イングランドの名門チェルシーのオファーを断り、今夏マインツに移籍した武藤嘉紀。その契約から約1カ月後、岡崎慎司のレスター・シティ(イングランド)への移籍が発表され、結果的に岡崎と入れ替わる形でマインツに加入した。ブンデスリーガで日本人選手最多の37得点を挙げた岡崎の“後任者”として期待を寄せられる中、最初の12試合でしっかりとそれに応える結果を残している。それどころか、岡崎も成し遂げなかったハットトリックを達成。早くもマインツのエースへと成長した。

日本人最速の1試合2得点

武藤の公式戦デビューは8月9日のドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)1回戦。3部のコトブス相手に快勝したが、武藤が投入されたのはすでにマインツが3点リードした70分だった。その約1週間後のブンデスリーガ開幕節でもベンチスタートとなった。78分から出場機会を与えられるも1点ビハインドのチームを救うことはできず、0-1で敗れている。それでも第2節からスターティングメンバーに名を連ねると迎えた第3節のハノーファー戦、味方のスルーパスからブンデスリーガ初ゴールを決めた。さらに初得点から14分後、CKからのこぼれ球を頭で押し込み2点目。3試合目にして1試合2ゴールはブンデスリーガ歴代日本人選手の最速記録。これが武藤の一つ目の記録である。この試合でチームは3-0で勝利し、武藤はマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。

ブンデスリーガ3試合目で鮮烈な印象を与えた武藤だったが、その後のチームは調子を落とし、黒星が先行する。武藤自身も先発に定着したが、なかなか得点に絡むことはできなかった。王者バイエルン・ミュンヘンへの初挑戦(第7節)は0-3で惨敗。試合後、自分の課題を「駆け引き」や「ディフェンスの逆をつく動き」と答えた。「負けたくなかった」ドルトムント香川真司との初対決(第9節)でも、自身の2回のチャンスをものにすることができずに0-2で敗れている。

史上2人目のハットトリック

第11節のアウクスブルク戦、再び武藤が爆発する。18分と30分、これまで武藤自身が何度も口にしてきた“決め切らないといけないところ”でしっかりとボールをゴールネットに叩き込み、ブンデスリーガ2回目の1試合2得点を記録。このリードで優位にたったマインツだったが、まさかの3失点を喫して逆転される。3連敗が濃厚となったロスタイム、ペナルティーエリア内左でパスを受けた武藤が右足を振り抜き、土壇場で同点に持ち込んだ。ブンデスリーガで日本人がハットトリックを達成したのは史上2人目で、2006/07シーズンの高原直泰(当時アイントラハト・フランクフルト)以来となった。また、これで6得点目となった武藤は、香川がドルトムントの1シーズン目(2010/11シーズン)で挙げた第11節終了時点の5ゴールを上回り、この時点の日本人選手のゴール数としては過去最多に。これが武藤の2つめの記録であり、ドイツではすでに歴代日本人ベストプレーヤーとの呼び声も上がっている。

絶対的エースへ

武藤は入団会見で「目に見えるゴールやアシストという結果を出していきたい」と抱負を述べていた。第12節までに6得点2アシストは、“目に見える結果”と言っていいだろう。1試合での複数得点に関しては日本人選手として金字塔を打ち立てたが、裏を返せば好不調の波が激しいとも言える。チームでは1トップとしての出場が多いが、トップ下のユヌス・マリは武藤を上回る7得点を挙げている。今後はコンスタントに得点を重ね、バイエルンやドルトムントといったビッグクラブ相手からもゴールを奪う姿が見たい。

中間査定のリンク集へ