ドルトムントの主将マッツ・フメルスは来シーズン、バイエルン・ミュンヘンへ移籍する。ドルトムントでのホーム最終戦を終えた直後、インタビューに応じた。

——8年半を過ごしたドルトムントでの最後のホーム戦となりました。どのようなことが頭に浮かびましたか?

フメルス ここでのウォーミングアップは最後で、試合後の南スタンドへのあいさつも最後になるであろうというのは、不思議な感じでした。ここ数年、自分の生活の一部だったのに、今後はそうでなくなるというのは妙な感じです。自分は“最後”というのが好きな方ではありません。でも、それは頻繁に起こるわけではないですからね。ここでの最後の食事、家からここに向かうのもきょうが最後・・・。センチメンタルです。でもこういうことは付きものですから。残念な気持ちとともに、ここで素晴らしい時間を過ごせてよかったと思います。何かとお別れするときは、うまく対応しないといけません。

——きょうはファンからのブーイングはありませんでした。

フメルス それはとてもうれしかったです。ドルトムントでの時間は長く、インテンシブでしたから。前回のホームでのウォルフスブルク戦でサポーターらが感情的になったのは、理解しています。移籍の意向が明らかになった直後でしたし、自分がどうしてもここを去りたいという噂もあったようです。この8年半、自分はここでの(サポーターらの)感情的な動きから得るものも大きかったです。だから、それがちょっとばかり向かい風になっても、しょうがないです。たとえ、きょうブーイングを浴びていたとしても、ここでの良い思い出は消えません。

——ホームでの試合は最後ですが、ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)の決勝が残っています。

フメルス そうですね。完全にお別れするにはまだ早過ぎます。来週、とても大事な一戦がありますから。DFB杯のためにしっかりと準備し、優勝したいと思います。とはいえ、どうしても考えてしまうことはあります。何を思い出したら寂しくなるのだろうかとか、そういうことを考えずにはいられません。サッカーのことだけを考えると、DFB杯で優勝し、ドルトムントで8時間の祝勝パレードがファンとの最後のお別れになるといいですね。

——最後のホーム戦で花束はありませんでした。

フメルス 残念ですね。バイエルンへの移籍が好まれていないことは理解しています。でも、自分のことを知ってくれている人は、バイエルンが故郷であるという点で理解を示してくれています。ミュンヘンには家族と妻、親しい友人たちが住んでいます。選手としてバイエルンで新たな刺激を得るということに対しても、同感できると言ってくれています。自分のことを知ってくれている人はみんな、理解を示してくれていることをうれしく思います。チームでの自分に対する信頼についても。クラブの関係者も「残念だけど、その立場になって考れば理解できる」と言ってくれました。この言葉に尽きると思います。

DFB杯の決勝「90%ではダメ。95%でも足りない」

——DFB杯の決勝でドルトムントの一員として最後に戦う相手はバイエルンです。どのようなお気持ちですか?

フメルス 当然、勝ちたいと思います。ドルトムントにいる限りは、バイエルンを打ち負かしたいです。そのために、みんなと一緒に全てを出します。自分たちは長い間、タイトルから遠ざかっていますし、ここでもう一度、タイトルを手に入れたいです。この一戦で勝利することは、自分たち全員にとって、とても大きなことです。その思いをピッチで見せられたらと思います。個人的にはプレッシャーもあります。この試合はパス成功率100%、1対1の勝率100%でなければ、一つのミスが命取りとなります。自分が約束できるのは、ベストを尽くすということだけです。

——ドルトムントは過去2年、決勝で敗れています。2012年のように優勝するには何が必要でしょうか?

フメルス そのクオリティーが自分たちにはあります! リーグ最後の2試合は100%のクオリティーではありませんでした。残念でしたね。リズムを保つことができていればよかった。これからの1週間、決勝でバイエルンに勝つために必要なインテンシティを取り戻したいと思います。90%ではダメ。95%でも足りません。とはいえ、リラックスもしていなければ。緊張してしまったら、負けるでしょう。“芸術”ですよね。優勝するために、身体的にも精神的にも最高のコンディションに持っていきたいと思います。決勝で勝ち、トロフィーを掲げるというのは、本当にかけがえのないことなんです。チームのみんなは2012年の最高の瞬間を今でも覚えています。

——リーグ戦の最後2試合は未勝利に終わりました。優勝争いの緊張感がなくなったからでしょうか?

フメルス 残念ですが、そうかもしれませんね。はっきりと緊張感をなくしたわけではないのですが・・・。それでもこの2試合、相手の5バックを攻略するのは難しかったです。ケルン戦では2ゴールを挙げましたが、立ち尽くすような場面もありました。運もあり、2失点に抑えました。でも、バイエルン戦は全く異なる試合になるでしょう。バイエルンが5バックでペナルティーエリアまで引くことはないでしょうから。この2試合から決勝の試合を予想することはできないと思います。全てにおいて、全く異なるサッカーで、全く異なる使命があります。

——ドルトムントの会長であるラインハート・ラオバル博士は、フメルス選手が最後の夜にDFB杯のトロフィーを抱いて眠れることを願っていると言っていました。

フメルス そういう予定です(笑) 本当にそうなったら、トロフィーを部屋に持ち帰っていいか聞いてみたいと思います。このタイトルはとにかく、大きな目標です。スポーツ選手でタイトルを獲得したことがある人であれば、それが言葉では表すことができない気持ちだということを知っています。決勝の翌日の朝5時にトロフィーが側にあったら素敵ですね。最高のエンディングになるでしょう。

インフォグラフィック:バイエルンへ復帰するフメルスのキャリア