第4節で2得点2アシスト、23歳ルーマニア代表

【シュトゥットガルト発・bundesliga.de編集部】 「彼」がクリスティアン・ゲントナーからホッフェンハイムのペナルティエリア右隅でパスを受けたとき、メルセデスベンツ・アレーナの42,450の観衆だれもがさあ何かが起きるぞ、と思ったことだろう。そして実際、その「何か」は起こった。

「彼」は。日本代表DFが所属するシュトゥットガルトのルーマニア代表MFだ。第4節ホッフェンハイム戦55分、マクシムはボールを受けるとフェイントでホッフェンハイムDFベスターガードをかわし、弧を描くようなシュートをゴール右隅ネットの内側へ蹴り込んだ。ホッフェンハイムGKカステールスはボールに触れることすらできず、シュトゥットガルトが5-1とリードを広げ、最終的には6-2で勝利した。

こういったプレーは、マクシムのテクニカルなクオリティーの高さをだれもが目にする瞬間だ。23歳の若者は熟練した技を持ち頭の回転が早く、軽快で細かい動きをみせる。素早いステップで最初の一歩を前に踏み出し、シュトゥットガルトFWの後ろの攻撃ラインですべてのポジションをこなす。さらにセットプレーでは見事にボールを操る。FKとCKは鋭く危険だ。ホッフェンハイム戦26分でも、マクシムがCKから完ぺきなタイミングで相手選手3人の間を抜けるクロスを上げ、ベダド・イビシェビッチが頭で合わせ2-0となるゴールを決めた。

トーマス・シュナイダー新監督の初陣となったこの試合は、マクシム自身にとってもチーム加入後ベストゲームだったと言える。ボールコンタクト数は最多ではなかった(酒井、ボカがそれぞれ61回で最多)し、シュートの本数も最多ではなかった(イビシェビッチの4本が最多)。クロスを上げた回数も、チーム最多はウェアナーとゲントナーのそれぞれ3本だった。しかし美しい2本のゴールを決め(28分、55分)、先制弾(12分、リューディガー)と2点目(19分、イビシェビッチ)をアシストした。

さらに重要なのは、マクシムは人々がスタジアムに見に行きたくなるような選手ということだ。このブロンドの青年がパスを受けスペースに入るのがスタンドから見えると、ファンの間には希望に満ちあふれた感覚が広がるのである。ホッフェンハイム戦で68分に交代で下がった時には、ファンは大きなスタンディングオベーションを送り、メルセデスベンツ・アレーナには鳥肌の立つような雰囲気がわき起こった。

ただひとつの難点は、試合後にシュナイダー監督が「アレクサンドルは疲れ果ててへとへとになっていた」と明かしたように、フィットネスの問題だ。今季開幕前のプレシーズン、マクシムは数キロの体重オーバーでキャンプインしたと、ラバディア前監督は非難した。そのため調整遅れが生じ、今季は先発から外れていた。

マクシムは今年1月31日、ルーマニア1部リーグのパンドゥリイ・トゥルグ・ジウからシュトゥットガルトへ移籍した。スポーツディレクターのフレディ・ボビッチ氏は当時、「テクニックに秀でた選手」と評している。マクシムも「シュトゥットガルトはビッグクラブだし、ブンデスリーガは世界でもベストのリーグの一つ。ここに来られてうれしいし、もっと成長するための可能性と挑戦がここにはある」と喜びを表していた。

13歳でサッカーのために実家を離れCFRクルージュ(ルーマニア1部リーグ)へ入団したマクシムは、17歳のときスペインへプレーの場を移し、エスパニョール・バルセロナを経てFCバダロナへ移籍した。ボビッチSDとラバディア前監督はもともと、今シーズンからの戦力として考えていた。しかし3試合での短い出場時間でアピールに成功すると、マクシムは3月30日、満員御礼となったホームでのドルトムント戦で先発デビュー。1-1となる同点ゴールを挙げ、73分に交代した。その10分後にドルトムントは勝ち越し弾を決めた。

いい流れのときには、マクシムはシュトゥットガルト攻撃陣の決定的な選手となることができる。ルーマニア代表では2得点している青年は、流暢なスペイン語と英語を話す。野望に燃え、レギュラーの座を獲得したいと考えている。シュトゥットガルトでは2017年夏までの長期契約をかわしている。タマシュ・ハイナルとズラトコ・クズマノビッチはとうの昔にチームを去った。マクシムとゲントナーが、今後しばらくは攻撃陣にいいボールを出す役割を担うことになる。

エースのイビシェビッチは「開幕後の苦しい時間を乗り越え、今からエンジンをふかし、楽しみたいと思っている。マクシムは文句なしにすばらしいプレーをした」と第4節の試合後に語っている。シュナイダー監督も「アレクサンドルは非常にいいゲームを作った。彼が持っているサッカーの高いクオリティーを、我々全員が目の当たりにした」と絶賛。フィットネスの向上がついてくれば、それを90分間示すことができるだろう。

ヘンリク・レアヒ(Henrik Lerch)