本拠イムテック・アレーナで行われたノートカップに優勝し、チームは楽観的にシーズンへ突入する
本拠イムテック・アレーナで行われたノートカップに優勝し、チームは楽観的にシーズンへ突入する

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ブンデスリーガ今季みどころ

次のステップ

ハンブルガーSV(HSV、ハーエスファウ)が昨年7月、本拠地にバルセロナ(スペイン)迎えて行った強化試合のこと。ハンブルクのMFが1-1となるゴールを決めた瞬間、ゴールそのものよりもスピーカーから流れた歌が話題になった。

若者に人気のあるドイツのバンド、Scooter(スクーター)のOne (ワン)という曲の替え歌だった。リフレインの歌詞が「いけいけハンブルク」「いつもハンブルク」と変えられ、昨季は本拠地でのハンブルク・ゴールのたびにその曲が流れることになったのだ。


しかし昨季のブンデスリーガの試合で、アレーナでその曲が流れたのはたったの18回。ホームでそれより得点の少なかったチームは、わずか10得点で、シーズン終了後2部に降格したフュルトだけである。HSVが少ないゴール数にも関わらず勝ち点26を獲得したのは、褒められるべき点だろう。だが最後には欧州リーグ(EL)出場権獲得をめぐって、フライブルク、フランクフルトとの直接対決に敗れた。7位でわずかにEL出場には及ばなかった。

今季のハンブルクは、次のステップを踏み出そうとしている。「EL出場を視野に入れるほどの目標を持つべき」と、フィンク監督。「うちのようなクラブは欧州の舞台でプレーしなくては」と話すのは、主将でオランダ代表MFのファンデアファートだ。

目標達成には、ホームでの得点力不足解消と並んで、さらに大きなてこ入れが必要となる。53失点を喫した昨季、より多いゴールを献上したのは6チームだけだ。

焦点はディフェンス


そのため、ヨハン・ジュルー、ラッセ・ソービヒ、ヨナタン・ターというセンターバック(CB)3選手を獲得。しかしフィンク監督は昨季の窮状をディフェンスの責任にするつもりはない。bundesliga.deのインタビューでは「ディフェンスは新しいCBの契約だけでは安定させられない。チーム全体で努力する必要がある。だが今夏移籍でこのポジションを最優先にしたのは確かだ」と話している。

攻撃面でもハンブルクは移籍市場で動いている。昨季12得点の孫興民(ソン・フンミン)がレーバークーゼンへ移籍したため、その必要に迫られたのである。

新FWに期待


新たなゴールゲッターとして期待がかかるのは、カメルーン代表FW。フィンク監督が古巣のバーゼル(スイス)で教えた選手だ。「ジャックは才能豊かで、若いのに経験も豊富。クオリティーの高さに完全に納得していなければ、(クラブ上層部に)自分が獲得を懇願しなかったと思う。ジャックに対しては本当に期待できる」と監督は獲得理由を明かす。

大きな騒ぎが起こったのは、昨季後半戦の最中。の移籍についてだった。今夏3部からブンデスリーガ2部に昇格したカールスルーエの司令塔だったジャルハノーウルに対しては、ドイツを含む欧州トップクラブが獲得に動いたが、今季はハンブルクのユニフォームに袖を通すことになった。

トルコ系で、まだ19歳。ブンデスリーガで才能を発揮できるのか注目される。「ハカンは自信家で大胆なタイプだから、慎重に育成されることにあまり関心がないようだ」と説明するフィンク監督は、それは早いと見ているようだ。

プレシーズンのポジティブな結果


ジャルハノーウルはトルコ代表として出場したU20世界選手権のため、ハンブルクが6月に始動した時点では新天地に合流できなかった。いっぽうチームは強化試合でまずまずの成績を残した。

強化試合初戦のザルツブルク選抜チームとの対戦は0-2で敗れたが、監督やコーチらによる叱責が効いたか、次戦以降はテレコム・カップでバイエルン(0-4)とドルトムント(0-1)に敗れる前までは、とりあえずポジティブな結果を残した。

その最高潮は本拠イムテック・アレーナで行われたノートカップ。ブラウンシュバイクとの試合にPK戦で勝利すると、決勝ではFCコペンハーゲン(デンマーク)を2-0で下した。昨夏ハンブルクは韓国で行われたトーナメント大会において好成績を残し、ブンデスリーガで上位入りという期待が高まった。これは好事の前兆かもしれない。

「うちが今季EL出場権を得られるとしたら、ノートカップでの勝利はその前兆としか思えない」とフィンク監督は考えている。効果的に補強されたチームのこと、どう考えても目標達成できるだろう。

ミヒャエル・ライス(Michael Reis)

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