ブンデスリーガ覇者に贈られるマイスターシャーレ。ドイツサッカーとはもはや切り離せない存在となっている
ブンデスリーガ覇者に贈られるマイスターシャーレ。ドイツサッカーとはもはや切り離せない存在となっている

優勝皿の歴史

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ブンデスリーガ覇者に贈られるマイスターシャーレとは

ブンデスリーガを制覇したクラブに毎年授与される「マイスターシャーレ(優勝皿)」。今季は本拠での最終節シュトゥットガルト戦終了後、王者バイエルンに手渡される。それこそがリーグ戦最高潮の瞬間であり、ハードな戦いが報われるときである。1903年以来の全王者の名前が彫られている優勝皿には、知られざる歴史がある。

1903年、VfBライプツィヒが初代ドイツサッカー王者として「ビクトリア」、1944年まで優勝チームに贈られることとなったブロンズの銅像を手にした。しかし第2次世界大戦の混乱でビクトリアは消失。1948年の戦後最初のリーグ覇者ニュルンベルクは、トロフィーなしで祝うことになった。翌年は同様の事態を避けるため、当時腕に定評のあった女性彫金師エリザベート・トレスコウに優勝皿の製作が依頼された。

ボーフム生まれのトレスコウは1948年からケルンで金や銀の彫金を教えており、特徴的なデザインをほどこし、弟子とともに製作。もともとの皿部分は直径50cmの大きさで、トレスコウと弟子たちは5.5kgのスターリングシルバーと計175カラット、16個のトルマリンをあしらってマイスターシャーレができあがった。

さらなる王者の名前を刻むため、1981年には外側部分に拡張したリングが付けられた。その際、そのシルバーのリングにさらに5つの高価な71.98カラットのトルマリンがはめ込まれた。

マイスターシャーレを手入れするのは彫金師アドルフ・クーネシュ。2009年に再度加工し、今後の覇者の名前を刻み込んでいくためのプレートを新たに5枚追加した。現在のところは、2027年の優勝クラブ名の彫刻スペースまでは確保されている。クーネシュはまた、2009年にブンデスリーガ2部優勝チームのためのマイスターシャーレも製作した。

今日のマイスターシャーレは重さ11kg、直径59cmとなっている。DFB(ドイツサッカー連盟)は約50,000ユーロの保険をかけている。トレスコウのこの作品は、もはやドイツサッカーとは切り離せない存在だ。