主張して特例を認めさせたほどだった。

クラマリッチにはチェルシーも興味を示していたが、「出場機会が少なくなる」との理由でこれを拒否。厚い信頼を寄せてくれたレスターへの加入を選んだ。ところが加入2年目の2015/16シーズン、チームがリーグ優勝に向けて快進撃を続ける中、クラマリッチは定位置を確保することができないでいた。リーグ戦出場が2試合では、チームが優勝してもメダルをもらうことさえできない。そんな彼に救いの手を差し伸べたのがホッフェンハイムだった。

シーズン途中の移籍にはリスクが伴う。ましてや、優勝争いをしていたチームから成績不振のチームへの移籍である。そんな状況でいきなり本領を発揮するのはサッカーの世界では奇跡に近い。だが、クラマリッチは奇跡を起こした。ウィアゾル・ラインネッカー・アレーナに到着すると、「自分のやるべきことをして残留に貢献したい」という入団会見での言葉どおり、リーグ戦15試合で5ゴール4アシストを記録。見事にクラブを降格の危機から救って見せた。

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