ドルトムントにブンデスリーガ優勝2回、ドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)優勝1回をもたらした香川真司は、今や同クラブのファンだけでなく、ドイツサッカー界で最も知られた日本人の1人となった。ブンデスリーガ在籍4シーズン目、強豪クラブの一員として風格も漂うようになった同選手について、改めて知っておきたい10項目を以下にまとめている。

1.越境留学

1989年3月、兵庫県神戸市に生まれた香川は地元クラブでサッカーを始めると、中学への入学を機に宮城県仙台市に拠点を置くFCみやぎバルセロナへ越境留学。ドリブルなど個人技を磨くことに重点を置く同クラブの方針の下、香川は研鑽を積んでいった。

2.セレッソ大阪入団

16歳の時にU-18東北選抜に選ばれ、仙台カップ国際ユースサッカー大会に出場。同年代の日本代表チームを相手に5-2という圧勝を飾った東北選抜の中心としてプレーした香川には、Jリーグ全クラブから熱い視線が注がれるようになった。それから3カ月後、地元に近いセレッソ大阪と仮契約を交わし、高校卒業前の時点でJリーグの下部組織に所属せずにプロ契約を結んだ初めての選手となった。

3.ブンデスリーガへ

2010年夏、ワールドカップ・南アフリカ大会の日本代表メンバーから落選し、サポートメンバーとしてチームに帯同する屈辱を味わった香川は、同年7月1日にユルゲン・クロップ監督率いるドルトムントへ完全移籍。プレシーズンマッチ、欧州リーグ(EL)プレーオフなどで得点を重ねると、第4節、内田篤人が所属する宿敵シャルケとのルールダービーで2得点をマークし、「ドルトムントに香川あり」を完璧に印象づけた。

4.国内2冠達成

近年最も成功を収めたドルトムントには香川の存在があった。2010/11シーズン、同クラブは9年ぶりにブンデスリーガ優勝を獲得。その翌シーズンにはリーグとDFB杯の制覇を成し遂げ、クラブ史上初の国内2冠を達成した。バイエルン・ミュンヘンと戦った同杯決勝では、ドルトムントの先制点を決め、チーム3点目をアシストするなど、香川も大活躍している。

5.“サー”と香川

1980年代からマンチェスター・U(イングランド)を指揮するアレックス・ファーガソン監督に引き抜かれ、2012/13シーズン夏に海を渡って英国へ。移籍初年でチームはプレミアリーグ優勝を勝ち取るが、そのシーズン限りでファーガソン監督は勇退。その後デイビッド・モイーズ監督、ルイス・ファンハール監督の下で出番が減少傾向にあったため、2014年8月末に古巣ドルトムントへの復帰を決断した。このカムバックについてファーガソン監督は「香川は、自らが『水を得た魚』であると感じられる環境へ戻っていく。ドルトムントと香川がうまくいくことを信じている」とコメントした。

6.W杯での惨敗

ドルトムントへの復帰を決断した理由の1つに、ワールドカップ・ブラジル大会での惨敗があった。同大会後、「僕たちは、チームとしては良いプレーができるが、個々の質という点では十分ではなかった。これで僕のサッカーキャリアは終わったわけではない。このフラストレーションと失望感を、ベストなものにつなげていきたい」と話した香川は、“高いレベル+出場機会”を最優先と考え、それが同選手の復帰を望むドルトムントの意向と合致した。

7.カムバック

昨年夏、ドルトムントと再び契約を交わした香川は「ドルトムントを去る時も、『このクラブと僕の関係は終わらない』と言った。ここは僕の家族も同然で、彼らも僕のことを決して忘れることはなかった。このような素晴らしいクラブに帰ってこられて、本当に幸せだ」と話している。そして復帰初戦となった2014/15シーズン第3節フライブルク戦、本拠地の大観衆を前に早速ゴールを決めて見せた。

8.盟友との再会

香川がイングランドへ旅立った後も、シャルケの一員としてブンデスリーガでプレーを続けた内田。ドルトムントとシャルケはドイツ屈指のライバル関係にあるが、香川と内田は日本代表の盟友でもある。再びルールダービーで激突することになった2人が、久しぶりの対戦を前に当サイトで心境を語っている。(インタビュー動画1はこちら)(インタビュー動画2はこちら)

9.不振の1年

しかし、ドルトムントに舞い戻った香川を待ち受けていたのは、決して平たんな道のりではなかった。チームは勝利から見放され、2014/15シーズン前半戦を自動降格圏の17位で終了。香川自身もこのシーズンはふるわず、フル出場はたったの7試合にとどまり、5ゴール6アシストとファンの期待に応えることはできなかった。

10.トップ下から左MFへ

トーマス・トゥヘル監督が新たに就任した2015/16シーズンは、香川にとっても再起を懸ける重要な年となった。プレシーズンではまだプレーに迷いが見えたが、ブンデスリーガ開幕戦でマーコ・ロイスの先制点をアシストし、自らも第2節インゴルシュタット戦で今季リーグ初ゴールをマーク。これまでの定位置トップ下から左MFへポジションを変更し、新境地を開拓した。(「中間査定:ルールダービーの英雄、香川の進化」はこちら)