Jリーガーが語るブンデスリーガ: 矢野貴章(アルビレックス新潟)
日本人選手たちの活躍によって年々注目度が増しているドイツ・ブンデスリーガ。この欧州最高峰のリーグは、Jリーガーの目にはどのように映っているのだろうか。2010年夏から約1年半にわたってブンデスリーガでプレーし、現在はアルビレックス新潟で活躍する矢野貴章選手に、ドイツ時代の経験談、リーグの特徴や見どころについて語ってもらった。
「センターバックは大抵190センチ台。それが衝撃でした」
——矢野選手は2010年8月にSCフライブルクに移籍し、約1年半ブンデスリーガでプレーしました。移籍のきっかけと経緯を教えてください。
矢野 元々、海外でプレーしたいという希望は持っていて、代理人にもそう伝えていました。「行けるチャンスがあれば」という感じでしたね。フライブルクからオファーをもらったのが8月末のギリギリのタイミングだったので、次の日にはチームメートにお別れの挨拶をして、荷物をまとめて東京に行って。翌日の朝には飛行機に乗ってドイツに飛んでいました。
——プロ入り当初から海外志向はあったのでしょうか?
矢野 U−17日本代表に選ばれて海外のチームと試合をする機会があったので、そういう中で「行ってみたい、海外でプレーしたい」という思いはずっと持っていましたね。
——当時、海外の選手のプレーについてどのように感じていましたか?
矢野 速い選手は想像を超えるほど速いし、強い選手はとにかく強い。当時はまだ高校生でしたが、高校のチームと対戦していては知り得ないレベルを実感しましたね。
——フライブルクでプレーして、身を持って体感したブンデスリーガの特徴を教えてください。
矢野 とにかく“速さ”を求められました。プレースピードやプレッシングがスピーディーでしたし、自分が想像していた以上にハードワークを求められる、という印象でした。
——当時はFWでしたが、具体的にはどんな役割を求められたのでしょうか?
矢野 起点を作る動きや裏に抜ける動きなど、求められるものは日本とそう変わらなかったんですが、精度はより高いものを求められましたね。
——実際に対戦してみて衝撃を受けた対戦相手や選手はいますか?
矢野 試合前にミーティングがあって、そこで相手選手のデータを見るんですけど、センターバックは大抵190センチ台なんですよね。それが衝撃でした(笑)。180センチ台の選手がいたら「あっ、今日の相手は小さいな」と思ってしまうぐらい、みんな大きくてパワフルでした。
——私生活で苦労したことはありますか?
矢野 みんなそうだと思うんですけど、結構孤独なんですよね。僕自身は周囲の人たちがサポートしてくれたので、そこまで苦しむことはなかったですけど。
——ドイツ暮らしで得たものは何ですか?
矢野 向こうで生活したことすべてが僕にとってはプラスになりました。いろいろなことを変えてくれたと思っています。
――当時の経験は今、どんな形で生かされていますか?
矢野 ブンデスリーガでプレーしたことで経験値が上がったと思いますし、試合中も落ち着いてプレーできるようになりましたね。