定評の ”用意周到” ぶりは新天地でも揺がない。アウクスブルクのディアク・シュスター新監督は早速6月20日に選手たちを集め、新シーズンのトレーニングを開始するという。そのシュスター監督が、当サイトのドイツ語版との単独インタビューに応じ、アウクスブルクというクラブについて、新たな挑戦を決断した経緯、そしてフランスで開催中の欧州選手権(EURO)について語ってくれた。

批判家もだんまりの功績

—— シュスター監督、ダルムシュタットでは3シーズン連続で、誰もが予想しなかった大業を成し遂げられました。(同監督が率いたダルムシュタットはブンデスリーガ3部、2部、1部と連続昇格を果たし、2015/16シーズンは1部で14位の成績を残した)

シュスター監督 この3年間、ダルムシュタットはどのリーグで戦っても降格の第一候補として見られていました。そして毎回、そういった批判家たちをだんまりさせることができましたよ。

—— それでもアウクスブルクでの挑戦を選ばれたのは、ダルムシュタットでこれ以上の成功は収められないと思われたからですか?

シュスター監督 いいえ、そうは言いたくないですが、確かに1部残留を保証することは厳しくなっていくでしょう。例えば昨季のように、ブレーメンやヘルタ・ベルリン、シュトゥットガルトなどから選手を借りることが難しくなりました。ダルムシュタットの立ち位置が1年前とはまったく違うためです。いま挙げたようなクラブにとって、ダルムシュタットは必ず勝ち点を計算できるチームではなく、競争相手なのです。

——最終的にアウクスブルクを選ばれた決め手は?

シュスター監督 非常に高い将来性です。アウクスブルクは5年前にブンデスリーガ1部昇格を果たし、そこで戦い続けるための力を示してきました。ここには素晴らしいスタジアムをはじめ、質の高いチームを作るための環境が整備されています。

——何よりもWWKアレーナ(アウクスブルクのホームスタジアム)では、常にお湯でシャワーが浴びられますよね。

シュスター監督 そうですよ(笑)ダルムシュタットでは冷たい水しか出ないことがありましたからね。ただのうわさ話ではなく、本当に。それで私たちは ”雑草魂” を売りにするしかないという考えに至りました。

「継続性のあるいちずな仕事」

—— 古いスタジアム脇のピッチで100人の観客を前に試合をしていたクラブから10年ばかりで、あのような近代的なホームスタジアムを持つまでに成長したアウクスブルクは他のクラブのお手本と言えるのでは。

シュスター監督 多くの事業が正しく行われてきた成果だと思います。昨季は優秀な指揮官の下、欧州リーグ(EL)でも、最終的に決勝まで勝ち進んだリバプールを相手に惜しい戦いをしました。アウクスブルクは下部のクラブでも継続性をもって、いちずに信じて仕事をすることで、ブンデスリーガまでたどり着けるという良いお手本だと思います。このクラブに尊敬の念を抱かずにはいられません。

——就任が決まって一番に考えたことは何ですか?

シュスター監督 まずは責任者と話し合ったのはチーム構成、大所帯のメンバーリストについてですね。

——30人もの選手が名を連ねていますね。

シュスター監督 そうです。選手の数が多いので、もちろん全選手がアピールする機会は用意しますが、それから判断を下していきます。

対戦相手としてのアウクスブルク

——昨季はダルムシュタットの監督としてアウクスブルクと2回対戦されました。

シュスター監督 その2試合での印象は新チームについて考えるときの糸口となっています。どのような強味や弱点があったのかを思い出していますよ。

——具体的に教えていただけますか?

シュスター監督 昨季の前半戦は敵地アウクスブルクで2-0と勝利しました。2ゴールともセットプレーからでしたから、その辺の弱点は見えました。アウクスブルクは調子を落としていた時期だったのですが、それでも何とか良いサッカーをしようと最後まで戦っていたのも印象的でした。

——後半戦はドラマチックでしたね。

シュスター監督 早々に2-0とリードすることができたのですが、後半に1点を失って終了間際にPKで同点に追いつかれました。このように、アウクスブルクは非常に強い意志をもって戦うチームです。

——ダルムシュタットでは監督兼スポーツディレクター(SD)をされていましたが、アウクスブルクででは監督に専念されるということですね。自由に使える時間も増えるのでは?

シュスター監督 それは間違いないですね。しかし、監督とSDを兼任し、責任を背負い判断を下していくことには大きな喜びを感じていました。決して人のせいにはできませんから。もちろん、監督業に専念できるのは負荷の軽減にはなりますね。

「サッカーの小国は存在しない」

——最後に、現在行われているEUROについてですが、アウクスブルクからもスイス代表のGKマービン・ヒッツと、アイスランドのFWアルフレズ・フィンボガソンが参戦しています。どのようにご覧になっていますか?
インフォグラフィック:ブンデスリーガパワー@EURO

シュスター監督 できるだけ多くの試合を見るようにしています。もちろん、専門的な視点からね。

——これまでのEUROの試合で、どのような印象を受けられていますか?

シュスター監督 ドイツ対ウクライナの前半を除いてですが、規律の整った守備が目につきますね。各国とも、相手がボールを保持している際の戦術的な対応が良くできています。素早くボールより後ろにポジション取りをして、簡単にゴールチャンスをつくらせないようにしているので、フランスがアルバニアと対戦したときのように、強豪チームでも最後までなかなかゴールを奪えないということが起こり得る。欧州サッカーの層の厚さを認識できます。もう ”サッカーの小国” など存在しないと言えるでしょう。