120分の死闘に続くPK戦。ドルトムントのサポーターにとってはハラハラドキドキの時間が続いたが、ローマン・バイデンフェラーの好セーブ連発で勝ち上がりが決まると、真夜中のスタジアムに大歓声が沸き起こった。

ドルトムントは万全とは言えない状況の中で“ダービーの母”とも言われる一戦を迎える。ブンデスリーガで3試合勝ち星がなく、ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)のウニオン・ベルリン戦でも相手を凌駕するには至らず、PK戦までもつれ込んだ。シャルケ戦を目前に控えた中で体力を消耗させる一戦となったが、トーマス・トゥヘル監督は「これは我々にとってマイナスというよりは力になるものだ。互いのために全力を出して戦い抜けば結果は必ずついてくる。思ったようにいかなくても、決して諦めない。これが分かったのはいい経験であり、収穫だ」と、120分の激闘から得たものが大きかったことを強調した。

「土曜の夜も、もう一度力を振り絞って結果を残さなければいけない。それは誰もが望んでいることだ」。宿敵との一戦へ、トゥヘル監督はチームを奮い立たせると同時に団結も求めた。離脱者が後を絶たない中、まだまだ若い選手たちが多いチームが勝利するためには一丸となるしかない。

調子を上げてきたシャルケ相手に闘争心や団結力だけで及ばないことは、トゥヘルも、そして選手も理解している。ウニオン戦後、マティアス・ギンターは「できるだけ早く自分たちの持ち味を思い出さないといけない。シーズン開幕当初のゲーム運び、プレースタイルをピッチで出していかないと。飾ったプレーやこねくり回すプレーではなく、シンプルなプレーをしていかないと。それができればダービーもいい試合ができるはず」と、原点回帰を訴えていた。

DFB杯で勝利の立役者となったバイデンフェラーは攻撃陣の逸機が多かったことを指摘する。「チャンスをおざなりにしていた。もっとチャンスを生かさないといけない」。マリオ・ゲッツェも「チャンスをもっともっとうまく使うことを学ばないといけない。何よりも大事なのはそこだ」と同調する。

トゥヘルがシャルケ戦でどれだけの戦力を使えるかはまだ見えていない。アンドレ・シュアレに復帰の期待がかかるが、出場の可否は直前に決まることになりそうだ。一方で是が非でも出てもらわなければいけないのが、ダービー6試合で4ゴールを挙げている“シャルケ戦のスペシャリスト”こと、ピエールエメリック・オバメヤンだ。指揮官は「彼は間違いなく出られるはず。正直に言うと確信というよりは希望なのだが」と、エースの復帰を祈るような気持ちで待っている。

しかし、仮にオバメヤンが間に合わなかった場合でも、変わりのスペシャリストが控えている。マティアス・ギンターだ。守備が本職で、得点嗅覚に優れているとは言い難いが、昨季のシャルケ戦では秘密兵器へと変貌した。ドルトムントで通算3得点の彼が、昨季のダービーではホーム、アウェーともにゴールを挙げているのだ。ギンターは土曜のダービーを楽しみにしている。「僕が最後にゴールを決めたのはシャルケ戦で、その前のゴールもシャルケ戦だった。そろそろ次が来る頃だよ!」。台所事情に大きな不安を抱えるドルトムントにとっては頼もしい予言だ。