ドイツ代表は欧州選手権(EURO)のグループステージ3試合を無失点で抑え、首位でラウンド16に進出した。1990年のW杯ドイツ代表優勝メンバーで、Jリーグ開幕年にジェフユナイテッド市原(当時)でプレーし、現在はウォルフスブルクのスカウト部長を務めるピエール・リトバルスキ氏が当サイトドイツ語版のインタビューに応じ、ここまでのドイツ代表の戦いや今後の展望について語った。

——EUROのグループステージが終了しました。ここまでをご覧になっていかがですか?

リトバルスキ まぁまぁといったところですね。多くの試合で、いくつかの面白いシーンはありましたが、90分を通して良い試合というのは、ほぼありませんでした。ポルトガル対ハンガリー(グループF、第3節)がここまでの一番でしょうか。ファンとしては3-3のような試合を望みますからね。

——ドイツ代表についてはいかがですか?

リトバルスキ ここまで、ドイツ代表よりも良いチームを見ていません。私はドイツがこのままトーナメントに進んでいくと確信しています。

「攻撃のバリエーションやリスクを冒す勇気が欠けている」

——この大会の傾向として、多くのチームが守備的に戦っています。それゆえ、グループ3位のチームは勝ち点が少なくてもラウンド16に進出したと思われますか?

リトバルスキ その可能性はありますね。ただ、私はそれよりも攻撃のバリエーションやリスクを冒す勇気が欠けているチームが目に止まりました。それがテクニックの問題かは分かりません。多くのチームが、コンパクトに守るチームへの解決策を見つけられていないのです。そのようなやり方なのか、クオリティーの問題なのか、私はここで判断することはできませんが・・・。

——先ほどお話に出たポルトガル戦までは、4人のトップストライカーにゴールが生まれませんでした。トーマス・ミュラー(ドイツ)とロベルト・レバンドフスキ(ポーランド)、ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン)、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)です。ようやくロナウドが2得点を決めましたが、偶然にもトップ選手たちが調子を落としているのでしょうか?

リトバルスキ 名前の挙がった選手たちがまだゴールを挙げていないからといって、結果から原因を考えるべきではありません。トーマス・ミュラーにたくさんのチャンスがあることは、まずは良いことです。ミュラーのシュートはポストやクロスバーを直撃し、相手GKに何回か止められました。そういうことは起こります。ロナウドだって何回かのチャンスがあり、ようやく得点しました。イブラヒモビッチやレバンドフスキはチャンスが少なかったですが、これからもっと良いプレーを見せるでしょう。

ドイツ代表の1トップは?

——大会前、ドイツ代表は多くの失点を喫し、守備が課題のように見えました。しかし、現在は3試合を無失点に抑えており、逆に攻撃に課題があるようです。ここまでのドイツ代表のプレーはどうでしょうか?

リトバルスキ グループステージ最終節の北アイルランド戦では、たくさんのポジティブな面が見えました。というのも、ただ単にペナルティーエリアの周りでプレーするだけでなく、もっと危険な位置まで踏み込んでいましたから。つまり、我々にはさまざまな可能性があるということです。基本は、DFとMFの距離をコンパクトに保つこと。チームのDF陣はとても良いですから。

——ヨアヒム・レーフ監督は1トップに最初の2試合でマリオ・ゲッツェ、前回はマリオ・ゴメスを起用しました。ミュラーも前線でプレーしています。誰が一番良かったですか?

リトバルスキ 私はもっとユリアン・ドラクスラーを見たかったですね。彼がウォルフスブルクの選手だからという理由だけではありませんよ。彼はMFのポジションでとても良い動きをしました。彼には成功体験が欠けています。だから、それがあるゲッツェよりも、社会的な評価が低いのかもしれません。前回のフォーメーションのようにCBと連携できる長身FWを1トップに置いた方が、可能性の形は広がるでしょう。

——攻撃的な選手にはまだ出場のないレロイ・サネやルーカス・ポドルスキがいます。両選手に出場の可能性はあると思いますか?

リトバルスキ それはどの位置にてこ入れを行いたいかによります。サネは完全にはサイドの選手ではありません。ゴールを決めるのは中央からが多い。そうなると、ゲッツェの方がチームにもたらすものが多いことになります。(個人というよりも)チームの状況次第で、今のところはよく戦っています。

——ポドルスキはチームにとってどれほど重要なのでしょうか?

リトバルスキ 拮抗した試合では、ラスト15分から彼はいつでもオプションの一つになります。というのも、彼は予測不可能で、50%のチャンスだとしても、ゴールを決めてしまう選手ですから。彼のゴール決定率は際立っています。相手が予想できないプレーもしますし、チームの助けになるでしょう。彼をポジションだけでくくることはできません。 

ラウンド16「我慢の必要な試合になる」

——ラウンド16のスロバキア戦についてはいかがでしょうか? 大会直前の親善試合では雷雨によりハーフタイム時間が延長されるなどのアクシデントもあり、ドイツは1-3で敗れました。

リトバルスキ スロバキアは厄介な相手で、守備が堅いです。攻撃の選手では、マレク・ハムシーク以外は特に目立った選手はいません。彼らは組織的なプレーをします。我慢の必要な試合になるでしょう。普通であれば、ドイツがこの試合に勝利するはずです。